約束
「ねぇ…。一体どこに行くの?――それに、何故誰も居ないの?」
「馬鹿か?目の前に見えるでかい建物、あそこに行くに決まってんだろ――なんだぁ?今更ビビってんのか?」
「皆舞踏会の為、目の前の建物『六鳴館』に居るわ――それと、誰も居ないのは好都合よ。見つかったら貴女、唯では済まないわ」
「…どうなるの?」
「フフッ。ここは大使館。治外法権よ――警告なしで撃たれてもおかしくはないわ」
冗談にしても、何を言っているか分からず、笑えない――。
それにしても、彼女は私をどう思っているのだろうか。守って欲しいとはいわないが、彼女にとって私はそれだけの価値があるのではないだろうか。何か、もっと、こう…。
「それはそうでしょう。貴女はまだ、招待していないのだから」
招かざる客。ならば、何時ならいいのか。今なら何が問題なのか?
「お前、自分がお客様とでも思っていたか?――あたし達は、奴らの敵だぞ。最悪殺されるかもな」
思ってはいない。思ってはいないが、胸が痛いのは何故だろう――というか、何をさせる気だ彼女?
「ウップス!私はノータッチよ。二人でやってね――何かあっても私の名前は出さないように」
「いいの?私が魔女で、『オズ』の為に必要なのでしょ――問題を起こしたら、逆効果じゃない?」
「口で説明するより手っ取り早いわ――それに、舞踏会を滅茶苦茶にしてもうと私も助かるし。頑張ってね」
そういうと彼女は来た道を戻って行った――とはいえ、私にはその気は無かった。
魔法の使えない今、どうこの場を乗り切るか…。
私は唯、万千や環とほんの少し、少しで良いから話がしたかっただけで、出来ればこの女性――ハイネさんから『オズ』について詳しく聞きたいところだった。
「私も待ってようかな…。今日だけで何度死にかけたことか――」
「はぁ~?何言ってんだお前。約束しただろ?組織を壊滅させて、ここをあたし達の秘密基地にするって」
そんな約束はしていない。
「それで、あたしを『オズ』へ連れて行く――」
「貴女!?そんな約束は――」
「しっ!聞こえる――」




