第3話 ゼウスとの邂逅
「・・・・・・」
目を開けると、眩しい光が入ってきた。
青く澄んだ空、綺麗な鳥の声。
今まで住んでいたところとは全く違う空気に戸惑い、体を起こした。
辺りを見回してみると、隣には今までずっと一緒にいた弟が眠っていた。
(・・・やっぱり死ねなかったんだ。)
体に何の異変もないことからそう判断し、少し残念そうにしながらも弟を起こすことにした。
「ねぇ、起きて。」
しばらくその体を揺すっていると弟が起きる気配がした。
「・・ん、・・・」
起きたばかりの目が次第に開いていった。
「・・・お姉ちゃん?」
弟はまだ眠いのか文末が疑問形だった。
「うん、おはよう。体の調子はどう?」
「からだ?」
しばらく考えてから、弟は寂しそうな顔をした。
そこにドアをノックする音が響いた。
そして一人の女が入ってきた。
「あ、起きられたようですね。体も何とも無いようで何よりです。」
明るく響く声に姉弟は揃って彼女のほうを見た。
彼女は笑顔でこちらに近づいてきた。
そして彼女は二人に何かを差し出した。
二人がそれに目をやると、
「これに着替えてくださいね。昨夜着ていた服は血で汚れていたので着替えさせてもらいました。・・・他に何か聞きたいことがあれば何でも申してくださいね。」
彼女の笑顔に少しだけ警戒心を解いた。
「・・・ここは、何処ですか?それに、あなたは?」
今は少しでも多くの情報が欲しく、一番基本的なことを聞いてみた。
すると彼女は、ニッコリと笑って優しく答えた。
「ここは、神々の世界、あなた達の言うところの箱庭です。そして、私はアテナと申します。」
「アテナ?」
「はい。詳しい話はゼウス様がしてくださると思います。」
二人がアテナから渡された服に着替えた後、アテナに先導され大きな扉の前に来ていた。
「ここは王の間です。この先でゼウス様がお待ちです。」
そう言って三人は扉を開けてもらい部屋の中に入った。
部屋の中は予想以上に広く、床には赤い絨毯が引かれていた。
正面には階段があり、そのさらに先には玉座があり一人の男が座っていた。
アテナはその男に一礼してからその男の方を向き口を開いた。
「ゼウス様、お二人を連れて参りました。」
ゼウスと呼ばれた男はアテナから目を離すと、後ろにいた姉弟を見た。
「汝らが生き残った贄か。」
ゼウスが神々をも圧倒するような強い気を姉弟に向けてはなった。
だが姉弟の顔色は何一つ変わることなくその場に立っていた。
姉弟の後ろからメキッ、という何かが壊れるような音がしゼウスは気を放つのを止めた。
「ふん、世界に絶望したか。・・・それに、三つの種族のハイブリッド、禁忌の子か。これは面白い。」
しばらく考えるようなそぶりをしていたが、何か決めたのか姉弟たちを見てゼウスは頷いた。
「おい、娘。汝らの真名は何だ。」
「・・・茜。」
ポツンと答えるとゼウスは弟のほうを見て
「そっちは?」
「蒼。」
姉弟の名前を聞くとゼウスは満足そうに頷き姉弟に聞いた。
「汝らの親は?」
すると今まで一言も話さなかった弟のほうが口を開いた。
「てんし。」
弟に続いて姉も答えた。
その表情は蒼に比べるとどこか暗かった。
「・・・悪魔。お母さんは死んじゃった。」
「ほぉ、では人間界に未練はないか?」
「ない。」
茜は考える素振りもせず即、答えた。
「では汝らはここで暮らすとよい。我らが親代わりになろう。」
ゼウスの言葉に姉弟の顔は初めて表情を表した。
何処へ行っても邪なものとしか見られないと思っていたのに、ゼウスは面倒を見ようというのだ。
「いいの、ですか?」
「あぁ。・・・初めて敬語を使ったな。」
ゼウスの顔に笑みが浮かんだ。
「っ!」
茜の肩がビクンっと揺れ、茜は俯いた。
「よい。・・・我の周りには傅く奴らばかりでうんざりしておった。我は汝らの親代わりだ、特別に許可をやろう。自由に振る舞うといい。」
俯いていた茜の顔が上がった。
そしてゼウスの顔を見た。
ゼウスは不快に思っているどころか、面白そうに茜たちのほうを見ていた。
「ありがとう、ゼウス。」
蒼が満面の笑みでお礼を言った。
「さっそく、呼び捨てか。よいよい、その方が面白い。アテナこいつらの身の周りのことは任せるぞ。後、教育もしてやれ。」
ゼウスはそれまで横のほうでじっと様子を見ていたアテナに声をかけた。
「はい、ゼウス様。」
アテナは茜と蒼の方を向いて笑った。
「これからよろしくお願いしますね。茜、蒼。」
いよいよゼウスとアテナが登場。
これからもっと増えていきます。




