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【08】 丹沢との再会

レース終了後、爽香は管理者から『即日帰郷』を言い渡された。


『即日帰郷』とは、レース中に重大な違反を犯した場合、

その日に帰させられることを意味する。


もちろん、翌日以降のレースには出られない。


管理者「速水君、ちょっと考えた方がいいんじゃないか。

最下位を走っていて順位も変わる訳でないのに、

レスキュー艇の内側を走るなんて普通の選手じゃ考えられないのだよ。

おまけに今回の競走成績はすべて最下位。

速水君、ボートレース選手だけが職業じゃないんだ、

見切りをつけるなら早いうちだよ」


爽香「すみませんでした」


深々と頭を下げた。


それに追い打ちをかけるように、

他のボートレーサーからも、


レーサー「成績は悪いし、ルールは守れない。

辞めたらどう?」


爽香「考えてみます」


そう答えるしかなかった。


宿舎の部屋に戻ると自分の荷物をまとめて宿舎を出た。


ボートレース場の門を出た瞬間、

涙が止めどなくあふれ出た。


(いったい何やってんだろう、あたし。

ボートレース養成所に入ったときは、

あんなに希望に満ちていたのに)


すれ違う人も驚くくらい爽香は肩を振るわせ、

泣きながら歩いていた。


しかし速水爽香は恥ずかしさも忘れて

大声で泣きじゃくっていた。


今、自分の部屋で速水爽香は考えていた、

これからどうしようかと。


爽香「実家に帰ろうかな、でも……」


爽香の口から自然とそんな言葉が口を突いて出た。


時計が朝の9時半を指していた。


誰かがドアをノックする音が聞こえた。


爽香が無視していると、

しばらくしてまたドアをノックする音が聞こえた。


今度は強い音だった。


仕方なくウトウトしながら爽香がドアを開けると、

そこに丹沢が立っていた。


丹沢「美浦市役所住民課の丹沢と申します」


丹沢「速水爽香さんですよね?」


爽香「はい」


丹沢「ご本人さんで間違いないですよね?」


爽香「はい。あっ、あの時の住民課の職員さん、」


その様子を見て、課長と戸部は、

先に市役所に戻った。


203号室のドアの所に丹沢は取り残されてしまった。


爽香「何かあったんですか? 」


少し前かがみで出てきた爽香の声はか細く、

顔は青白かった。


丹沢(どうしたんだ? まるで幽霊のよう。

病気? 具合でも悪いのか?)


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