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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯1 乙女のおとめ
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出会い

 えず、明日にでもたまきの家か、万千まちの家にでも行って話を聞きたいところだが、どちらの家にも出来るなら行きたくない。


 正確せいかくには二人の両親りょうしんに会いたくないのだ。


 環の両親は、私を軽蔑けいべつしているし。万千の所も横柄おうへいきわまり無いし。学校はこんなだし、電話は面倒めんどうだし、どうしようか――。


 そんなことを考えながらふらふらと歩いており、気が付くと駐輪場ちゅうりんじょうまで来ていた。


 登下校とうげこう自転車じてんしゃを使っていた。女だてらにとい言われるが、これほど便利べんりでモダンなものはハイカラの極みでしかない。


 らぬ手はない――とはいっても少しの距離きょりだけで、まだ長距離は乗った事が無い。


 自転車には乗らずして歩いていると、校門こうもんから一台のクルマが出ていくところだった。


 学校ではクルマをあまり見かけずめずらしかった。さらにその黒塗くろぬりのクルマ、何処どこかで見たような――しかし、乗っている人物じんぶつには見覚みおぼえはなかった。


 ドキッ――。そのクルマに乗っていた女性と目が合った。


 すると女性は、私に目配めくばせをしてきた。本日ほんじつ二度目の女性からの目配せ。


 おどろいたわけでも、それにときめいた訳でもなく、その人物が一体何者で、ここで何をしていたのか。


 もしかすると――今日の出来事できごとあたまよぎった。同時に、私はそれにけた。


 押していた自転車を、さらに押しみ、け出した私は、いきおいよく自転車にび乗った。


 門を出たクルマは、けない速度そくどではない。まだその姿すがたを追える距離にた。


 ひと一人ひとり居ない道には、そのクルマしか走っておらず、見紛みまごうこともない。おまけに、クルマが通れそうな大きな道は、ひたすら真っ直ぐしかない。


 れて行ってもらおう、『女性じょせいがい』まで――。


 これをのがすと、何時いつまた会えるか分からない。


 ふたためぐり会えた機会きかい無駄むだには出来ない。


 『オズ』のためにも。さらにうわさの『女性街』にも行けるかもしれない。そう思うと、おのずとぐ足にも力が入る。


 おかげで、れない自転車と、速度そくど恐怖きょうふや、緊張きんちょうわすれ、興奮こうふんかしていた。


 はやく、はやく――あせるあまり、私はクルマしか見ておらず、その速度に気付きづいていなかった。


 それでもクルマとの距離はじょ々にはなされていく一方いっぽうだった。


「ハァハァハァ…もう……限界げんかい


 こんなにいきれたのははじめてだ。くるしい。死ぬ――頭がボーっとして、世界がゆがむ。


 まるで時間の流れがおかしくなったような、感覚かんかくをついさっき体感たいかんした様な。


 交差点こうさてんしかかり、わたった先で休もうと思った。


 そのがりかどから彼女が出て来さえしなければ――。


 彼女さえ出てこなければ――。


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