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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯2 もう一人のおとめ
29/131

名前は――

 時間――工場からけ出し、女性じょせい解放かいほう運動うんどうが始まる時間。


 今更いまさら私は、ここに居る全員をどうにか出来るわけはないし、『女性じょせい解放かいほう戦線せんせん』だとしたら女性には危害きがいくわえないだろう。しかし、それでも彼女だけでも――。


一緒いっしょに来て!』


 私は彼女の手をつかみ、出口へかった。女学生達の視線しせんや、教師達の声を無視むしして。


 この工場の間取まどりは分からないけど、取りえずこの場から離れ外へ。


 すきがあれば止める事が出来るかもしれないし、ついでに女性解放戦線についてもさぐりたい。あの教師は一体――。


 闇雲やみくもに歩いてはいたが、外に出られた。中が暗かった所為せいか、日の光がとてもまぶしい。よくもあんな所で作業させていたものだ。


 さて、どうしたものか――。


想定外そうていがいだわ。まさか貴女きじょ二代目にだいめの命令にそむくなんて――でも、私は二代目を裏切うらぎれない。戻って任務にんむまっとうするわ」


『えっ?今なんて?――』


「貴女にはだまっていたけど、私はえらばれたの。今日、この計画に――」


貴女あなた、一体――』


「ごめんなさい。私、貴女をだましていたの。『二代目』のため、貴女の為。その為に貴女を監視かんししていた…。でも、それも今日で終わり――貴女はここに居て。『三代目さんだいめ』に何かあってはいけないわ。私は夜音よねが『三代目』に相応ふさわしいと思っているわ」


『?。何を言っているの?』


「ごめんなさい、私が行かないと別の誰かがわりになるわ――出来れば最後まで知られたくなかった。でもうれしかったわ、私をれ出してくれて――」


『あっ――』


「私、夜音の友達になれたのかしら――」


 そう言うと彼女は、私の手をほどき、再び軍需ぐんじゅ工場こうじょうないへ入って行った。


 名前も知らない彼女だが、これだけ走馬灯そうまとうを見せられればじょううつる。


 そんな彼女が女性解放戦線の一員だった事に、私はただ呆然ぼうぜんとし、動けずにいた。


―――――。


「――きろ、おい、起きろ!おーい。生きてるか?」


 気が付くと目の前には、金髪でセーラー服を着た女性が私の胸座むなぐらつかみ、見下ろしていた。


 ほおが痛い。きっと何度もたたかれたからだ。もっと優しくしてほしいものだ。


 これは現実?私は生きている?――。


八乙女やおとめツクスだな?」


「――嵐山あらしやま夜音よねね?」


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