↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々の箱庭  作者: 星奈
第二章 魔界での出会い
PR
27/82

第26話 黒い翼

 神界にある門を潜り抜け、魔界に入った瞬間、肌に触れる空気が変わった。

 目を開けた瞬間に映ったものは今まで見たことのないような断崖絶壁の世界だった。空は暗雲に包まれ、雷が鳴り響き、闇が支配していた。

 空には書物でしか見たことのない魔獣の様なものが飛んでいた。

 今いる所からかなり離れた場所にある崖の上には壮大な城が建っていた。

 その周りにも魔界を囲むようにいくつかの城が見える。


 「あれが皇帝の城だ。ルシファーはあの城にいるだろう。・・・だが、まだ君を連れていくことは出来ないな。」


 「うん、分かってる。まずは力をつける。」


 「その意気だが、まずはここの瘴気になれてくれたまえ。中心に近づくほど瘴気は濃くなるようになっている。力をつけるには瘴気を取り込むのが手っ取り早い。

どうだい、体の調子は?」


 「・・・少し。でも異常は何もない。」


 瘴気の為か力が増したように感じる。けれども体自体に異常は感じ取れなかった。

 クロアもそれを見透かしたように頷いている。


 「そのようだね。では今日は肩慣らしも含めてこれからの生活の場を整るために市場に行こうか。」



 しばらく歩いて一つの店の前に来ていた。

 大通りからは少し離れた所にひっそりと建っている。

 外観は普通の家と言う感じで店にしては目立ってない。まるで隠れているかのように。

 クロアは迷わずその店の中に足を踏み入れた。

 そして店の中に入って店番をしている女の人に声をかけた。

 クロアの後を追って蒼と一緒に店の中に足を踏み入れた。


 「美しいお姉さん、三部屋頼めるかな。」


 店に入ってきたクロアを見た瞬間、その女の人は顔を顰めた。


 「・・・ゲーデ。ここには来るなと言っておいただろう。あんたに貸す部屋などないよ。さっさとおかえり。」


 「そんな事言わないで欲しいな。頼れるのは君しかいないのでね。」


 それでもしっしっと追い払おうとする女がクロアの横にいる茜とローブを着ている蒼に気づいた。


 「あんた、また攫ってきたのかい?」


 クロアを睨む女に、クロアは笑って返す。


 「ハハハ、今回は違うよ。ちょっと事情があってね。ここにいる間、宿を貸してほしいんだよ。」


 「・・・面倒事かい。はぁ。分かったよ。好きにしな。」


 最終的に女が折れて、ここに泊まることになった。


 「助かるよ。」


 クロアがお礼を言うと女はジッと茜と蒼を見た。

 何か違和感があるのか首を傾げながら問いかけた。


 「ゲーデ、この子たちは悪魔かい?何か違う感じがするのだが・・・」


 「・・・・」


 茜や蒼は何も言わないが、横でクロアは考えるような仕草をしていた。

 そしてしばらくして何かを思いついたように笑った。


 「ここに地下はあるかい?」


 「あるにはあるけど・・・」


 「何をするつもりだい?」と問う女にクロアは何も言わずに笑った。

 悪戯を思いついた子供のように。


 「じゃあ、そこに案内してもらえるかな。」







 女に案内されてきた地下でクロアが軽く茜のことを説明した。


 「この子は純粋な悪魔ではない。一応、悪魔に類される存在だがね。」


 「どういうことだい?」


 クロアの説明で分からなかった女は聞き返した。

 クロアはそれに答えず、茜の方に向いた。


 「茜、君の力を見せてあげたまえ。」


 「全力?」


 魔界に来てから体の調子がいい。力が溢れてくるようだった。

 そんな状態で全力を出してこの店は大丈夫なのだろうか?一応魔界なのだからそれなりの耐久度はあるのだろうが・・・そう思って尋ねるとクロアは少し考える素振りをした。


 「いや、・・・ここの耐久度はどれぐらいなのかな?」


 「下級悪魔が全力を出しても壊れないぐらいだと思うけど・・・」


 「じゃあ、羽だけでいいだろう。君が全力を出せばここが潰れるかもしれないからね。」


 「分かった。」


 茜は力を体の外に漏らさないように羽だけを出した。

 それを見た女が驚いて声を上げた。


 「四枚の黒い翼、・・堕天使!?」


 女の答えにクロアが説明をつけ足した。


 「正確には堕天使と人の子だね。堕天使なら君も名前を知っているだろ?」


 クロアが言ったことは正しいが正確ではないが、神を嫌う悪魔に私たちの霊格(そんざい)を知られるのはまずい。


 「それもそうだ。しかしそれならこの子たちは見つかったらやばいんじゃないのかい?」


 茜が堕天使の力を持つというだけでも狙われるのは目に見えていた。

 ただでさえ堕天使は力が強いものが多いのだ。

 天使と戦争中の彼らにとって戦況を変えるだけの力を持つものは喉から手が出るほど欲しいだろう。

 だがその事実があろうと殺されるつもりも捕まるつもりも微塵もない。


 「捕まらなければ問題ないだろう。かと言って、そこらへんの奴らに捕まるとも思えないがね。」


 クロアたちの会話を横で聞いていたが突然横から服を引っ張られた。

 引っ張られた方を見ると蒼が立っていた。


 「お姉ちゃん、力増したね。神界にいた時は二枚だったのに。」


 「うん。これなら意外と早く天界にいけるかも。」


 嬉しそうに笑う蒼に茜も微笑み返した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。