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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯2 もう一人のおとめ
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異国

 彼女はおもむろさくを一本一本()すり、何かをさぐり始めた。


 鉄製てつせいの柵は、一本はほそいとはいえ、力尽ちからずくではどうにもならなそうだった。


たしか、ここらへんだったような――」


 そう言って、柵の一本を手にしたとき、柵の一部が切り取れた。


 たまたま取れたというより、事前じぜんに切っていたのだろう。今日のために計画を立て、用意していたらしい。


「行くぞ――」


 切れた柵の隙間すきまは、ひと一人ひとりがぎりぎり通れるほどはばしかなく、柵のこうには、しげ々もその行く手をはばんでいた。


 しかし、彼女はおかまいなしに進んで行った。私にいたっては、お構いなしに進む彼女に少しいてしまっていた。


「えっ、ここを通るの?――ほかに道は無いの?」


馬鹿ばかっ!早く来い!」


 私はいや々、通るのがやっとの隙間を無理やりけ、木々のえだをかき分け、やっとの思いで抜けた――。


 ――その先は、私の想像そうぞうはるかにえていた。


「――ここは…、外国?」


 そこにはまるで夢の様な、見た事の無い異国いこく風景ふうけいが広がり、地元のまちから別世界べっせかいへ来た思いだった。


 見た事もない洒落しゃれ建物たてもの、中心の広場には噴水ふんすい。空気のにおいや、空の色までが違って見えた――人の姿すがたは見えないが、きっと外国の貴婦人きふじんが住んでいるに違いない。


素敵すてき――」


 まるでおとぎ話の世界。


 私はここへ来た目的もくてきや、ここが何処どこかもわすれ、つい街のん中で歌って、おどりたくなってしまった。


「おい、それだけはやめろよ――あたしは、他人の鼻歌はなうたってやつが大っきらいなんだよ」


「ハッ!つい――」


 われかえると、体が勝手かってに踊ってしまっていた。あやうく歌まで歌いそうになってしまっていた。


綺麗きれいな場所でしょう。私の国によくているわ――フフッ、不思議ふしぎな組み合わせね」


 ――!?まるでせていたかのように彼女はそこにた。


 おどろきはしたが、不思議ではない。何故なぜならここは、女性街じょせいがい。彼女達の国なのだ。


 さが手間てまはぶけたのは良いが、たして、今彼女に見つかる事は良しとするのか、私には分かりかねるのであった。


「ハイネ…。随分ずいぶんあつらきだな――魔女まじょの国へ観光かんこうにでも行くのか?」


「待っていたわ、『三代目さんだいめ』――遅かったわね、舞踏会ぶとうかいはもう始まっていてよ」


 『三代目』?――。走馬灯そうまとうでも彼女の事をそう呼んでいた。


 彼女は一体――。


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