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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯2 もう一人のおとめ
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一度だけ

「お母様に会いに行くのね…」


「そんなにいいもんじゃない――お前はどうなんだ?『オズ』に行くだけならハイネに付けばいい。わざわざ組織そしきてきまわすような真似まねを」


「そんな事しないわよ。ただ、友人に会いに行くだけよ」


 実際じっさい私にはそれぐらいしか出来ず、それすらも出来ないかもしれない。


 それでも今は、『オズ』より大切なことのような気がする。


 『女性街じょせいがい』に来てからは、『オズ』へのあせりは無くなっていた。


 『女性街』が実在じつざいして、『オズ』の手掛てがかりそのものだったのだ。それ以上のことを、友をいてまで探すことではない。


魔法まほうを使ってさわぎをこせ――会場が騒然そうぜんとしているすきに、あたしは二代目にだいめを探す。お前はおとりになれ。そのついでにお仲間をさがせばいい」


「それでいいの?約束やくそくどおり魔法は使わせてあげる。ただし、一回。一回だけ――一度しか使えない。その使いどころは貴女にまかせるわ。何が起こるか私にも分からないけど、貴女がそれでも良ければ呪文じゅもんとなえて」


無暗むやみに使うなってか――あたしに使えるのか?魔法が」


「一度だけなら。一度しか使えない魔法――『チェスト』を」


 彼女が魔法を使うというのなら、私は彼女のそばをはなれられない。


 一体何が起こるか、何度も使わないか見張みはらなくては身が持たない。


 それに彼女と一緒にいた方が良い事もあるだろう、さすがに彼女には手荒てあら真似まねはしないだろうし、彼女の言う事ならあるいは――。


 ふとい二本のはしらの間には数段すうだん階段かいだんがあり、その先に唯一ゆいいつの入り口。


 結局けっきょくのところ、このとびらが開かない事には作戦も何もない。最悪この扉を開けるために魔法を使う羽目はめになるかもしれない。


 中の様子も分からない以上、一か八かになり、もし入れたとしても大勢おおぜいの人間がるであろう会場内から都合つごうよく見つけ出し、話が出来るひまがあるだろか――。


 いや、ここまで来てなやむのはやめよう。話せなくとも顔さえ見れれば…。


「あたしは信じるぜ。魔法を、『オズ』を――」


「私も、今はそう思うわ。だから、貴女きじょを――」


「――夜音よねだ。呼び捨てでいい。そうだろ?おとめ」


「そうね、夜音――」


 私と夜音は、覚悟かくごを決めた。左右のとびらの取っ手を、二人で片方かたほうずつにぎり、顔を見合わせ合図あいずし、その扉を開いた。


 ガチャ――。


 今になって気が付いたが、何故なぜ、扉が開くか確かめなかったのか、何故、中の様子ようす確認かくにんしなかったのか――。


 扉にかぎかかっておらず、いきおいよく開いてしまった。


 中はゆか一面いちめん絨毯じゅうたんが引かれ、階段がおくにあるだけの何も無い、徒広だだっぴろい空間になっていた。


 所謂いわゆる豪勢ごうせいやかた広間ひろまそのものだった。


「やられた――」


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