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第15話 人魔共闘の幕開け

 「フェル殿ー!どこにおられるのですか!」


その声が、洞窟の奥へと反響し、静かな広間に、カツ、カツ、と近づいてくる足音が響いた。


「……ん?」


フェルが声のした方向へ振り返ると、隣にいたフィーネも、少し首を傾げながら入り口へ視線を向けた。


「この声……ヒョウじゃない?」


「だよな。」


そうしている間にも、足音は徐々に大きくなっていく。


カツ、カツ、カツ――。


やがて、洞窟の入り口から息を切らしながらヒョウは広間へ駆け込んできた。


「……っ、はぁ……!」


何か急いでいるのだろうか。

普段の彼女なら決して乱さない呼吸が僅かに乱れ、額には薄っすらと汗が浮かんでいる。

そして、広間に入ったヒョウは真っ先にフィーネの姿を見つける。


「フィーネ殿!」


ヒョウは安堵したように声を上げ、そのまま彼女のもとへ駆け寄った。


「大至急、フェル殿にお会いしたいのです! 一体どこに……。」


そこまで言ったところで。

ヒョウの言葉が、突然止まった。


「…………。」


彼女の赤く鋭い瞳が、フィーネの隣へと向けられている。

そこに立っていたのは、一人の青年『フェル』だった。

紫がかった銀色の髪。

アメジストを思わせる妖しく美しい瞳。

中性的で整った顔立ち。

そして、ただそこに立っているだけだというのに、身体の奥から滲み出るような濃密な魔導(マナ)の気配。

ヒョウの表情から、一瞬にして警戒心が滲み出る。

そして、すぐに反射的に腰へ手を伸ばす。


カチャッ。


太刀の柄に指が触れ、僅かに腰を落としながら一歩後退する。


「あなたは……何者ですか?」


「え?」


フェルは目を丸くした。

その反応に、ヒョウの警戒がさらに強まる。


(まさか…俺って気づいてない?……まぁ、無理もないか。ちょっと前までぷるぷると身体を揺らすクラゲのような見た目の、ポイズンスライムだったからなぁ…。)


目の前にいるのは、まるで別人。

人間としか思えない姿をしたフェルは、何食わぬ顔でフィーネの隣に立っている。


「あぁ、ヒョウ。落ち着けって。」


「…………。」


ヒョウの耳がピクリと動いた。

その声。

その呆れたような表情。

そして、手をひらひらと振る仕草。


「…………あなた、まさか。」


ヒョウは目を見開いた。


「フェル……殿?」


「正解!」


フェルは苦笑しながら、自分の身体を見下ろす。


「レベル二になったことで、姿形が変わっちまってさ。」


「…………。」


ヒョウの視線が、フェルの頭から足元までを何度も往復する。


「…………なるほど。」


「ヒョウ?」


フェルが不思議そうに声をかける。

すると――


「な、なんと……!」


ヒョウの目が大きく見開かれた。


「スライムから…人型へ進化を……。」


「まぁ、正確には『ヒューマノイドポイズンスライム』ってやつらしいけどな。」


フェルが軽く肩をすくめる。ヒョウはしばらく言葉を失っていた。しかし、やがてその顔に驚嘆の色が浮かぶ。


「ヒューマノイド……ポイズンスライム……。」


その言葉を噛み締めるようにヒョウ呟く。

すると、横からフィーネが勢いよく割り込んできた。


「レベルアップだけじゃない、詠唱もちゃんと自力で習得しんだよ!」


フィーネはまるで自分のことのように得意げに胸を張る。


「すごいでしょ!」


「まさか、詠唱まで……。」


ヒョウは再び驚きに目を見開く。

そして、改めてフェルを見つめた。

先ほど感じた魔導(マナ)の気配。

今なら、その異様な濃さの理由が分かる。

以前のフェルとは、明らかに魔導(マナ)そのものの質が変わっている。


「……わかりました。」


ヒョウは静かに息を吐く。

そして、ゆっくりと太刀から手を離した。


「さすがはフェル殿……。」


その表情には、純粋な敬意が浮かんでいた。


「お見それいたしました。」


「いやいや、そんな大げさな……。」


フェルが苦笑しかけた、その時だった。


「……っと。」


ヒョウの表情が変わり、先ほどまでの驚きや感嘆が、一瞬で消えた。

代わりに浮かんだのは、強い焦燥だった。


「……そうでした。」


「ん?」


「フェル殿。」


ヒョウは一歩、フェルへ近づく。


「今は、驚いている場合ではありません。」


声が低くなる。その只ならぬ様子に、フェルの表情からも笑みが消えた。


「一刻を争う事態なのです!」


「……一刻を争う?」


フェルの声が低くなる。さっきまで新しい身体を眺めていた青年の表情は、もうそこにはなかった。

里の首領として。

仲間たちを守る者として。

フェルの目が、鋭く細められる。

ヒョウは一度深く息を吸い、乱れていた呼吸を整えた。

そして――


「実は……。」


緊迫した声で、告げた。




 「ビッツ! 無事か!」


フェルの声と同時に、


バンッ!!


と、勢いよく扉が開かれた。


「あぁ、フェルさ…まぁ!?!!!!」


「…人になってる……?!」


ビッツはその真紅の瞳を大きく見開き、ヘルメスは両手で口元を覆うようにして驚いた。


「…………。」


フェルもまた、食堂の光景を見て固まる。

そこには――

ビッツ。

ヘルメス。

金髪の少年。

そして冒険者パーティー『残土』の面々。

彼らが一つの長机を囲み優雅にクッキーを頬張りながら、紅茶を楽しんでいたのだ。


「…………。」


フェルは無言でその光景を見つめ、さっきまで自分が想像していたものとは、あまりにもかけ離れていた光景に混乱していた。

人間たちが里を襲撃する。

ビッツたちが応戦、戦闘になる。

仲間たちを守るため、自分も――。

そんな最悪の事態を想定して、急いで駆けつけたというのに。


「……なんか心配して損したよ。」


フェルは頬をぷくっと膨らませ、拗ねたように呟いた。


「フェル様。これは、その……。」


ビッツが慌てて立ち上がる。


「あっ、これは……ケビンさんからの手土産でして……。」


そう言って、机の上に置かれたクッキーを指差す。


「……手土産?」


「はい。皆さんに、ぜひ召し上がっていただきたいと。」


ケビンも苦笑しながら頷いた。


「突然押しかけた身だからね。せめてもの詫びと、友好の証だと思ってくれ。」


「なるほど……。」


フェルはクッキーをじっと見つめる。

するとフェルの方からフィーネが顔を出して、その香りをスンスンと嗅ぐ。


「……おいしそう。」


「…お二人も…いかがですか?」


「「食べる。」」


それは即答だった。

そして、フェルが徐に机へ近づくと、ビッツが改めてフェルの姿をまじまじと見つめる。


「それにしても……人間の姿になっているということは、レベルアップなされたんですね。」


「ああ。フィーネとの特訓でな。」


「…おめでとう…フェル様。」


ヘルメスはチラチラとフェルの顔を確認しながら、少し恥ずかしそうにそう言った。


「ありがとう。」


フェルは嬉しそうに答えが、まだ少し頬を膨らませていた。


「……でも、ほんと心配したんだからな。

てっきり、ビッツが戦っているもんだと思ったよ。」


「申し訳ありません……」


ビッツが苦笑するその横で、ケビンがフェルを興味深そうに見つめていた。


「なるほど…話に聞いていた以上だ。」


「ん?」


フェルが振り返る。

ケビンは立ち上がり、フェルの前まで歩み寄ると、改めて姿勢を正した。


「改めまして……私はケビン。エルリア国王にして、冒険者ギルドのギルドマスターをしているものです。」


そう名乗りながら、フェルへと手を差し出す。


(こんな子供が…いや、ハーフリングってやつか…。)


「ここへは、邪竜討伐のお力添えをしたく参りました。」


「…………。」


フェルは差し出された手を見つめる。

その態度から、少なくとも自分たちを害そうとする意思がないことは伝わってきた。

その態度を見たフェルは、僅かに口元を緩め、その手を取った。


「こちらこそ、改めまして。この里の首領をしています。ヒューマノイドポイズンスライムのフェルと言います。」


そして、少しだけ首を傾げる。


「えっと……つまり、ケビンさん。あなた方は、魔物である俺たちに協力してくださるってことですよね?」


「そうなりますね。」


ケビンは迷いなく頷いた。


「私たちの国『エルリア』はここ、温水の霊峰のそばに位置しています。邪竜を見過ごすわけにはいきません。ですので、邪竜ドルガロを討つ。その目的において、我々の利害は一致しています。」


「…確かにそうですね。」


そこで、フェルは少し考え、言いにくそうに口を開く。


「あの、失礼かもしれませんが……その…大丈夫なんですか?」


「何が、でしょう?」


「冒険者たちの意見とか。世間からの目とか……。」


フェルの視線が、窓の外からこちらを不思議そうに覗いている冒険者たちへ向けられる。

すると、冒険者たちは慌てて身を隠した。


「俺たちは魔物ですから。人間からすれば、普通なら敵なんですよね。」


「……まぁ。」


ケビンは少し困ったように笑った。


「冒険者たちの反応や、世間からの目を考えれば……決して『問題ない』とは言えないでしょう。」


「ですよね……。」


フェルは少し肩を落とす。

しかし、ケビンはすぐに言葉を続けた。


「ですが……。」


その声には、確かな芯があった。


「かつて魔物と同等の存在として扱われていたエルフが、今ではセレスティアという技術国家を築き上げ、人間社会に受け入れられている。」


フェルが『そうだったの?!』と言わんばかりの顔でヘルメスを見ると、ヘルメスは小さくコクリと頷いた。そんなフェルたちをよそにケビンは話を続ける。


「ならば、魔物と人間の関係も、変わる可能性はある。私はそう思います。」


そしてケビンは、真っ直ぐにフェルの瞳を見つめた。


「それに……。」


「ビッツ殿から、この里のこと、そしてあなたのことを色々と聞かせていただきました。」


「……ビッツから?」


フェルが隣を見ると、ビッツは少し照れたように頭を掻いた。


「この里がどのような場所なのか。そして、あなたが何を目指しているのか。」


「…………。」


「魔物だけの国を作りたいわけでもない。人間を憎んでいるわけでもない。むしろ、人魔共生を目指しているだとか。そして何より、仲間たちが安心して暮らせる場所を作りたい……。」


ケビンは一度言葉を切る。


「そして今、その場所を守るために、邪竜へ立ち向かおうとしている。」


フェルは何も言わず、ケビンの言葉を聞いていた。

そして――


「そして今、実際にあなたを見て踏ん切りがつきました。」


ケビンの表情が柔らかくなり、差し出していた手に、少しだけ力が込もる。


「――私は、あなた方を信用します。」


その言葉を聞いた瞬間――


『……!』


その場にいた全員がが目を見開き、立ち上がる。


「……国王が……。」


ヘルメスは、驚きを隠せずケビンを見つめていた。


「ケビン様……。」


そして、遅れて食堂へ戻ってきていたヒョウも、思わず息を呑む。


「…………。」


フィーネでさえ、意外そうに目を丸くしていた。

誰もが、その言葉の意味を理解していたからだ。


ケビンはただのハーフリングではない。

エルリアという一国を治める国王。

同時に、冒険者ギルドという、大陸中の冒険者たちを繋ぐ組織の頂点に立つ人物だ。

その人物が、目の前にいるフェルたちを、一つの意思を持つ存在として認めたのだ。

これから先、ケビンの言葉は多くの人間へ届く。


冒険者たちへ。


商人たちへ。


各国の権力者たちへ。

この瞬間、ケビンはその最初の一歩を踏み出したのだ。


「……。」


フェルはしばらく何も言えなかった。


自分たちの里を。


仲間たちを。


そして、自分自身を。


ここまで真正面から見てくれる人間がいる。

その事実が、胸の奥へ静かに染み込んでいく。

やがてフェルは、握られていた手をぎゅっと握り返した。


「……分かりました。」


そして、まっすぐケビンを見る。


「俺も、あなたを信じます。」


「……!」


ケビンの目が僅かに見開かれる。


「これからよろしくお願いします。ケビンさん。」


「ああ。」


ケビンは穏やかに笑った。


「こちらこそ、フェル殿。」


その瞬間、二人の手が固く結ばれる。

それを見ていたビッツは、静かに微笑んだ。


――人間と魔物。


これまで交わることのなかった二つの種族が。

今、確かに同じ目的のもとで手を取り合った。

これは、人魔共生のそして、人魔共闘の幕開けであった。

ケビンはフェルから手を離すと、先ほどまで座っていた席へ戻り、置かれていた紅茶を一口飲む。


「では、本題のドルガロ討伐の件ですが。」


その一言で、食堂にいた者たちの表情が引き締まる。


「現在、私の偵察部隊をドルガロのもとへ向かわせているところです。おそらく、二日後には戻ってくることでしょう。」


ケビンはカップをソーサーへ戻す。


「その時に、偵察部隊が得た情報をもとに、改めて詳しい作戦をお話ししましょう。」


すると、


「まぁ……あの時と同じような状況になってると思うけどね。」


フィーネがそう呟きながら、自分の身体と同じくらいの大きさがあるクッキーを両手で抱え、


ガブッ!!


と豪快に齧った。


「…………。」


ケビンはその姿を見て、思わず苦笑する。


「不本意ながら……今回も、今一度フィーネ様に助けられるかもしれせんね。」


「あら?」


フィーネはクッキーを齧りながら、ニヤリと笑う。


「少しは昔よりやるようになっているんじゃないのかな? ケビン国王。」


「えぇ。そのはずですよ、フィーネ様。」


ケビンもまた、僅かに口元を吊り上げる。

二人の間に、妙な空気が流れた。

互いに不敵な笑みを浮かべる二人を、フェルは交互に見ると、ふと疑問が浮かんだ。


「二人は知り合いだったってこと?」


……。


「まぁ……そんなところです。」


なぜか微妙な間を開けて、ケビンは少しだけ苦そうな顔をして答えた。


(なんだ今の間は…!)


「…………。」


フェルは改めて二人を見る。

フィーネは相変わらず楽しそうにクッキーを頬張り、ケビンは何食わぬ顔で紅茶を飲んでいた。


(あぁ〜……これ、フィーネと昔なんかあったやつだな。)


フェルは直感的にそう判断した。


(……よし。これ以上の詮索はやめとこ。)


聞かないほうがいい。

きっと。

絶対に。

うん……。



そんなフェルの内心など知る由もなく、ケビンは「コホン。」と小さく咳払いをして話を戻す。


「さて。その二日の間に、できる限り準備を進めておくのが最善でしょう。」


ケビンは真剣な表情で、里の面々を見渡した。


「そこで、一つ提案があります。」


「提案とは?」


ビッツがその声に顔を上げる。


「我々も、こちらの里に少しの間滞在させていただいてもよろしいでしょうか?偵察部隊が戻るまでの間、我々も改めて戦いに備えて準備をしておきたいのです。」


そして、ちらりと食堂の外へ視線を向ける。


「それに……先ほど拝見した、そちらの志願兵の方々の訓練相手にもなれると思います。」


「……!」


その言葉に、ビッツは目を輝かせた。

そして、ケビンは続ける。


「冒険者として実戦経験を積んでいる者も多くいます。実戦を想定した訓練なら、多少なりともお力になれるでしょう。」


「それは……ありがたい申し出ですね!」


ビッツは嬉しそうに頷く。

フェルも「確かにな…。」と腕を組みながら考える。


そして――


「えぇ、問題ありませんよ。」


とフェルはケビンへ笑顔を向けた。


「できる限りの準備をするのが、得策ってやつだと思うので。」


「ありがとうございます。」


ケビンは静かに頭を下げた。



 その後も、しばらくの間はドルガロ討伐についての細かな確認や、里での生活についての雑談が続いた。

やがて日も傾き始め、その場は解散となった。


「それじゃあ、また明日。」


「ええ。よろしくお願いします、フェル殿。」


ケビンたちが食堂を出ていき、ヒョウやビッツたちも、それぞれの持ち場へと戻っていく。

先ほどまで賑やかだった食堂は、徐々に静けさを取り戻していった。

そして、食堂に残されたのは片付けをするフェルとヘルメスだけになった。


「久しぶりの人間の身体……やっぱりいいな。」


 フェルは机の上に残ったティーカップや皿を片付けながら、自分の腕を眺め、指を動かし、

腕を曲げてみたりする。

人間だった頃には当たり前だった動作だが、

それが今は、少しだけ懐かしく感じられた。


「…………」


そんなフェルを、ヘルメスはちらちらと見ていた。

食器を片付ける手は動いていたが、その視線だけは何度もフェルへ向けられている。


「…………」


「……?」


さすがに何度目かになると、フェルも気になり始めた。


「えっと……何か俺に用か?」


「えっ!?」


 突然声をかけられ、ヘルメスの肩が跳ねる。


「い、いや…別に…。」


「そうか…。」


ヘルメスは慌てて顔を逸らす。

彼女の頬はほんのり赤くなっていた。


「…………。」


「…………。」


フェルは首を傾げる。


(……? なんか、今日のヘルメス変だよな…。)


しかし、深く考えることはなかった。

そこで、フェルは先ほど考えていたことをふと思い出した。


「あっ、そうそう!」


「…?」


「ヘルメスに頼みたいことがあるんだ。」


「私に……?」


フェルは自分の身体を見下ろし、指を一本立てる。


「俺専用の武器を作ってほしいんだ。」


「…フェル様の…武器……」


「人の姿になったことだしさ。せっかくなら、俺もかっこいい武器を使いたいなって思ってな。」


そうフェルは少し楽しそうに笑って見せる。


「頼めるか?」


「…うん……!」


 ヘルメスはそう嬉しそうに頷いた。


「…フェル様のためなら…喜んで。」


「本当か!」


その答えに、フェルの顔がぱっと明るくなる。


「ありがとう!」


「――っ!」


次の瞬間。

フェルは何の躊躇いもなく、ヘルメスの手を取った。


「よろしく頼むな!」


「…………。」


その一瞬で、ヘルメスの思考が停止した。

握られた手。

目の前にあるフェルの顔。

そして、その無邪気な笑顔。

まるで沸騰しているかのように、顔全体が真っ赤になっていく。


「ヘルメス?」


「は、はいっ!?」


「大丈夫か?」


「な、なんでもない…!」


ヘルメスは慌ててフェルの手を振りほどくと、顔を隠すように俯いた。


「そ、それじゃあ……!さっそく武器の設計を考えるから!」


「お、おう?」


ヘルメスはそのまま、逃げるように食堂を出ていってしまった。


「…………。」


残されたフェルは、ぽかんとその背中を見送ることしかできなかった。


「……なんだったんだ?」


首を傾げる。

フェルの知らないところでヘルメスの胸は、これまでにないほど激しく高鳴っていたのだった。



次回 第16話 人魔共闘戦線

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