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八百万の果て  作者: 三雲にに
真偽ノ甘噛(世界編)
205/213

64話 ツインテール

−−馬鹿が到着したようね

流暢な英語で逆光の少女が言った。

けむくじゃらのアルマが巨木を登り始める。

「わ」

鈴凛をしょったまま彼女は軽々と巨木を登る。

「!」

登り切ると、ジャングルと空の美しい景色を背景にみたことのある勝気な笑顔の少女が鈴凛を待っていた。

「あなたは……!」

「あいかわらず頭の悪そうな顔だわね」

ギフテッドお嬢が不敵に笑っていた。

あぐらをかいてパソコンをその中にのせている。蚊をよけるためなのかネットのようなパーカーをきていた。

ブルーの目が相変わらず綺麗だ。

金色の艶やかなツインテールをさあと肩から手でよけた。

状況が理解できない。なんでこの子がこんな場所に???

「あなたは……」

「ヴァレリってよびなさい」

「あなたがなんでここに、いやそもそもあなたは誰で―、いやなんでここに……いやいやそれより、あなたは未来妃を」

聞きたいことも言いたいことも多すぎた。

「連結点はオブシディアンに取り返されたわ。知ってるでしょ?」

少女は未来妃のことをわけのわからない名称で呼ぶとふうっとため息をついた。

「パリのアパートメントのでの爆破ね」

「そう」

ヴァレリはパソコンにまた目を落とした。

「なんで、この……アルマと一緒に?」

鈴凛は背中におぶわれたまま間抜けにそう聞いた。

「利害が一致してるから」

「利害?」

「アルマは森を守るため」

「わたしはラムジーの畑を破壊するため」

「ラムジーの畑……?」

鈴凛はますます混乱した。

「他にも、お互い戦姫になりたくない、とかね」

ギフテッドお嬢はにやっと笑った。

「!!?」

「戦姫になりたくないなんて……」

いや、今はそんなことはどうでもいい。

自分だって戦姫が嫌になったところだ。

「未来妃はどこ? あなたには能力でわかるんでしょう」

鈴凛はまっさきに聞いておくべきことを聞いた。

「どこにるかは、もちろんだいたいわかってるわ。このご時世電子機器を完全に排除するのは無理だしね。でも今はそれどころじゃ……」

「どこ!」

鈴凛はアルマの背中から叫んだ。

「馬鹿に言うわけないでしょ」

ヴァレリの幼い顔が冷徹になる。

「……!」

「能無しの考えなしの大馬鹿女に、やすやすと連結点の居場所なんて教えるわけないでしょう?」

「……それは」

「でも勝手に高天原を降りてきたところみると、あんたもついに十二宮の闇についてベスにきいたってところかしら……?」

「なんでそれを」

「言ったでしょ? すべての情報はわたしの手にうちにある」

「じゃあだいたいわたしがなんで降りてきたかもわかるでしょ……未来妃の居場所を教えて」

「そうねえ、考えてあげなくもないわ」

「……でも」

「……」

「アルマを使ってあんたを迎えにいかせたのよ、わたしがここにいることはまだばれてないし、あんたが妙な動きをすると面倒だし」

「てゆうか、そろそろおろしてもらえない?」

アルマにきくと、アルマがギフテッドお嬢をみやった。

お嬢は首を横にふる。

アルマは諦めろと言ったふうに鼻息でふーんと言った。

「あきらめなさい」

パソコンで何かを打ち込むのをやめるとギフテッドお嬢はこちらをちらりと見た。

「それに今、高天原の女がマラリアなんでしょ?」

「……それも知ってるの」

「言ったでしょ通信をのぞけばなんでもわかる」

「あなたは……いったい何が目的? 能力があるのに戦姫にもならず、鬼族の味方ってわけでもないみたいだし 未来妃を探し回って」

「わたしは平和に暮らしたいだけよ」

未来妃をオブシディアンから奪っておきながら何を言うのかと鈴凛は唖然とした。

「とてもそうは思えない」

「でしょうね、馬鹿だから理解できやしない」

「……馬鹿馬鹿ってさっきから……」

「そんな馬鹿を連れてきてもらったのにはわけがあるのよ」

ヴァレリはほうっとため息をついた。

鈴凛は怒る気も失せてきた。

「で?」

鈴凛はだいたい予想がついたものの聞いた。

「わたしに協力する?」

にんまりと少女が笑う。

「協力したら青蛾の薬をくれるのね」

「わたしは優しいのよ? 薬どころか、ラムジーの屋敷はもともと爆破するつもりだし、あんたたちを自由にしてあげるわよ。 免疫のない無能な人間ひとりつれまわして、この酷い世界を情報もないまま、馬鹿だけでウロウロできないでしょ?」

「それは……」

言い方は非常に腹立たしかったが、ありがたい申し出だった。

戦姫にはなってないものの、黄泉能力者が2人増えることはとても心強い。

さらにヴァレリは全ての情報を持っている。

青蛾を一人で連れ回すのは大変だ。高天原からいつ追ってがきてもおかしくない。

「非常にありがたい申し出だけど」

「取引成立ね」

ヴァレリはにんまりとした。


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