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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯4 今までも、これからもおとめ
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ちっぽけな…

「何をそんなに――わたくし、何かなさいましたか?」


土俵どひょう女人禁制にょにんきんせいじゃ!女が上がれば神聖しんせいな土俵がけがれるじゃろ。今すぐにそこからりるのじゃ!」


 その一言ひとことがきっかけだろう。


 神主かんぬしぶんには、私も頭に来たが、大郷司だいごうじ万千まちはそれ以上だった――。


 彼女のまわりをただよ空気くうきようなものがゆがみ、その場一帯(いったい)め、変わるのを感じた。


 その張り詰めた空気に私は、その時の状況じょうきょうよりも、彼女に恐怖きょうふした。


 大郷司万千という人物じんぶつ偏見へんけんを持っていた事は事実じじつだった。


 彼女の体格たいかく容姿ようしうわさから想像そうぞうするに、彼女はいかりでわれわすれ、闇雲やみくもあばれる性格せいかくだとおもんでしまっていた。


 しかし、彼女は見た目とは裏腹うらはらに、怒りでぎゃく冷静れいせいになる人物で、それはおそろしくも思えた。


 彼女はあまりにも冷静で、こういった事にれているように私には見えた――。


罰当ばちあたりもんが、いいから早く降りるのじゃ!」


「わたくし、降りませんわ――わたくしが本当にけがれているかためしてみましょう」


「何を言っておる、そんな事をしたらばちが、たたりがきるぞ!」


 大郷司万千は土俵の上から仁王におうちし、神主を見下みおろしていた。


「罰でも祟りでもお好きになさればいい。わたくし、げもかくれもしませんわ!しかし、まんいちにもわたくしに罰が当たろう事がございましたら、それはかみがわたくしを差別さべつしたあかし。そのような神、デモクラシーを生きる、このわたくしがゆるしませんわ!」


 神をもおそれぬ言動げんどうに、神主は唖然あぜんとしていた。


 神やほとけについて私はよくわからないが、そういったものに対して罰当ばちあたりなことをする。いかにそれらが信仰しんこう迷信めいしんだとしても、普通ふつうはやらない、出来ない。


 何か起きるかもしれないと、罰が当たると。しかし、それがただ慣習かんしゅうだったら、唯の差別だったら――。


 彼女はそれをやってのけたのだ――。


 ――私にも出来るだろうか――。


『だから私、土俵に上がったわ――土俵の上はとても高く感じ、見渡みわたす海さえ小さく思えた』


「あら貴女あなた、罰が当たるわよ――」


「それはおたがさま――」


 神主は言葉も出なかった。


 それでも、さわぎに気付きづいた大人おとなたちあつまって来て、土俵をかこまれてしまった。


 ちらほら顔見知かおみしりがり、流石さすがにまずいと思った。


 しかし、後悔こうかいはなかった。


「何してる、お前達。そこから降りろ!」


「あれは、たまきさんとこのおじょうさん?――貴女、何をして」


「この罰当たりが!降りろ!」


「わたくしをここから降ろしたかったら、力尽ちからずくにでも降ろしみてはいかが?もっとも、出来たらの話ですが」


「何~、待っていろ。今()きずり降ろしてやる」


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