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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯4 今までも、これからもおとめ
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箱入り

 死線しせんをさまよった挙句あげく走馬灯そうまとうまで見たというのに私は生きていた。


 何故なぜ生きているのか、あのまま死ねたら楽になれたのに――。


 そう思わざるえなかったそんな時、私はある事に気付いた。


 今まで感じる事の無かったそれは私の体をとおけて行った。


 私はそれの出どころを必死ひっしで探した。


 そして見つけることが出来た。かすかな光を――。


 今まで感じる事が出来なかった風の流れ、見つける事の出来なかった光。


 死線をえ、私の体に何かが起こったのか、不思議ふしぎなことにそれらを感じ、見つける事が出来た。


 私は最後のちからしぼり、いつくばって風の流れる光を目指めざした。


 そこにはかべれ目に小さな隙間すきまがあり、まぶしいほどの光がれ、風がいていた。


 それはまさしく外へ続いているに違いなかった。


 私は必死ひっしった。


 つめれ、血が流れようが掘り続けた。


 無我むが夢中むちゅうだったからか、痛みは感じなかった。いや、感じることが出来ない様になっていたのかもしれない。


 必死だった。必死に、必死に掘り進め、ついに私は地上へ出る事が出来た――。


 たどり着いた先は『六鳴館ろくめいかんとなり教会きょうかい、その内部ないぶへ出た。


 地下でつながっていたのか、地下室から掘り進め、いつの間にか教会地下まで来てしまっていた。


 ひさしく見ていなかった外の光はあまりにまぶしかった。


 眩しく、こう々しく。それはまるで女神めがみような――。


 その時、地上へ出て初めて見たものが、教会にかざられた硝子がらすだった。


 その美しさは私に、地下での出来事できごとわすれさせ、見惚みとれさせた。


 しばらく動けなかった私だったが、われかえるとある事に気が付いた。


 無意識むいしきでの仕業しわざだろうか、地下室にったはこを持って来ていたのだ。


 それを見た途端とたん、開けずにはいられない衝動しょうどうが、私の体を動かした。


 明るい所であらためて見たが、それは何の変哲へんてつもない箱だった。


 なんならかぎすら無いただの箱。


 しかし、地下室では開ける事が出来なかった――しかし、それが今になって開き、私は躊躇ちゅうちょなく箱を開けた。


 開けてしまった。


 箱を開けた瞬間しゅんかん、中からけむりあふれ出し、私をつつんだ――。



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