表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書館に1,000年ほど引き篭もっていたエルフですが、外に出たら知らない文明が栄えていました。  作者: 奇蹟あい
第四章 ハーフエルフの少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/25

第16話 魔王封印と空間消滅

 まさかルナリアが、姉さんの蒼月珠(そうげつじゅ)のペンダントを持っているなんてね。


蒼月珠(そうげつじゅ)のペンダントと言えば、エルフ族に伝わる秘宝かな? それは本物なの?】


 メミニが訝しげにペンダントを見つめている。


「おそらく本物だと思うのだけれど……。念のため調べてみたいわね。ルナリア、そのペンダントを少しだけ見せてもらうことはできるかしら?」


 ルナリアは小さく頷くと、首から革紐を外して、わたしにペンダントを手渡してくれた。


「ありがとう。少し確認させてもらうわね」


 わたしも一応族長候補ではあったから、この蒼月珠(そうげつじゅ)のペンダントの扱い方は知っているのよ。


「これは一族を守るための宝具なの。この中心にある宝珠に魔力(オド)を蓄積することができるのだけれど、今はすっからかんになっているわね。わたしが少し貯めてみましょうか」


 大気中の魔力(マナ)を体内に取り込んで、魔力(オド)に変換。体内を巡らせることなく宝珠の中に注ぎ込んでいく。

 すると、それまで少しくすんだ蒼色をしていた宝珠の中心に、まるで月の光のような青白い光が灯り出した。


 以前見た時と同じように、宝珠の中に魔力(オド)が留まっているわね。


「これで間違いないわね。このペンダントは本物の蒼月珠(そうげつじゅ)よ」


 ルナリアの首に、ペンダントをかけ直してやる。


「きれい、です……」


 ルナリアは宝珠を持ち上げ、うっとりとした表情で月光色の灯を眺めていた。


 どうやら本来の使い方を教わっていないようね。このペンダントだけがルナリアの手元に渡ってきたみたい。

 ペンダントの所持者には、常に一定量の魔力(オド)を貯めておくことが義務付けられていたはずよね。今、この宝珠の中の魔力(オド)が枯渇した状態ということは、それまで貯めていた魔力(オド)を使わなければいけない状況に追い込まれたということ……。この雰囲気だと、それを使ったのはルナリアではないわね。

 つまり、中の魔力(オド)を使い切った人物は、何らかの事情で蒼月珠(そうげつじゅ)を幼いルナリアに託さなければいけない状況に追い込まれたということ、になる……。


「そのペンダントは誰からどのようにして受け取ったのかしら?」


 直接なのか、人伝なのか……。


「ルナはお父さんから受け取りました。お父さんはお母さんからこのペンダントを預かっていたと聞いています。ルナがある程度魔法を扱えるようになったら渡す約束になっていたと……」


「そう……」


 やはり姉さんから……。

 蒼月珠(そうげつじゅ)の中に蓄積された魔力(オド)を使い切った姉さんは、このペンダントを自分の子――次期族長候補に譲り渡したということなのね。

 おそらく魔王封印と空間消滅を防ぐためには、蒼月珠(そうげつじゅ)の中の魔力(オド)だけでは足りなかった。だからこの安全な塔にルナリアを逃がし、自分はそれらを食い止めるために残った。


 わたしたちの空間が消滅していることを考えると、姉さんは失敗したのね……。


 でも、魔王封印のほうはどうなったのかしら。


「メミニ、あなた、それなりにこの世界を見て回ったのよね? 一人で」


【う、うん……。でも遊んでいたわけではないよ。魔力(マナ)の濃い地域を探したり……ほら、忘れじの塔(オブリビオンタワー)を見つけたのだって、おいらがいろいろ聞き込みをした成果だよ!】


 誰も疑っていないのに、そんなに早口で言い訳めいたことを口にし出したら、急に怪しく感じるわよ?


「そんなことはわかっているわよ。わたしが訊きたかったのは魔王のこと。この世界に魔王はいるのかしら?」


【……今はいないんじゃないかな。おいら、そういう噂は聞いていないよ】


 一瞬だけ間があったわね。

 何かを隠していたりする?


「そういえばあなたも魔族だったわね。魔王とは面識があったりするのかしら?」


【いや~、おいらは……魔王様のことを見たことは……ないかな~】


 なんで目を逸らすのよ。怪しいわね。


「まあ、コソ泥を働いて、わたし程度に封印されているのだし、メミニはずいぶん下っ端の身分なのよね。魔王の顔なんて知らなくても仕方ないわね」


 姉さんはたぶん、魔王封印のほうだけは成功させたようね。

 でもなんで魔王を封印しようとしたのかしらね。エルフ族と魔族に深いかかわりはなかったと思うのだけれど。


 もしかして、魔王と空間消滅に何か関係が?

 いいえ、それよりも、そもそも姉さんがエルフの里を出ていたことも、人族と子を生していたことも知らなかったわ。わたしと姉さんはいつも一緒にいたはずなのにおかしい……。姉さんについてわたしが知らないことなんてあるはずないのに……。


 姉さんが賢者やタンクと一緒にいたのはなぜかしら。

 何かの調査のためにパーティーを組んでいた? それとも、魔王を封印するため……?

 わたしとパーティーを組まずになぜ?


「ねぇ、ルナリア。お父さんや賢者やタンクの話を――あら? 今のは何かしら?」


 通路のずっと奥に、何か光るものが見えた気がした。


【どうしたの、リアンナ。あっちに何かいたのかな? 5階には魔物がいてもおかしくないだろうからね】


「この階にはミミック以外にも魔物が少しだけ出現します。でも、どれもそこまで強くないから、捕えてご飯にしています」


 ルナリアは小さいのにたくましいわね。


「ルナリアは魔法が使え――やっぱり気のせいではないわ。何か大きくてキラキラしたものがいる……」


 魔物とは違う気配を感じた。

 なんだかとても懐かしいような……。


 ピシャン……ピシャン……。


「何の音かしら? 水音? 水の滴る音かしら……?」


 大きくてキラキラした何かがいた方向から、水が滴るような、跳ねるような、そんな音が聞こえてきている。


「少し見てみましょう……。ルナリアはここでメミニと一緒に待っていなさい」


 (スタッフ)を握り直し、わたしは1人で通路を進んでいく。


【リアンナ、1人で大丈夫かい?】


「大丈夫よ。ここの魔物は弱いのでしょう?」


 わたしは慎重な性格だから、メミニと違ってミミックに食べられたりはしないわよ。



 ピシャン……ピシャン……。


 水音が近くなってくる。


 そこの角を曲がった辺りかしら……。

 念のため、風のベールを纏っておきましょう。いきなり水魔法で攻撃されても避けられるようにしないと。


 準備を終えたわたしが、通路の角を曲がると、その先にいたのは――。


「水龍……?」


 これ、姉さんの使い魔だわ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ