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【13】 届けられた声援

一方爽香は、丹沢が帰った後、

丹沢が買ってきてくれた温かい食べ物と飲み物を食べて寝た。


そして、ちょうど起きた時にドアのノックが聞こえたのだった。


爽香はドアを開け、丹沢に気付くや否や、


爽香「昨日はゴメン、本当にごめんなさい」


爽香が丁寧に頭を下げた。


丹沢「えっ? 今朝じゃなくて昨日?」


爽香「うん」


丹沢「間違いじゃない? 昨日? なんのこと?」


丹沢はてっきり今朝、

爽香が丹沢の胸に泣き埋もれた件だと思った。


爽香「昨日あたしの舟券買ってくれたんでしょう?」


丹沢「えっ! なんで知っているんですか?」


爽香「だって、あなた声援してくれてたもん」


丹沢「聞こえていたんですか?」


爽香「ええ」


丹沢「あなたを1着にして5点買いしましたから」


爽香「ばかねぇ、あたしの舟券を買うなんて。

最下位レーサーの舟券を買う公務員なんて世界であなた一人だけよ」


爽香が深々と頭を下げた。


丹沢「いやいや、いいんです。

そんな頭を下げないで、早く頭を上げてください。

選手は6人も居るんだから、

毎回あなたが1着になれる訳ないじゃないですか」


爽香「ごめんなさい、あなたに損をさせてしまって」


丹沢「これはギャンブルなんだから何とも思ってないです。

すべて私の自己責任です」


爽香「そう言っていただいて……、すみません」


爽香が再度、頭を下げた。


丹沢「だから謝らないでください。

それより私の声援によく気がつきましたね」


爽香「もちろん」


丹沢「もちろん? でも全然気がついてないようでした。

手も振り返してくれなかったし」


爽香「だって、ボートレースのルールで、

一切外部の者と連絡をとってはいけないことになってるから。

例えば手を振ることによって、

それが外部への合図になることもありうるでしょう」


丹沢「えっ?」


爽香「例えば、手を振ったら『3着以内に入らないよ』とか」


丹沢「なるほど、そうか」


爽香「なぜ、あなたの声に気が付いたのかと言えば、」


丹沢「うんうん?」


爽香「毎回最下位の選手に、

誰も応援なんかしませんからね。初めてだったのよ」

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