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図書館に1,000年ほど引き篭もっていたエルフですが、外に出たら知らない文明が栄えていました。  作者: 奇蹟あい
第五章 新たな旅路

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第24話 空間魔法と体形

「何なのかしら、あの村は……」


 ひどすぎるわ。

 いっそのこと燃やしてやろうかしら。


【仕方ないよ。新人類は、人が少ない地域ほど、縄張り意識が強いらしいんだ】


「それにしたって、『この子に街を見学させてちょうだい』って、丁寧にお願いしたのに、あの態度はどうなの……」


 門前払いなんてひどいわ。「よそ者は帰れ」って、それしか言わないし。


「私たちが塔に入っている間に何かあったのかしらね?」


 人にとって10年は大きいというし、生活スタイルに変化が訪れたのかもしれないわ。


【そうじゃないんだ】


 そうじゃないってどういうことなの?


【これまでリアンナと一緒に旅をしていた時ね、実はおいらが先に行って、安全な街や村なのか確かめていたんだよ】


「そんなことをしてくれていたの?」


 もしかして、ちょくちょく空間魔法でいなくなっていたのは、遊びに行っていたのではなくて、そういう下調べをしてくれていたということかしら? ぜんぜん気づかなかったわ。


【ご主人様に万が一のことがあったら困るからね。おいらは使い魔として当然のことをしているだけだよ】


「そうね、考えてみれば当然のことよね。それなら今回もちゃんと下調べしておいてほしかったわ。ルナリアに悲しい思いをさせたじゃないの」


 と、ルナリアのほうに視線を向けてみれば――悲しんでいるというより怒っているように見えるわね。さっきの村に入れなかったのがそんなに腹立たしかったのかしら。


「ルナは大丈夫です! それよりリアンナさん! メミニさんに何かしてもらったらちゃんとお礼を言うべきです! 人に何かをしてもらったらまず感謝ですよ!」


 さっきの顔は……わたしに怒っていたのね。「人に何かしてもらったらまず感謝」……まるでアイツみたいな言い方ね。……はて? アイツって誰かしら? わたしは何を言っているの……?


「リアンナさん?……どうかしましたか?」


 ルナリアが顔を覗き込んでくる。


「感謝ね。いつもしていると思うのだけれど……。メミニ、わたしの安全のために動いてくれてありがとう」


【はい、どういたしまして】


 これで良いかしらね? ああ、良かった。ルナリアが笑顔に戻ったわね。これで満足したのね。


【やっぱり次は遠くても大きめの街に行こう。そのほうが旅人の受け入れに寛容だからね】


「遠いというのはどれくらいのことなのかしら?」


 この世界にメミニの言う『大きめの街』がどれくらい存在しているのか見当もつかないわ。これまで2人で旅をしていた時に訪れたのは『大きめの街』だったのかしら? 人が20人も住んでいない街もあったわよね。


【前に行ったことがあるところではなくて、新しい街が見たいんだよね?】


「それはそうね。新しい街に行かないと新しい情報は手に入らないのでしょう」


 街の見学をしたいのも1つの目的だけれど、わたしたちの時代の生き残りの手掛かりを探すのも大事な目的なのよ。わたしに託された選択の意味もね。


【ランダムに空間魔法で移動して、周辺に街がないか探す作戦しかないかな。うまいこと都市部を引き当てることができたら勝ちなんだけどね】


 メミニが「へへ」と笑う。

 それは勝ち負けなの?


「メミニだけ行かずに、3人で一緒に空間魔法で転移して街を探せば良いじゃない」


 メミニが1人で探しに行っている間、わたしとリアンナだけ暇になってしまうもの。


【いや……おいらが開けられる空間の歪みはとても小さいから……。ルナリアは問題なく通れそうだけど……リアンナは、ね……】


 何なの、その目は⁉

 いやらしく人の体を見つめたりして!


「またわたしにあの辱めを味わわせようとしているのね! ひどい使い魔だわ!」


 胸とお尻がつっかえて、(スタッフ)を引っ張ってもらうのなんてもう二度とごめんだわ!


【そんなこと言っても、リアンナが痩せられば良いだけ――】


「なんですって⁉ わたしは太ってなんかいないわ! 次に口を開いたら燃やすわよ!」


 口を開かなくても燃やすわ!


【理不尽だよ……】


 はい、今燃やす!

 わたしが(スタッフ)を振り上げたところに、ルナリアが割って入ってくる。


「メミニさん! 女性の体形のことをあれこれ言うのは絶対にダメです! お父さんが言っていました!『胸は大きければ大きいほど良い。尻は大きければ大きいほど良い』って」


【それは……ルナリアのお父さんの趣味なんじゃ……】


 まさにそういうふうに見られるのが嫌で、このダボっとしたローブを着るようになったのよね。人族はすぐに見た目で判断しようとするから嫌いだわ。


「メミニががんばって大きな空間の歪みを作れば良いだけでしょう? ルナリアは10年の間に立派に成長したというのに。あなたは10年経ってもまだ同じことを言っているの? そんなの怠慢よ! この10年、あなたはいったい何をやっていたの?」


 使い魔として恥ずかしいわ。


【10年……鬼ごっこの鬼……だね……】


 そういえばそうだったわね。


「めめ、メミニさん! ルナのためにいつもありがとうございます! 訓練に付き合っていただき、本当に助かりました!」


【はい、どういたしまして】


 だから何よ、その目は!

 良いから黙って大きな空間の歪みを作りなさいよ!


【リアンナが少し魔力(オド)を分けてくれたらがんばれるかもしれないかな】


「仕方ないわね……。少しなら良いわよ。忘れじの塔(オブリビオンタワー)魔力(マナ)はたくさん吸収したし、緊急回復用の魔力石もすべて満タンになっているもの」


 全部使い切っても次の塔が見つからなかったら、一度忘れじの塔(オブリビオンタワー)に戻って魔力(マナ)を吸収すれば良いわけでしょう。何も問題ないわ。


忘れじの塔(オブリビオンタワー)をベースキャンプとするわけだね。それは良いアイディアだと思う!】


 じゃあ、わたしの魔力(オド)を分けるから、しっかりと大きな空間の歪みを作りなさいね。


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