第4話 知恵と戦争の女神アテナ
茜、蒼、アテナの三人は王の間から最初にいた部屋に戻ってきていた。
部屋に戻る途中に廊下ですれ違った人たちはアテナを見て頭を下げていた。
「アテナ。」
茜が呼びかけると満面の笑みで振り返った。
「はい、何でしょう?茜。」
その笑顔に一瞬質問しようか、躊躇ったけれど尋ねてみることにした。
「アテナは何の神様なの?」
アテナは何故そんな質問が来たのだろうかと不思議そうに茜を見ていたが、先ほどの廊下でのことを思い出したのだろう。
あぁ、と言って納得し優しく教えてくれた。
「私はギリシャのオリュンポスの12神が1柱アテナ、知恵と戦争の女神です。」
「アテナは、すごいんだね。」
堂々と自分を語れるアテナが羨ましかった。
私もあんな風に———————
そこまで考えて否定した。
半端ものである自分が彼女のようになれるわけがないと。
「お姉ちゃん。」
考え事をしているところに声がかかった。
いつも一緒にいた声だ。
蒼が茜の服の裾を引っ張っていた。
蒼のほうを見ると、蒼が首を振っていた。
「ぼくがいるよ。ず~と、いっしょにいるよ。」
まるで私の考えを呼んだように、1人じゃないというように何処までもあたたかく心を包んでいくような気がした。
「ありがとう、蒼。」
そんな姉弟の様子を微笑ましげに見ていたアテネが何か思いついたように2人に声をかけた。
「ねぇ、茜、蒼。一緒に外に出てみませんか?きっと気分転換が出来ますよ。」
「そと!!」
アテネの言葉に二人の顔がぱぁ~と明るくなった。
人間界で生きてきたときは、周りの目もあり、数えるほどしか外に出たことがなかった。
こんな晴れた日に家から出たことなんて一度もなかった。
「ふふっ、では早速出かけましょう。」
アテネは二人に向かって手を差し出した。
茜も蒼も戸惑った。
誰かに優しくされることに慣れていなくて、不安で、それでもこうして優しく接してくれるのが嬉しくて——―――
二人はもう一度アテネを見た。
アテネは変わらず優しく微笑んでいた。
躊躇いながらもアテネの手に自分たちの手を重ねた。
するとアテネは優しく茜と蒼の手を包むように握ってくれた。
「では、行きましょう。」




