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神々の箱庭  作者: 星奈
第二章 魔界での出会い
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第45話 似た者同士

 勝負はついた、と観戦していたルシファーたちが近づいてきた。

 

 「ここまでだな。これ以上は命に関わるだろ。それに土地の方がひどいことになっている。」

  

 竜巻に業火に神鳴りによって草原はぐちゃぐちゃになっていた。


 「再構築(rebuilding)――――〝原初の世界〟」


 ベルゼブルが穴から出てきたのを確認し、言葉を紡ぐ。

 再構築は創造でも破壊でもないが、一度自分で創造したものは自在に操れることから実現できた。

 落とし穴はなくなり、戦いによって壊れた土地も元通りになった。

 そして、最初に創りだした世界になかった、不滅の刃(durandal)も消えた。

 残っているのは最初の世界、草原と青空だけだった。

 傷だらけのベルゼブルが近づいてくる。


 「私の負けだ。今まですまなかった。」


 ベルゼブルは照れたように顔を背け手を差し出してきた。

 茜も手を出して握手した。


 「破壊(destruction)――――〝傷〟(wound)」


 茜が紡いだ言葉と共にベルゼブルの傷が消えてなくなった。


 「そういう使い方もできるんだな。」


 感心したように言うベルゼブルに笑って返す。


 「私が魔界に来た目的、それ以外のことも聞いてくれる?」


茜が不安げに聞くと、ベルゼブルはフッと笑った。


 「あぁ、・・・・最初からそのつもりだったんだろ。」


 「うん。友達に話すことはおかしいことじゃないよ。」


 ハハハとベルゼブルが笑う。

 他の四人も近くに来ていた。

 皆が集まったのを見て、茜はもう一度別のイメージをした。


 「創造(creation)―――〝椅子と机〟」


 丸い机の周りに人数分の椅子が用意された。

 ベリアルからお守りを返してもらい、ラプラスを抱いて椅子に着く。

 他の皆も順番に座っていった。


 「まず、私の目的から話すね。・・・いま、この世界は世界の終焉を目の前にし

ている。その原因は大昔、世界を五つに分けた歪みなんだけど、魔界と天界の戦いによってその歪みの成長スピードが速くなっていて、いつ滅びてもおかしくないような状況になっているんだ。そして、私が魔界に来たのは力をつけるためと、もう一つ魔界を止めるため。」


 三人とも黙って話を聞いている。

 ルシファーは一度聞いているので、情報を整理しているようだった。


 「天界には蒼が行っていて、止めると言っていたから、あとは魔界が止まれば、私たちが今ある世界を破壊し、新たな世界を創造することになる。」


 「蒼というのはもう一人の神か?」


 「そう。たぶん神の力を封印したままでも、天界の誰よりも強いよ。」


 「熾天使の奴ら全員よりもか?」


 「うん、蒼はミカエルの子供だからね。本人は嫌ってるけど。」       


 茜が何回理由を聞いても答えなかったが茜はその理由について一定の所まで答えを出している。

 自分に心当たりがなく、そのうえで蒼が怒っていたのだから、自分の記憶のなかったあの時にミカエルが関係していて、蒼はその時起こったことを知っている。

 そしてその内容を怒っているのだろうと推測を立てた。

 ミカエルが何をしたかも推測しているが、蒼は気づいてほしくなさそうなので考えないようにしていた。

 

 「他に何か聞きたいことはある?」


 「茜、過去のこと話せるか?」


 「いつのことから?」


 「人間界の最後からでいい。」


 茜は一つ頷き、話し始めた。

 住んでいた村のこと、その村の掟のこと、そしてその掟によって神の生贄として殺されかけたこと。

 そして神界で出会った神々とそこで知った自分たちと世界の真実について。

 他の皆は静かに茜の話を聞いていた。

 茜は最後にこう締めくくった。 


 「この偶然なまでの運命はゼウスの意思なんだと思うよ。」


 ルシファーとミカエルがお母さんを好きになったこと、私たちに揃って神格が与えられたこと、私たちが人間に憎まれ殺されたこと、今、ここにいること、私たちが世界を救うこと。

 全て神の意志(運命)になるはずだった。

 私たちとゼウスが出会い、ゼウスに迷いが生まれた。

 後悔と罪悪感それを前にして立ち止まってしまった。

 そしてそれまでのゼウスの意思に私たちの意思が入り込んだ。

 今ここにいること、世界を救うこと、これらは全て私たちの意思(運命)だ。

 

 「茜、その日は近いのですか?」


 すべてを聞き終わり、みんなが考え込んでいる中で、ラプラスは疑問を口にした。

 全知であるラプラスでさえも視ることのできない未来だからだ。

 

 「はっきり言えば、いつ世界の終焉を迎えるかは誰にもわからない。明日かもしれないし、十年後かもしれない。でも私は、私たちは次の戦いで幕を下ろす。」


 五人は黙り込んだ。

 五人とも付き合いが長いわけではないけれど、それでも知っていた。

 茜が一度決めたことを覆すはずがないと、そしてそれを認めていた。


 「茜は、一度決めたら聞かないからな・・・」


 「誰に似たんだろうね?」


 ルシファーの言葉に茜が笑って返すと、


 「ルシファー様だな。」


 「ルシファー様ですね。」


 「ルシファーだよな。」


 「お前だな。」


 皆が一斉にルシファーの方に向き、口々に言い始めた。

 ルシファーも困ったような顔をしている。


 「血筋は争えないということですね。」


 結局はそういう結論に至り、みんなが笑い出した。


 「じゃあ、戻る?」


 「あぁ、そうだな。」


 茜が翼を広げ上に飛ぶと後に続くように他の皆も上に飛んだ。 


 「創造の破壊――――〝世界の終焉〟(world end)」


 最初にこの世界に入った時と同じように眩い光が広がり世界を包んだ。

 そして次に目を開けた時には元の世界、魔界に戻ってきていた。



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