再び
「ちょっと…はぁはぁ、やめて。は、話を聞いて…」
「チェ――スト!!」
ガシャ――ン!
私の自転車が見るも無惨な姿にされた時、私の目の前も真っ暗になった。
――――。
「――きろ、おい、起きろ!おーい。生きてるか?」
私、いつの間にか気を失っていたのか。魔法の使い過ぎで、体力の限界が来たのだろうか。
「八乙女ツクスだな?」
「?。嵐山夜音でしょう?」
倒れたからと言って、そこまでは忘れないわ。心配しすぎ。それにまだ頬が痛い…。また叩かれたのかしら?
「最初に言っておくが、これは染めているだけだ。外人じゃない」
「それは知っているわ。何度も同じことを言わないで。頭痛がするわ」
「それもそうだな、散々走馬灯で見た訳だ――互いに、互いの秘密を知った。というところか」
?それはさっき聞いた。彼女は何故、繰り返し同じことを話しているの?
少し前、会ったばかりの時の様に――それも彼女の性格かしら。
「それよりお前、何で怪我一つしてないんだ?魔女だからか?魔法を使ったのか?――あたしにも見せてみろよ、魔法を」
「何を言っているの?散々見たじゃない。今じゃ、貴女の方がうまい位よ――それに、もう体力が無いわ。これ以上はまた倒れてしまう」
「はぁ?私が使える訳ないだろ――そうだな…、あの自転車。あの自転車を吹き飛ばして見ろ」
こんなに都合の良いことが起こるだろうか――しかし、そうとしか考えられない。
時間が巻き戻っている――。
彼女は自分が魔法を使えることも知らず、呪文のことも走馬灯で見ていたとしても聞こえてはいない筈。まだ知られていない――。
巻き戻っただけだとすると、私は魔法を使えないままだろう。今それを確かめる訳にはいかず、彼女に呪文を知られる訳にはいかない。
「今更隠す訳ではないけれど、今は使えないわ――それより、急ぎましょう。女性街へ」
「食えない女だ。手の内は見せないか――それより、何処まで知っている?あたしのことを…。女性街へ行くとは言っていないが」
「そう?でも、行くのでしょう?女性街へ」
「言っとくが、あたしはまだ、お前を魔女と信じた訳じゃない。魔法をこの目で見るまでは、な――それに、お前に協力する義理も無い」
「貴女に一度だけ魔法を使わせてあげるわ。女性街へ私を連れて行ってくれたらね――」
ブロロロロ――。
彼女は赤バイに跨り、起動させた。
「乗れ――約束だぞ」




