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神々の箱庭  作者: 星奈
第一章 神々の世界
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第20話 ゲーデの密会

 三人がいなくなった部屋に新たな気配が生まれた。


 「キハハハハッ!!あんたを言い負かすとは流石だな。」


 ゼウスの居る王の間に笑い声が響く。

 その異様な存在感にゼウスはすぐに思い至る。


 「・・・ゲーデか。」


 そしてその次の瞬間何もないところに影が出来て、その影は徐々に人影に変わっていった。

 昼間、バベルの塔にいた時とは随分と話し方が変わっている。

 紳士のような話し方から相手が苛立ちを覚えるような話し方へと。


 「久しいなァ、ゼウス王。何百年ぶりだァ?」


 「・・・何のようだ。」


 ゼウスは多少の苛立ちを含ませて影に問いかける。


 「つれねぇなぁ。少しぐらい世間話に付き合ってくれてもいいだろうに。」


 「さっさと用件を話せ。お前に構っている暇はない。」


 ゼウスの言葉に影の口元にある笑みが深くなった。


 「キハハハハッ!!オーケー。オレ様が今日来たのは、あの子らについてだ。あんたらではあれ以上あの子らの力を覚醒できねぇんだろ。」


 「・・・・・」


 クロアはゼウスの沈黙を肯定と受け取りさらに口角を上げた。


 「だったら、あの子らをオレ様達に預けてみねぇか?」


 ニヤニヤとこちらを試すような口ぶりだ。


 「何が目的だ。」


 「純粋な興味だよ。あの子(茜)に対する。久方ぶりにオレ様を熱くさせやがっ

たんだからなァ。」


 「・・・・・」


 ゼウスが影を睨みつけるが、影は堪えた様子もなく、下卑た哄笑を残した。


 「キハハハッ!!また明日来るゼ。それまでに話をつけといてくれ。」


 影は人型を崩し、消えていった。







 部屋からは禍々しい気配は消え、ゼウスも一つ息を吐き出した。


 「ヘルメスはいるか?」


 ゼウスが呼びかけると黄金のケーリュケイオンを持った青年が現れた。


 「はい、何でしょう。」


 つば広の丸い旅行帽ぺタソスを被った青年は顔に笑みを浮かべていた。


 「今すぐオリュンポスの12神を集めろ。」


 「分かりました。ゼウス様。」


 ヘルメスは片手で帽子を押さえ消えた。





 ゼウスの居る王の間に12の神が集まった。

 それぞれがゼウスを囲むように跪いた。


 「今日集まって貰ったのは、茜と蒼についてだ。」


 「彼らが何かしたのですか?」


 「いや、違う。お前たちはこの一年彼らを見てきただろう。お前たちから見て彼らがこの世界で今以上に力を伸ばすことは可能か?」


 突然のことに集まった神々は彼らが何かゼウスの機嫌を損ねることをしたのだろ

うかという疑念を抱いた。が、それはすぐに否定された。


 「どうして、今それを聞くのですか?」


 アテナは先ほどのことを思い出していた。

 先ほど会った時は普段と様子が違っていたがそれでもそんなことで悩んでいるようには思えなかった。

 どちらかというと茜や蒼に対する罪悪感のようなものだった。

 私たちが出ていった後に何かあったのかもしれない。

 そう思って聞くと、予想外の答えが返ってきた。


 「・・・先ほど、ゲーデが訪ねてきた。彼らを自分たちに預けないか、と。」


 「・・・あの変態(悪魔)が!!」


 ゼウスの答えに誰かが悪態を漏らした。

 これは余談だ、が多くの神たちの間でゲーデの主張する快楽は禁忌とされ、悪徳な行為とみなされている。

 故に善性の神霊として生まれながら悪魔としてもその存在を認められていた。


 「・・・・・・・」


 「・・・・・・あいつらはまだ力を秘めている。だが我々がこれ以上その力を磨くことは不可能に近いと思う。」


 ゼウスの問いに誰もが答えにくそうにしていた。

 そんな中でまず最初に意見を出したのはアレスだった。

 戦闘の神として他の神々には嫌われているアレスだが、アレスは茜たちを認めていた

 。認めたうえで戦いを仕掛けていたのだ。


 「あの子たちにはゼウス様の血がいくらか混ざっていました。その為私たちでも力を伸ばすことは出来ました。ですが、あの子たちの本質は『神』ではなく『天使・悪魔』です。なのですべての力を覚醒させるには魔界・天界に連れていくのが一番なのかもしれません。」


 アレスに続きアテナが意見を言った。

 アテナからすれば茜や蒼は自分の子供のような存在だ。

 茜たちが神界に来てからいつも傍にいたのだから。

 だからこそ茜たちには自由に育ってほしかった。

 運命(神の意思)に縛られず思うが儘に―――


 「・・・分かった。他に意見のあるものはいないか。」


 「・・・・・」


 「なら、以上だ。急に呼び出して悪かった。」


 それ以外に意見を出せる者もおらず、話し合いは終わった。


 皆が出ていった部屋でアテナだけが残っていた。

 アテナとゼウスの間には沈黙が重なった。


 「・・・・・・・」


 「・・・ゼウス様、茜たちを彼らに渡されるのですか?」


 最初にそれを破ったのはアテナだった。


 「・・・あいつらが望むのならば。アテナ、お前だってそうだろう。神の意志(掟)や神の気まぐれ(運命)に縛られず生きて欲しい。先ほどの目はそう語っていたぞ。」


 「・・・・・・」


 ゼウスの言葉にアテナは何も返すことが出来なかった。

 アテナ自身もそれを確かに望んでいるのだから。


 「あいつ(ゲーデ)は明日もう一度来る。それまでにもう一度茜たちと話をする。」


 「・・・分かりました。」


 アテナは一礼して部屋を出た。




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