第29話 ジブリールと合流
「やぁ、久しぶり。」
魔界に来て半年ほどたったころジブリールが来た。
クロアがゲートまで迎えに行き、ばれないように直接この店に転移してきたのだ。
ジブリールも蒼と同じように黒いローブを身に着けている。
ジブリールが来るまでの半年は魔界のいろんな場所を見て回った。
何度か事件が起きて、その度に人間でも知っているような大物の悪魔がなぜか現れたが、クロアの力を借りて逃げ切れた。
それに何かに見られているような感じもたまにするようになった。茜たちではなくクロアが。
「今日はどうするの?」
茜が問いかけるとクロアが答えた。
「今日は二組に分かれよう。ジブリールは蒼に話したいことがあるようだし。」
「話したいこと?」
訝しげに首を傾げる蒼にジブリールは楽しそうに答えた。
「うん、この半年でいろいろ調べてきたんだ。蒼とミカエルのこと。」
ミカエルという言葉が出てきたとき蒼の表情が一瞬こわばった。
けれどもそれは一瞬だすぐに元の表情に戻った。
蒼は一度茜を見て、そして頷いた。
「・・・分かった。今日はここに残るからお姉ちゃん気を付けていってきて
ね。」
心配性な蒼に茜は笑って返した。
「分かった。クロア行こう。」
拠点にしている店を出て、茜とクロアはすぐに移動した。
「今日は上層?」
「あぁ。下層や中層では少し有名になってしまったからね。それに上の方が物流がいいからいろんな物が揃う。ジブリールも来たし今日はご馳走にしよう。」
悪魔も天使も食事をしなくても平気だが、パーティーとか祭りとか盛り上がることが好きらしい。
商店街のような場所でいろんな食品を見て回る。
人間界とは食べ物が違い、何か分からない物の方が多い。
大抵は匂いとかで選んでいく。
「そう言えば君は初めて会ったころからそれを身に着けているね。お気に入りかい?」
クロアが茜の髪をまとめている赤いリボンを見ながら話しかける。
「これは、お母さんが死ぬ前にくれた物。今となっては唯一残ったお母さんの形見だけど・・・。蒼にはネックレスを渡していたよ。」
「・・・そうか。君たちのお母さんの名前は確か、菫だったね。」
懐かしむような声、クロアは思い返すように遠くを見ている。
その横で茜はクロアがお母さんの名前を知っていたことに驚きクロアを見上げた。
「憶えている。賢明な女性だったよ。君のお母さんはどちらかというと人間よりだったからね。」
クロアは生きてきた人間を全て知っている。
もしお母さんが神よりの人間だったなら記憶されていなかっただろう。
その後もいろんな話をしながら買い物をして行った。




