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神々の箱庭  作者: 星奈
第一章 神々の世界
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第19話 ゼウスの秘密

 宮殿に戻ってくるとアポロンが入り口で待っていた。


 「茜、蒼、おかえり。バベルの塔はどうだった?」


 「・・・・・」


 いつもだったら何かしら話す二人が何の反応も示さなかった。

 心配になったアポロンはアテナに問いかけた。

 

 「何かあったの?」


 「アポロン、二人はちゃんと最上階に到達しましたよ。・・・だから、少しそっとしておいてあげてください。」


 バベルの塔で事実を知ったアテナは2人が悩んでいることに気づいていた。


 「?」


 アポロンはアテナの答えに首を傾げていた。







 アポロンとはその場で別れ、三人は王の間にいるゼウスのもとに来ていた。


 「無事到達したようだな。自分たちの手で手にした真実はどうだった?」


 「ゼウスは、知っていたの?」


 「あぁ。」


 「・・・どうして?」


 「それは、どうしてあの兄弟がお前らの父親になったか、という意味か?」


 主語のない問いにゼウスは主語を入れ直して問いかけた。

 ゼウスの問いに茜と蒼はコクンと頷く。


 「・・・・・・・」


 ゼウスは何も答えなかった。いや、答えられなかった。

 ゼウスの顔に変化はないが瞳は申し訳ないと伝えているように思えた。


 「ハデスに聞いたゼウスの願いって本当?」


 そんな様子のゼウスに茜が別の質問をした。

 ゼウスの肩がピクッと動いた。それを茜も蒼も見逃さなかった。


 「・・・願い?」


 ゼウスは茜たちには自分の選んだ道も何も伝えていない。

 知っているのはハデスだけだ。そのハデスが伝えたということは、茜たちは知ってしまったのだろう。


 「ハデスがゼウスの願いはこの世界に蔓延る歪みを消し、昔のように世界を一つにすることだって言っていたよ。そして、それにはまず天使と悪魔の戦いを止めなければならない――――」


 蒼は一度息を吐き出し、もう一度息を吸い込んで続けた。


 「―――だからそのためにお前たちを利用するって。」


 「・・・・・」


 蒼の言葉にゼウスは何も答えない。


 「・・・例え利用されるためだったとしても、ゼウスやアテナ、他の神々に会えて私たちは救われた。ここで過ごした日々は楽しかった。」


 今まで誰にも話すことのなかった茜の本心。


 「ゼウスたちに出会えてよかった。ゼウスたちと出会えていなかったら、この世界に来ていなかったら、僕たちは勝手に世界に絶望し、世界を見ることは無かったし、知ることもなかった。ただ世界が滅びるのを待つだけだった。」


 そして蒼の本心でもある。本心を隠してしまう2人の精一杯の本音。


 「でもゼウスたちに会えて、この世界が好きになった。例えあの邂逅にどんな意図があったとしても・・・」


 茜と蒼が、彼らの声が、彼らの瞳が訴えかけてくる。


 「だからゼウスが気を病む必要はないよ。」


 『私たちは自分たちの意思で父さんたちを止める。』


 その為に強くなると、彼らの瞳が語っていた。


 「・・・・・・」 


 彼らは何も知らない。

 ルシファーとミカエルの子として生まれた理由を。

 村人たちに蔑まれていた理由を。人柱として殺された理由を。

 それら全てがゼウスの意思だとしても――――それでもいいと――――彼らは言うのだ。


 「それじゃあ、お休み。ゼウス。」


 二人は部屋から出ていった。最初に部屋に入った時とは違うさっぱりした笑顔。


 「茜、蒼!!」


 それまで茜と蒼らしくない行動に驚いていたアテナも我を取り戻し2人を追いかけていった。






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