三代目
「『三代目』って一体何の事?貴女一体何者?」
「……。見た通りの人間さ――お前、一体あたしの何を見た?」
「あら、彼女には話していないの?――貴女が『三代目雷鳥』であることを」
「なった覚えは無い…」
『三代目雷鳥』!?『雷鳥』と言えば、女性解放運動の代表的な人物の名前。
その三代目が彼女だなんて――彼女も組織の一員なら何故こんな事を?彼女の目的は何?
「貴女そんなに偉かったの?――でも一体何の為にこんな事を?」
「彼女は今日の主役よ。照れちゃって――改めて、ようこそ。『三代目雷鳥襲名披露舞踏会』へ」
「何よそれ?わがまま?唯の遅刻?――それなら早く行きなさいよ」
「そうよ。早く行かないと、ミス・大郷司が三代目になってしまうわ」
は?――。今何て?
「そんなもん幾らでもくれてやるよ――あたしの目的は別にある」
「――『二代目』に会うの?」
「……」
万千が三代目雷鳥ですって?そんな馬鹿な話が――。
その為に万千を連れて来たの?万千はそれを知っているの?そもそも何故万千なの?
「何故、万千なの?――何をさせる気?」
「三代目については揉めててね。私なんかは、夜音ちゃん一択なんだけど――二代目は、ミス・大郷司を三代目にして、この国の指導者にしたいらしい」
呆れてお手上げらしい――嵐山さんの大袈裟な身振りは、そういう意味だろう。
私も理解できない、彼女は何を言っているのか。
「どうせ、ゲーテの策略だろ――何考えてんだか」
ハハハ…。言葉も無い――。
彼女等の途方もない計画に、私はつい女性を蔑視してしまった――無理だ、と。
非現実的で、その難しさに、不可能だと考えてしまっていた。
実際、その現実を突きつけられている今なのだから。
その事について私は、もう何も言えなかった。途方のない話に、私の力が及ば無い事に――。
しかしそれは、万千と私の存在に差がある事を感じざる負えなかった。
「もう私、付いて行けないわ。万千に聞く。彼女は何処?」
「貴女が行ってどうするの?『女性になんか出来る訳が無い――』、とでも言うの?――確かに、私もその事には反対だけど、それは『OZ』へ行きたいが為。それ自体は唯一残された手段といっていいわ」
『オズ』へ行く為――その為に、万千を指導者にさせない?一体何故?
一体何を考えているのか。そもそも、万千を指導者にしたいなんてどうかしている。
デモクラシーはそこまで女性の地位を高められるものなのか?でなきゃ、戦争に乗じて国取りでもする気?




