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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯2 もう一人のおとめ
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走馬灯

 走馬灯そうまとうというものは、大抵たいてい死にぎわ、その一瞬いっしゅんに見るものだろう。だとするなら今がそうだ。


 私は今まさに死ぬのだろう、他人たにんの走馬灯を見ながら――。


 しゃかりきになって自転車をぎ続けた私は、体力の限界をむかえ、視界がゆがみ始めていた。


 き気さえ感じる。その所為せいだろう、時間の流れの異常いじょうに気が付かずにいた。この感覚かんかくは今さっき体験たいけんしたばかりだ、時間がゆっくりと動くこれを。


 死の予兆よちょうを――。


 唐突とうとつだが、あかバイといえば警察けいさつる乗り物だ。二輪にりん自動車に側車そくしゃを付けたそれは、見た目の赤さから『赤バイ』と呼ばれていた。


 しかしそんな事はどうでもよく、問題なのはその赤バイが交差点こうさてんへ、私目がけてんで来たことだった。


 歪む世界で気が付くのに遅れたが、今まさにぶつかる寸前すんぜんであった。


 時が止まったかのように時間がゆっくりと動くおかげで、歪んではいるが運転うんてんしていた人物を見た。


 おかしなことにその人物が警官けいかんではなかった――あれは、女性?だろうか?よりにもよって、また金髪きんぱつだった。


 ――私は意識いしきうしなっていたらしい、気が付くと歪みも時間の異常いじょうおさまっていた。


 しかし目覚めざめてはいない、きっと夢かまぼろしを見ているのだろう。何故なぜなら何一つ見覚みおぼえのない場所にるのだから。


 唯一ゆいいつ分かる事は、ここは天国や地獄じごくではないという事だろう。そこはただの教室だったのだから。


 今の今死にかけていたということは、これはもしかして走馬灯かも知れない。走馬灯と呼べるものかどうかは分からないが、そうと思いたい。


 何故なら走馬灯は生きている時に見るものだからだ――もしそうだとしたら、私はまだ死んではいないという事だ。


『これは夢?現実?――私、死ぬの?』


 見覚えのない教室には誰も居らず、どうやら私の通う学校とも違った――もしかすると女学校かもしれない。なんとなくそう感じた。


嵐山あらしやまさん。どうしたの?早く行かなくてはおくれてしまいますわよ?」


 おどろいた。彼女一体何処(どこ)から、何時いつの間にあらわれたのか?


 嵐山?一体誰の事だ?私を呼んでいるのか?


貴女あなたはどちらさま?ここは一体何処なの?嵐山って?――』


 私のけは彼女にはとどかなかった。まるで聞こえていない様な、私が見えていない様な。一方的な。私を誰かと――。


『夢。それも、これは私のものじゃない…。まるで誰かの夢を見ているみたい。それなら一体誰の――』


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