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神々の箱庭  作者: 星奈
第二章 魔界での出会い
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第38話 レヴィアタンは馬鹿

 茜とマモンは話ながら城の中を歩いていた。

 城の案内をするように言われていたマモンは、その必要がないほど茜が城の構造を理解していたことに驚いた。

 この城は魔界で一番広く、ここに長い時間居る者でも全てを把握できているとは言えなかったからだ。


 「初めてここに入った時に逃げ切れるようにって覚えさせられたから。それに一度見た者はよっぽどのことがないと忘れられないしね。」


 完全記憶能力、ゼウスやラプラスのような全知でない代わりに茜も蒼も一度見た者は全て記憶することが出来た。 


 「すごいですね。」


 感嘆のまじった声で言うマモンに茜は首を振った。


 「・・・すごくないよ。こんな力。普通であったら潰されなくて済む。突出したものは潰されるだけだから。」


 茜は人間界でのことを思い出していた。

 他と違うものは恐怖の対象となったあの時を。


 「出る杭は打たれる、ですか。」


 「よく知っているね。・・・だから、私はより力を求めたんだ。弟を護れるように。弟を傷つけないように。」


 自嘲気味に話す茜は顔を俯けてしまっていた。

 そんな茜を見てマモンは苦笑した。―――彼女に似ていると思ってしまう自分に。


 「・・・やっぱり、茜は似ていますよ。あなたのお母さんに。あの人も人には過ぎた力を持ったがために孤独でした。でも、あの人はそれに負けないぐらい強い心を持っていました。」


 「そうなんだ。そう言ってもらえると嬉しいかも。・・・それで、今は何処に向

かっているの?」


 「顔見せということだったので、居場所が分かっている奴の所に。あ、あそこです。」 


 茜たちは庭に出てきていた。

 そしてそのすぐ近くにある崖の下を覗き込むと、大きな海が広がっていた。

 そして、その中心には龍がいた。


 「レヴィアタン?」


 「はい、その通りです。下に降りますが、飛べますか?」


 茜の身体を気遣ってくれていることにお礼を言い、頷いた。

 マモンの背中からは4枚の翼が、茜の背中からは8枚の翼が出ていた。

 崖下にある海の中にある岩の上に降りた。

 それまで海の中にいたレヴィアタンもこちらに気づいて人型となり岩の上に上がった。


 「お、餓鬼。体は大丈夫か?」


 その言葉にマモンがお前が言うなと溜息を吐く。

 見た目が本当に小さいのだ。茜より少し小さいぐらいだ。


 「餓鬼っていうな、チビ。」


 茜も少しイラッと来たので言い返した。

 すると背が小さいのを気にしているレヴィアタンはさらに言い返してきた。


 「何っ!?チビっていった方がチビだ。」


 「私よりも小さいくせに。」


 感情的になったレヴィアタンに冷静に返す茜。

 マモンはそんな光景に呆れたのか、また一つ溜息をついた。


 「レヴィア、敬称はつけなくても構いませんが、せめて普通に名前で呼んでください。」


 「なら、勝負をしろ。餓鬼、お前が勝ったら名前で呼んでやる。」


 よっぽど名前を呼ぶのが嫌なのか、勝負を仕掛けて来た。

 嫌なら呼ばなくてもいいのに、と思いながらも茜は話を聞いていた。


 「貴方が勝ったら?」


 「何でも一つ言うことを聞け。これでどうだ?」


 自信満々にこれで対等だというレヴィアタンに茜は嘆息した。


 「・・ねぇ、マモン。あの人馬鹿なの?」


 「えぇ、馬鹿ですね。」


 「そっか、馬鹿なんだ。」


 マモンに問うても同じ答えが返ってきたので茜の中でレヴィアタン=馬鹿という公式が出来上がった。


 「2人揃って馬鹿馬鹿言うな!!」


 あまりにも馬鹿を連呼されたレヴィアタンはとうとう叫び出した。

 けれども茜には馬鹿と言う単語以外当て嵌まるものが思いつかなかった。


 「だって、私に何のメリットもないよ。この勝負。」


 「俺に名前で呼んでもらえるっていうメリットがあるだろ。」


 本当にそれが対等だと思いきっているのだから性質たちが悪い。


 「・・・はぁ~。じゃあ、勝負の内容は私が決めていい?それなら受けてあげる。」


 茜が妥協案を出すと戦えるということしか考えていないのだろう素直に喜んでいた。


 「あぁ、いいぜ。」


 その言葉に茜は顔に笑みを浮かべ、マモンに耳打ちした。


 「分かりました。・・・レヴィア、この勝負負けますよ。それでもいいなら城に来てください。」


 そう言い残して、マモンと茜は飛び、城に戻った。




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