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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯4 今までも、これからもおとめ
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死んだら教えて

 あかりを用意よういし、好奇心こうきしんおもむくまま、私は先に何がるかも分からない階段かいだんりた。


 暗闇くらやみで自分の足元あしもとすら見えず、自分が真直まっすぐ進んでいるかどうかさえ分からなかった。


 どのくらい歩いたか、階段を暗中模索あんちゅうもさくで歩き、実際じっさいの長さが分からず、何十段、何百段にさえ思えた。


 実際はたいした距離きょりでもなかったかもしれない。


 階段を降りきると、頑丈がんじょうそうな鉄のとびらあらわれた。


 その扉はまるで入る事をこばように私を威圧いあつし、おくさせた。


 しかし、扉を開ける事を躊躇ちゅうちょした私だったが、ここまで来た以上開けざるえなく、扉にかぎかっていなかった。


 私は扉を開けてしまった――。


 暗黒あんこくが広がった部屋だった。


 灯りがあってもまるで何も見えない。それでも私は、部屋へおそる恐る足をみ入れてしまった。


 部屋の広さも、何があるかも分らないにもかかわらず。


 一歩一歩慎重(しんちょう)に進んでいると、足元あしもとに何かがぶつかり、灯りを近づけようやくそれがはこであることが分かった。


 箱といっても、見慣みなれない西洋せいようの箱の様なものだった。


 私は、その箱を開けようとしゃがみ込み、箱に手をかけたその時だった。


 突然とつぜん、扉がひとりでに閉まったのだ。


 私はおどろき、思わず灯りをとしてしまい、その瞬間しゅんかん全てをやみつつんだ。


 どうにか扉へ辿たどき、ぐに開けようとしたが、その扉は二度と開くことは無かった――私はその部屋にめられてしまったのだ。


 灯りをうしない、部屋の中は何も見えず、何も聞こえなかった――。


 それでも私は必死ひっしに扉を開けようとしたが開かず、別の出口を探したが見つけられなかった。


 たださけび、闇雲やみくもに助けをもとめるしかなかった。


 何か無いか部屋中を探した――しかし、何も見つけられず、誰も助けに来なかった。


 唯一ゆいつ部屋に有った箱も、開ける事が出来なかった。


 私はただ途方とほうれるしかなかった。


 やみの中、どれくらい時間がっただろうか。


 一週間か、一ヶ月か、それも分らず、うすれゆく意識いしきの中、私は死をさとった――。


 断末魔だんまつま、私は不思議なものを見た。


 それはぞくにいう走馬灯そうまとうだったのだろう。


 しかし、その内容ないようはまるで見覚えが無かった。


 何故なぜならそれは、私のものではなかったのだから――。


「――あわてないで、問題もんだいはここからよ」


 誰の走馬灯かは分からない――知らない人が私に、私をとおして誰かに話しかけていた。


 他人の走馬灯とはいえみょう現実的げんじつてきで、まるで自分が体験たいけんしてきたことの様だった。


 『内容ないようが思い出せない。忘れてしまったのか――たしか名前が…、あき?…。名前が思い出せない。私の、私の見た走馬灯のぬしの名前が…』


 走馬灯の内容ないようおぼえていない。忘れてしまったのか、まるで思い出せない。


 うすぼんやり女性が居た様な。それ位しか――。


 ――気が付くと私は、見覚えのある暗闇の中に居り、自分がまだ生きている事を知った。


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