第五話 異世界転移する理由
音羽はそう言うと、バッと頭を下げた。
「「別にかまわん。頭を上げろ。」」
「えーっと、今私ひどい顔でとてもお見せできないので……。」
「「なんだそんなことか。」」
ミューズはそう言うと、パチンと右手の指を鳴らした。
すると私の顔の周りがキラキラと輝き、その途端今まで散々泣いて熱を持っていた瞼からスーッと熱が引いていく感じがした。
「「これでいいか?」」
「凄い!!なんですかこれ?」
初めての体験に思わず顔を上げると、ミューズと目が合った。改めて見ると、金色の瞳が髪色と相まって星のようで美しい。
「「これはお前が転移する世界で使われている魔法だ。」」
「転移…ってことはやっぱり死んじゃったんじゃ─」
「「だから違うと言っているだろう!!」」
「「本当はお前のサックスがお前を守って助かるはずだったんだ。寿命がまだあるのに死なせるわけにはいかないからとりあえずここに転移させたが、神々の規則でもう地球には戻せないから別の世界に送ることになったんだ。」」
「─なんだかご迷惑をおかけしているみたいですみません。」
とはいえまさかあの時サックスを庇わなければ生きていたのか。まあ知ってても同じ行動をしたと思うから後悔してないけど!
でも異世界かー。もちろん憧れはあるけど、サックスあるのかな…。サックスは近代楽器だからもしかしたらないかもしれない。
「「……まあ、音羽の音楽が好きな想いが伝わってきたからという理由もあるが…」」
「何か言いました?」
「「…何でもない。とりあえずこの世界について説明する。」」
***
ミューズによると私が転移する世界では科学の変わりに魔法技術が発展しているらしく、今の地球にある電気などの代わりに魔法が込められる魔法石というものがあり、それに定期的に魔力を込めて様々なことに活用しているそうだ。
「なるほど。意外に地球と環境はそこまで違わないんですね。」
「「ああ、お前はなんとなく興味のあること以外まともにできないタイプな気がしたからな。一応お前が生活するのに困らないよう配慮している。」」
「…………」
当たっている。現代っ子かつ興味ないことにはとことんズボラな私が現代文明じゃない場所に転移したら間違いな楽器吹く前に野垂れ死ぬだろう。
「「あと、魔法の使い方も教えておく。生きる上で必要だからな。」」
「本当に何から何までありがとうございます。」
感謝の気持ちをこめて頭を下げる。なんていい神様なんだろう。自分のためにここまでしてくれる人もなかなかいない。
ここまでしてくれたミューズに報いるために魔法の習得を頑張ろうと思った音羽だった。
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