あたし
走馬灯では気が付かなかったが、彼女、外国人だったのか?
「最初に言っておくが、これは染めているだけだ。外人じゃない」
染めるって、そんな事出来るの?と言うか、そんな事より、赤バイで人を跳ねといて心配もしてないの?
「生きてる…。現実よね?これ」
どうやら、走馬灯から生還したらしい。もう少し見ていたかったが、そのままあっちの世界に逝きかねなかったと思うと、ゾッとする。
私の名前を知っている――彼女もそうだろう。私の走馬灯を見たに違いない。
「何でお前、怪我一つしてないんだ?魔女だからか?魔法を使ったのか?そもそも、さっきのあれは何だ?走馬灯か?」
彼女は私に目もくれず、赤バイの心配ばかりしており、私より優しく介抱している様だった。そもそも、そんなもの何処から…。
「貴女こそ、赤バイになんて乗って、お婆様が知ったら何と仰しゃるか」
彼女は一体、私の何を見たというのだ?魔女や、魔法なんて、私もついさっき知った事なのに――!という事は、紅館での出来事を見たのだろうか?
「互いに、互いの秘密を知った――といったところか。でも、変じゃないか?何であたしは、お前の走馬灯なんて見なきゃいけないんだ。…まぁ、おかげで良いものが見れたが」
「それはお互い様よ――貴女一体何者?女性解放戦線と、どういう関係なの?」
「強ち無関係とも言えないか――それじゃ、教えて欲しかったら魔法を見せてみろ」
「今見たじゃない。走馬灯を――それに、二人ともあれだけの事故を無傷でいる。魔法に他ならない」
「そういうんじゃない。もっと、どーんと。解り易いやつ――そうだな…、あの自転車。あの自転車を吹き飛ばして見ろ」
彼女が指差した先には、事故に遭ったにも関わらず、無傷でそこに立つ私の自転車だった。
「そんな事をしたら壊れるじゃない!そもそも、何故貴女に従わなくてはいけないの」
「――何でも話してやるよ、お前の知りたい事全部。それに、あたしは今から女性街へ行く。お前も連れてってやってもいい。お前が本当に魔女だったらな」
「『女性街』の場所を知っているの!?――やるわ。約束よ」
どうせばれている事、今更隠す必要もない。それに彼女無しではもう、女性街には辿り着けないだろう。
それならば母も許してくれる筈。




