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神々の箱庭  作者: 星奈
第二章 魔界での出会い
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第27話 初めての市場

 魔界に来て1か月ぐらいが立ったある日。

 魔界の瘴気にも慣れて力も安定してきだした。蒼も周りの瘴気を浄化する方法を覚えた。


 「茜、蒼。城下を見に行こうか。」


 これは朝起きてすぐにクロアが言いだした言葉だ。

 急かされながらも準備して街へと出た。

 城下に出て一番最初に見たのはたくさんの生物だった。


 「これ、全部悪魔?」


 人型の者もいるが、角が生えていたり、頭が他の生物だったり、体そのものが他の生物だったりと人間界では絶対に見れないような者たちが大勢いた。


 「そうだ。ここら辺に居る者は魔族に類される。力は魔界の中でもあまり強い方ではない。君たちでも勝てるだろう。」


 ここに着て知ったことだが悪魔の中にもいろんな種族がいるらしい。

 堕天使、魔族、魔獣。邪神や死神も悪魔に分類されるらしい。

 初めて見る街並みに茜も蒼も興味津々だった。


 「すごく、賑やかだね。」


 「?人間界でも市場はこれぐらい盛り上がりがあったはずだが?」


 蒼の言葉に不思議そうにクロアが不思議そうに首を傾げた。


 「そうなんだ。私たちはあまり家から出なかったから。」


 「・・・そういえばそうだったね。」


 茜は申し訳なさそうに言うクロアに何も言えず、話題を変えることにした。


 「これからどうするの?」


 茜がクロアに聞いた瞬間、ドンっ、という音が聞こえ、急に体が後ろに引っ張られた。

 蒼が前から来た体格のいい男とぶつかり、手を繋いでいた茜もその勢いで倒れたのだ。

 何人かの男たちが蒼の前に立っている。

 男たちはそれぞれ違う生物を模しており、その中でも一番偉そうな角の生えた男が前に出てきた。


 「何だ餓鬼。余所見してんじゃねぇよ。ぶつかっといて謝罪もできねぇのか?」


 「ぶつかってきたのはそっちだよ。」


 イライラしている男たちの声に平然と蒼が答える。

 蒼が立ち上がりながらローブに付いた埃を払い、助け起こしてくれる。

 そしてやっと男たちも茜の存在に気づいた。


 「あ、何だと餓鬼が。・・・あ?いい女連れてるじゃねぇか。お詫びにその女渡しな。それで許してやるよ。」


 男たちはさっきまでと態度を変え、ニヤニヤと茜を見てきた。


 「・・・下種が」


 「蒼、だめ。」


 ボソッと男たちに聞こえないような声で呟き、力を使おうとする蒼を止める。

 今、ここで蒼が力を使えば必ず天使だと気づかれる。

 そうなれば今ここにいる全ての悪魔が敵にまわる。

 負ける気はしないけれどそれはそれで後が面倒くさくなる。

 

 「どうすんだ?餓鬼」


 ニヤニヤと男は距離を詰めてくる。

 男たちと蒼の間に入り込んできたものがいた。


 「やれやれ、君たちもそこまでにしておきたまえ。大の大人が子供相手に・・・」


 クロアは片手で山高帽を押さえ、鬱陶しそうに言う。


 「なんだ、ジジイ?年寄りは横で黙ってろ。」


 茜と目があったクロアは肩を落とし、首を振った。

 クロアは一度離れ、近くにある壁に凭れ掛かった。

 そして、男たちの前に影が出てきた。その影はごそごそと蠢き、顔のない平面的な人影となり、三日月のように口を裂いて笑う。


 「キハハハハッ!!若造が調子に乗ってんじゃねぇよ。このオレ様が相手になってやろうか?まぁ、オレ様には勝てねぇだろうけどな。勿論そこの餓鬼どもにもなァ。」


 「何だ、こいつ?」


 突然現れた異形に男たちは驚きを隠せなかった。


 「オレ様を知らないのか。はッ、餓鬼よりも劣る知能だなァ。木っ端悪魔。」


 「クロア。」


 男たちを見て愉快そうに笑う影に近寄る。


 「何だァ。今良いところだから止めるんじゃねぇぞ、餓鬼。」


 「餓鬼っていうな、変態(クロア)。」


 その言葉と共に、影の股を踏みつける。


 「オフゥ!?何しやがんだ、茜!!」


 影が声を荒げるのを無視して、蒼のもとに向かった。

 後ろで何か騒いでいるが気にしない。

 その様子を見ていた男たちの一人が何かブツブツと言っている。


 「・・・クロア、・・クロア・・・バロン・クロア!!死神か!!」

 

 「キハハハッ、そうだとも。木っ端悪魔ごときがオレ様に手を煩わせやがってどうなるか解ってんだろうなァ?」


 クロアがわざとらしいくらいにニマァと口を裂いて嗤う。


 「うわあぁぁぁぁ。」


 男たちはクロアから逃げるように慌てて走り出した。

 それを見ていた茜と蒼のもとに聞きなれた声が聞こえてきた。


 「やれやれ、相手の力量ぐらいしっかり量って喧嘩を売って欲しいものだね。」


 振り返るとクロアが呆れて男たちを見ていた。

 影ではなく、燕尾服を着こんだ男だ。


 「クロア、あれがクロアの本体?」


 先ほどまでいた影はいつの間にか消えている。


 「どうしてそう思うんだい?」


 「クロアはよく影を操っていた。それにゲーデは人間に憑依することが出来る。だから、本体は肉体を持っていないことになる。それで影が本体だと思った。」


 「ご名答。・・・それと蒼を止めてくれて助かったよ。彼が本気を出せばあんな奴ら挽肉にできるだろうが、まぁそうしてくれても良かったのだが。後々面倒なことになっただろうからね。」


 言葉の端々に本音を混ぜるクロアに茜は苦笑した。

 丁度その時こちらに向かって走ってくるものが見えた。


 「おい、貴様ら何をしている!」


 人だかりの後ろからドタドタト集まってくる男の声が響いた。


 「憲兵隊だ!憲兵隊が来たぞ!!」


 周りにいたものが叫び、人だかりはそちらに注意がいっている。


 「流石に仕事が早いな。君たちここを離れるぞ。」


 その間に茜と蒼はクロアに手を引かれ裏路地に入った。

 大通りからは茜たちを探す声が聞こえる。

 クロアが影のゲートを開き別の場所に移った。




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