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図書館に1,000年ほど引き篭もっていたエルフですが、外に出たら知らない文明が栄えていました。  作者: 奇蹟あい
第四章 ハーフエルフの少女

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第20話 この先の方針決め

 ちょっとルナリア!

 わたしからじわじわと距離を取っていくのをやめなさいよね!

 どれだけわたしのことが嫌いなのよ……。


「はぁ……もう良いわ……。でもいつかは『お母さん』と呼ばせてみせるから覚悟しておきなさい!」


 姉さんの子はわたしが育てるわ!


【ルナリア、あれでリアンナは悪い人じゃないから、まあ、ほどほどの距離感で付き合っていけば問題ないよ】


「そう、なんですね……。がんばり……ます……」


 だからなんでちょっと要注意人物みたいに取り扱うのよ!

 あなたたち2人とも、わたしの庇護下にあることを忘れるんじゃないわよ!



* * *


 さて、ミミックの足鍋で腹ごしらえも済んだところで、この先の方針を立てないといけないわね。

 まずは重要なことをルナリアに確認しておきましょう。


「もう一度尋ねるけれど、この塔にはわたしたち3人しかいない。これは間違いないわね?」


「はい。ルナがこの塔に入ってから、これまで新たに人が入ってきた形跡はありません。ルナたちの後に再び塔の封印が解かれたのは、リアンナさんたちが入ってきた時の1回だけです」


 それであればわかりやすいわね。


「ありがとう。つまりこれからいくら上層階に行ったとしても、誰かに会うことはないというわけね」


 これ以上のこのダンジョンを探索しても、時間の無駄になってしまうかしらね。

 わたしたちの時代の情報を集めるには、塔の外に出ないといけない。最速でダンジョンをクリアしましょう。


【また塔の外に出ないといけないんだね。……そっかぁ】


 メミニが床に座り込んでしまった。

 明らかにテンションが下がっているわね。


「あら、浮かない顔ね」


【だってさあ、外の世界は魔力(マナ)がすご~く薄いんだよ。たくさん食べて栄養を取らないと、すぐに疲れちゃうし……。ここの快適さに慣れてしまったら、外に出たくないなって……】


「それはわたしも同感よ」


【じゃあ!】


 露骨にうれしそうな顔をしないで。


「ダメよ。外に行くわ」


【なんで!】


「ルナリアの時間は有限なのよ」


「ルナですか⁉」


 ルナリアが、突然自分に話を振られて目を白黒させている。

 この様子だと自覚はないみたいね。


【……ごめん。おいらがどうかしていたよ。急いで外に出よう】


 メミニが立ちあがり、慌てたように鍋類を片づけ始めた。


「そこまで焦ることはないと思うけれど、わかってもらえたのならうれしいわ。(aqua)(sphaera)


 メミニの持ちあげた鍋や食器を、水の球の中に取り込む。

 あとは(ventus)(turbo)で球の中の水をかき混ぜて汚れを落としていく。


「これで良いかしらね」


【ありがとう。いつも助かるよ】


 メミニは、わたしが洗いあげた鍋や食器を、次々と空間魔法の中に収納していった。


「すごいです……。魔法にはそんな使い方もあるんですね……」


 ルナリアの目が輝いていた。

 これが尊敬のまなざしというやつかしらね。わたしにこんな目を向ける子がいるなんて……新世界も悪くないかもしれないわ。


【ねぇ、リアンナ。悦に入っているところ申し訳ないんだけど、ルナリアにも魔法を教えてあげたらどうかな?】


「そうね。この先一緒に旅をしていくなら、あなたがどんな魔法を使えるのか知っておいたほうが良さそうね。ルナリアはどんな系統の魔法が使えるのかしら?」


 わたしが使える系統の属性魔法が得意なら、いろいろと教えてあげることもできるかもしれないわ。


「ルナは……魔法がよくわからないです……」


「わからない? 何も魔法が使えないの?」


 ハーフエルフだし、人族のほうの血が濃く出れば、そういうこともあるのかもしれないわね。

 あまり得意ではないけれど、剣の使い方を教えておいたほうが良いかしら。


「いえ、使えるには使えるのですが、お父さんも■■■さんも■■■さんも魔法には詳しくなくて……。ルナもなんとなくの感覚で使っているので、合っているのかわかっていなくて……」


 師がいない環境なら仕方ないわ。

 そんなにモジモジしないの。もっと堂々としていなさい。


「何でも良いわ。見せられる魔法を見せてちょうだい。ターゲットが必要なら……そうね、メミニに向かって放ちなさい」


【おいらがターゲット⁉】


 メミニはびくりと肩を震わせ、少し後ずさりをする。

 でも完全に拒否というわけでもないわね。


「大丈夫……でしょうか……」


 不安そうなルナリア。

 でも、やる気がないわけではなさそうね。


「メミニはわたしの庇護下にある元魔族よ。ちょっとやそっとの魔法を受けても痛くも痒くもない。そうよね?」


【う、うん! そうだね? おいらはリアンナの使い魔だから、とっても強いのさ!】


 虚勢ね。

 ルナリアの実力がわからない以上、もしかしたら一撃で消滅させられることもあり得るのだし。なんせ、あの姉さんの娘なんですもの。そうなったらごめんなさいね。


【リアンナ……心の声がさっきから怖いよ……】


「あら、メミニったら。乙女の心の声を盗み聞きするなんてエッチね」


【誰が乙女なのさ、誰が! 2,000歳越えの――】


 あら? 急に口元を手で覆ったりして、どうしたの? その先は言葉を紡がないのかしら?


【なんでも……ない……】


「そう? じゃあ、ルナリアの魔法を受けてあげてちょうだいね」


 この世のすべてを斬り裂く(glacies)(gladius)をその身に受けたくないなら、謙虚におとなしくね? わたし、年齢の話でいじられるのは好きじゃないの。覚えておいてちょうだいね。


【わ、わかったよ……】


 素直な子は好きよ。

 あら、ルナリアはそんなに怯えることはないじゃない。

 あなたは悪い子なの? 違うでしょう?

 さあ、早くわたしにあなたの得意な魔法を見せてちょうだい。


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