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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯4 今までも、これからもおとめ
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見張って見合って

「私は――」


 そんな国がるのなら、魔法まほうが本当なら、なにもかもかえりみず、全てをてて付いて行きたかった。


 いや、いっその事何処(どこ)にでも、何処でも良いから逃げ出したかったのかもしれない。その勇気ゆうきさえ有れば――。


「私は、私のために『オズ』を探す。その為に何でも協力する。結婚けっこんだってする。だから、私をたすけて――」


 それから数日すうじつぎ、見合みあいの日がやって来た――見合いの場所は私の家。


 大郷司だいごうじ万千まち、彼女は一人で来たわ。


 お似合にあいのドレスで着飾きかざり。


 彼女の態度たいどときたら、見合いというより、たまき品定しなさだめしに来たようだった。


「良い屋敷やしきですね、海も近いし――」


「……気に入ってもらえて良かった」


 挨拶あいさつほど々に、『あとわかもの同士どうしで――』などける様に、彼女と二人きりにされてしまい、そんな私は、特注とくちゅう背広せびろ男装だんそう姿すがただった。


 長かった髪もうなじまでみじかく切り、油でかため――おかげで、赤くなった目はかくせなかった。


「もうおやめにしましょう、こんな茶番ちゃばん。わたくし、殿方とのがたとしか結婚しないの。貴女きじょにもその覚悟かくごは無さそうですし――」


「!?待って下さい。それではご両親との――」


「親の決めた縁談えんだんなんて、わたくしいくらでもことるわ。わたくしのお相手は親が決める事じゃない、わたくしが決める事――貴女は違うの?そんな覚悟で泣くくらいなら、男のふりなどやめなさい」


「――私が好きでこのような事をしているとでも…」


「表へ出ましょう、海が見たいわ――」


 それから私達はみなとに海を見に行ったわ――見合いの次はランデブーとは気がいているわ。


 正直しょうじき私は、大郷司万千のもうにほっとした。


 そもそもこんな見合いが成立せいりつするわけがなく、相手(がわ)からことわられる事を内心ないしんのぞんでいた。


 しかし、この見合いが破談はだんしたからといって私自体何も変わらない。


 また次の見合いが決まるだけの事。


 ただ、こんな事をさせられないのなら、その方がまだましなのだろう。私が私でいられるなら。


 ハイネさんとの約束もあったが、この見合いが破談したら約束やくそくもなにも無いだろう。


 しかし、『オズ』を見つけられるのなら、それにしたことはなかった。婚約が無くなった以上、家も私もすくわれていないのだから。


「本当によろしいの?ご両親が何と言うか――」


「わたくしより、ご自身の心配しんぱいをなさったら。事情じじょうぞんげませんが、家運かうん一身いっしん背負せおっているのでしょう。そこまでなさって――」


「このようかたちでなければ――私も旗本はたもとむすめ殿方とのがたもとへはとつぐ覚悟は出来ています」


「とても素晴すばらしい考えをお持ちね。尊敬そんけいしますわ」


 思ってもない事を――私は何を、見えをっているのか。


 破談はだんと分かった途端とたん気がゆるんだのかしら。


 思ってもない事を…。唯単ただたんに私は、彼女がわないだけなのだ。


 自由で、強い彼女を。


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