表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書館に1,000年ほど引き篭もっていたエルフですが、外に出たら知らない文明が栄えていました。  作者: 奇蹟あい
第三章 忘れじの塔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/27

第11話 忘れじの塔ダンジョン1階

 わたしとメミニは連れ立って、忘れじの塔(オブリビオンタワー)の1階を歩き回っている。


 1階と呼んだのは便宜上の呼称で、入り口から上の階にも下の階にも行っていないので、グラウンドフロアにいるという意味よ。つまりわたしたちは、迷路のように入り組んでいて、どこまでも続く1階のフロアをただひたすら歩き続けている状態なの。もう何日もね。わかるかしら?


【リアンナは誰に話しかけているの?】


「ただの独り言よ。それより、この塔は何なのかしらね……」


 なぜ中がすべて狭い通路になっているの? 見通しが悪いし、なぜだか探索の魔法も弾かれるし。


【ダンジョンというものなのかな】


 ダンジョン!

 メミニの呟きを聞いてすべて合点がいったわ。


「そう、これがダンジョンなのね。たしかにそう思ってこの状況を見渡すと、文献に書かれていたダンジョンに関する記述に合致する部分が多いわ。ダンジョンは特殊な魔法防護が施されていて、階層ごとに空間が断絶されていて干渉ができないのだったわね」


【それとダンジョンの外からの干渉も受けつけないらしいね】


「だからこの塔の中にはこんなにも魔力(マナ)が満ち溢れていたのね……」


 ここは空間断絶されていた図書館と同じ。

 空間が閉じられていたから、魔力(マナ)が濃いまま残っているのだわ。


「空間が消滅する前に、この塔の中に逃げ込んだ人がいるなら――」


【今も生きている可能性があるね】


 1,000年以上生きられる種族なら。

 希望はあるわね。


「魔法で探索ができないのが癪だけれど、たくさん歩いて探せば良いだけよね。どんどん行きましょう」


【リアンナがかつてないほどやる気に満ち溢れているね。おいらもがんばってマップを書こうかな。リアンナ、預けていたおいらの手帳を出してくれないかな】


「手帳? ああ、あれね」


 たしかここに――。

 ローブの内ポケットを探る。


 わたしが取り出したのは、赤茶色の書物。

 メミニがこの中に封印されていたのだけれど……それも1,000年前のわたしが封印したのだったわね。それにしても見覚えのない書物だわ。


「この書物に、これまで通った道を書き写していくのかしら?」


【もちろんそうだよ。それ以外マップを作成していく方法がないからね】


「そんなものを書かなくても、適当に回れば大丈夫ではないかしら?」


 1回1回角を曲がる度に手帳を開いて絵を描いていたら、いつまで経っても先に進めないわよ。


【正しいマップ作りをしておかないと、あとで道に迷った時にずっと外に出られなくなるよ】 


「その時にはメミニが空間魔法を使って脱出すれば良いじゃない」


 図書館に時空の歪みを作ったように、この塔にも作れば迷っても安心だわ。


【それがね、索敵魔法と同じで、おいらの空間魔法はうまく外の空間へ繋げられないんだよ。このダンジョンのルールに違反しているんじゃないかな?】


「それは困ったわね……。ここをどうやって脱出したら良いのかしら」


 少し調査して実りがなさそうなら、空間魔法で脱出しようと思っていたのに。


【ダンジョンと言えば、最上階か最下層に到達して、ダンジョンボスを倒すことで結界が消えるというのが正しい脱出方法らしいね】


「わたしが読んだ文献によると、帰還用のアイテムを手に入れて、途中離脱することもできるらしいわ。ダンジョンというのは、魔物が出現して、それを倒すとアイテムが手に入ると書かれていたの」


【アイテム? 魔物が身につけているものを奪うということかな。あまり趣味の良い話とは言えないね】


 メミニがしかめっ面を見せた。

 わたしたちは魔物を倒した後、その肉体の一部をいただいて、武器や防具などの装備品を作ることはあっても、その魂を汚すことはなかったものね。魔物の亡骸とその所持品は、大きな火魔法を使って焼き尽くすことで自然へと還していく。


 それがここダンジョンでは、外の世界と異なる理によって支配されているというのを読んだことがあるわ。

 ダンジョン内に存在する魔物は、本当の魔物ではなく、ダンジョンが作り出す幻影のようなもの。そこに魂はなく、あたかも肉体が存在するかのように見せかけられた影のごとき存在。その場で倒せても、また一定時間が経過すると、同じ場所に同じ魔物が生まれてくる。そんな世界なのだという。


「魔物の幻影を倒して手に入るアイテムも、幻なのかしらね」


【わからないけれど、なるようにしかならないんじゃないかな~】


 メミニは生返事をしながら、一心不乱に手帳に絵を描いていた。


「わたしと話をしたくないならもう良いわ。魔物の幻影と遭遇するまで進めば良いだけだもの。わたし、先に行くわね」


 あなたは好きなだけお絵描きしていなさい。


 何よ、もう。

 わたし1人で行くから良いわよ。このダンジョン内は魔力(マナ)が溢れんばかりに濃いから、魔法は使い放題だし、飢餓に苦しむ心配もないわ。つまりこの先にはきっと誰かがいる。間違いないわね。


 二股に分かれた通路ね……。

 どちらに進もうかしら。


 チラリと後ろを振り返ってみる。


 メミニ……追いついてこないわね。

 ここで待つ? でももしかしたらメミニはマップ作成を優先して、入り口のほうまで戻ったかもしれないし……。でももし追いかけてきていたら、ここで別の道を選択してはぐれてしまう可能性があるわね。


 もう、世話の焼ける子ね。

 こっちの道にわたしの魔力(オド)を残しておきましょう。

 これでわたしの進んだ道がわかるわよね。


 さっさと追いついてきなさいよ。

 ……淋しいじゃないの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ