【03】 静かなる抗戦
課長の脳裏には、
4月の全体課長会議で市長が言った言葉が
刻まれていた。
全体課長会議とは、
市役所全部で約50の課の課長が一堂に会し、
市長からの指示、また各課の重大問題などを
話し合う場である。
市長「経費節減のため、
職員の残業は出来る限りなくすこと。
不要な職員には辞めてもらうこと。
こちらから辞めさせることは
法律上できないから
退職願を出させるよう誘導すること。
この結果を踏まえて
次回の人事異動を行いたいと考えていますので、
各自頭の片隅に入れておくように……」
課長は席を外し、どこかへ行ってしまった。
丹沢純也は受付窓口に戻った。
君本早苗は自席に戻った。
早苗の机と同じ島には
戸部考一、若石元気、天満稔江が居る。
早苗「戸部さん辞めないでね」
戸部「辞めないつもりではいるが、
どうなることか……?」
若石「あの課長、どうしょうもないですね」
戸部「うん、でもあまり言わない方がいいかな。
課長にベッタリの職員もその辺に居るから」
戸部があたりに目をやりながら言った。
早苗「そうね」
若石「それにしても嫌な奴だ。
聞いているだけで腹が立つ」
戸部「これこれ」
早苗「まぁ、課長には近づかないことね。
あの人危険だから」
そう言いながらも早苗は仲間のために、
危険を冒して課長に近づいたのだった。
稔江「若石さん、」
若石「はい?」
稔江「戸部さんは戸籍のスペシャリストだけれど、
課長は市役所のスペシャリスクなんですよ」
戸部「ははははは」
早苗「ははははは」
若石「ははははは」
一瞬だが、天満稔江の一言で
島の4人がなごんだのだった。




