【06】 戸部の確信
課長「私は10時から会議なんだ、
あいつを置いて帰るぞ!」
戸部「はい!」
そして戸部は2階に居る丹沢に向かって叫んだ。
戸部「すべて解決した。
先に帰るからゆっくり戻って来ていいぞ」
そう言うと、丹沢の返事を待たずに
戸部と課長の二人は車で先に
美浦市役所へと帰って行った。
帰りの車内、戸部と課長が
口を利くことはなかった。
戸部にとってはそれが何より心地よかった。
戸部は運転しながら、
昨夜の一連の経過を思い返していた。
【回想の始まり】
日曜日の昼、戸部の携帯電話が鳴った。
丹沢からだった。
丹沢「ついに速水爽香を発見しました!」
戸部「えっ、そりゃすごい! やったな!」
丹沢「速水爽香は、ボートレーサーでした。
今『ボートレース戸田』に出場しています」
戸部「良かった! 良かった!」
◇
日曜日の夜、戸部の同僚で
美女来公民館に勤務する公家民夫(くげ・たみお・40歳)から
電話があった。
公家「前に頼まれていた件だが、
ハッピーハイツの203号室、
電気がついていたぞ!」
戸部「えっ、本当か!」
公家「間違いない。203号室だ。部屋も確認した」
戸部「そうか、」
公家「なんだ、電気がついたというのに元気がないな」
戸部(速水爽香がボートレーサーと知らずに、
公家に部屋の電気が点くかどうか頼んだが、
競艇開催中に、なぜ部屋の灯りが点くんだ?
親が来ているのか?)
戸部「いや、なんでもない。
ありがとう、本当にありがとう。感謝している」
公家「お前の頼みだからな」
戸部「やっぱり持つべきものは仲間だな」
公家「今度、その仲間に飲ませてくれよ、お前のおごりで」
戸部「吐くまで飲ませてやるから」
公家「ははははは」
戸部「ははははは」
電話を切った。
電話を切ってからも、
戸部(なんでボートレース開催中なのに
爽香の部屋の電気がつくんだ?)
疑問が湧いた。戸部は、しばらく考え込んだ。
戸部(うーん。わからない)
そのまま戸部は風呂に入った。
風呂場で、
戸部(そうか! ひょっとして、)
戸部は、裸で浴槽から飛び出し、
バスタオルを腰に巻きパソコンの前に座った。
『ボートレース戸田』のホームページを開き、
急いで明日の出走表を見た。
戸部(これだ!)




