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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯2 もう一人のおとめ
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夜音

 このごく真面目まじめそうな彼女は一体誰か――きっとこの学校の生徒だろう。


 ミモレのはかまに、ハーフブーツ姿すがたは女学生そのもの。ならば私、つまりこの夢の当人とうにんも女学生だろうか。


 つまり私は、夢の持ちぬしに変わり、記憶きおく断片だんぺん走馬灯そうまとうように見せられているだけなのだろうか――だとしたら何も通じないわけだ。では、私の走馬灯は何処どこへ?


 私の目の前にた彼女だったが、気が付くと消えており、私もいつの間にか外へ出ていた。


「ごきげんよう、嵐山あらしやまさん。フフッ――今日も素敵すてきかみね」


 わっ!――。まただ、彼女がきゅうにあらわれた。しかし、さっきとちがったのは、はかまが違う。ということは、別の日、別の場面ばめんに変わったのだろうか。


 挨拶あいさつだけで、また彼女は消えてしまった――途端とたんに場面が変わり、今度は校門前だった。


「ごきげんよう――また明日」


 そしてまた場面が変わり、彼女がかたりかける――ただそれだけのかえし。


「嵐山さんもご一緒いっしょ昼食ちゅうしょくでもいかが?」


「嵐山さんは、どうして何時いつもも一人でいるの?――」


「嵐山さん」「嵐山さん…」


「嵐山さん――いいえ、夜音よね


「夜音」「夜音」「夜音…」……。


 ―――。場面はわりわり、同じ彼女が一言言うたびに替わって行った。


 何度なんども何度も。それだけを繰り返した…。


 私の名前は『夜音』――。『嵐山あらしやま夜音よね』。


 さすがにつかれがたまり、罪悪感ざいあくかんさえ消えたころ、場面はやっと彼女以外の事をうつした。それでも彼女はまだ居るが…。


 新たな場面には、もう一人女性が居た。気品きひんのある着物きもの姿すがた年配ねんぱいの女性。


 とおくではあるが、その姿勢しせい、立ち姿だけで美しさが伝わってくる。あの婦人ふじんは一体――?


「夜音。お婆様ばあさまが来ているわよ」


 お婆様?私の?――いや、私ではなく、嵐山さんの。貴女きじょはもしや良家りょうけ令嬢れいじょうなのか?


「学園に来るなんてめずらしいわ。何かあるのかしら」


「…――。」


「何言っているの、学園創設者(そうせつしゃ)まごだなんて立派りっぱな事よ」


「…――。」


「おかげでこの自由じゆう文化ぶんか学園がくえんがあるのよ。感謝かんしゃしなきゃ」


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