サーカス団
「魔女以外に魔法は使えない。彼女が魔女だとして、貴女が魔法を使える様になったとすると――」
「あたしが魔女になった――」
「ちょっと違うわ。魔女が魔法を使えなくなる事は確かにあるわ。唯、魔法が使えなくなるだけで、魔女に変わりない。魔法が使えず魔力は残る――自分に魔力を残して、魔法だけを他人に移す。そんな事出来るの?他人に魔法を自由に使わせたら自分が損するだけだわ」
「何だか分からないが、魔女に成らなくても魔法が使い放題ってこと?あたしが?」
「貴女の話が本当ならね。彼女は今、魔法が使えない筈。それに彼女も気付いている――使うのは勝手だけど、程々にしないと彼女、大変なことになるわよ」
「夜音!いい加減にして。一体何を話しているの?」
「え~と…、つまり――」
夜音の話は何かを隠している様だった。要領を得ず意味が分からない。かと思うと、私の事を聞いて来たり、魔女の事を教えろだなんて。
魔女に付いて彼女は何か知っているの?
「もしかして彼女、魔女について何か知っているの?」
「お前が魔女だと言っちゃった――さっきの事も魔法だとバレてる」
「はぁ?何言ってるの?人の事勝手に――ていうか、彼女魔女について何か知ってるの?『オズ』については?まさか、彼女は魔女?」
魔女について知っている人物が目の前に――。女性解放戦線に頼れなくなった今、彼女に魔女の事、『オズ』の事を少しでも教えてもらうしかない。
魔女の事を知っているということは、もしかして彼女は魔女かもしれない。そうなれば、私の知らない本当の事を知る事が出来る筈。
魔女の事『オズ』の事、今の私の事。
――しかし、ハイネさんの様に魔女を、『オズ』を探して、利用しようとしているのかもしれない。
そうなったら、また厄介ごとに巻き込まれそうだし危険だ。
そんな人物に私が魔女だと知られてしまった。
夜音は一体何を考えているのか。
「お取込み中悪いけど、魔女を見つけてほっとく程、サーカス業界人手が余ってないわ。さっきの事水に流してあげるから、一緒に来ない?」
「えっ?何て?夜音、今彼女は何て言ったの?」
「悪いがサーカスになんて興味無いな――あんた等が『オズ』へ行くというなら話は別だが」




