雑貨屋さん
――それから、少し経過して。
「……うわぁ、綺麗」
「ん、更科さんのことですか?」
「……いや、自分のこと言ってたら痛すぎるでしょ、あたし」
「へっ、どうして痛いんですか? 実際、更科さんはとても可愛くて綺麗なのに」
「……うん、不意打ちやめて? ちょっと反応に困るから」
ふと、さっと目を逸らす更科さん。……でも、どうして反応の困るのだろう? 実際、とても可愛くて綺麗なのに。
ともあれ、更科さんの仰っていた綺麗とは、辺り一帯を鮮やかに彩る見事な装飾――いわゆるイルミネーションのことだったようで。……ああ、そっちでしたか。いや、もちろん装飾も頗る綺麗なんだけども。
「それでは、どちらへ参りましょう?」
「……うーん、そうだね……遥くんは、どこか行きたいとことかある?」
「……そうですね、僕は更科さんとであればどこにいても幸せなのですが……強いて言えば、更科さんの行きたいところに行きたいなあと」
「……うん、なんか今日グイグイくるね、遥くん。唯菜ちゃんびっくりだよ」
ともあれ、ほのぼのとお話ししながらゆっくりと歩を進めていく。最初に立ち止まったのは、レンガ造りの可愛い雑貨屋さんの前。外観の時点で心が躍りつつ一緒に入っていくと、外観の印象に違わぬ可愛らしい空間で更に心が躍る僕。すると更科さんが楽しそうに微笑んでいて……うん、ちょっと恥ずかしいね。
ともあれ、可愛い雑貨の皆さんに癒されつつ店内を歩いていく僕ら。……だけど、一番可愛いのは――
「ねえ、遥くん。折角だし、一つずつ選んで贈り合いしない?」
「……へっ? あっ、その……ひょっとして、更科さんと僕が、でしょうか……?」
「……いや、この状況でその二人じゃなかったらびっくりだけど」
楽しそうな更科さんを見つめていると、ふと彼女から思いも寄らないご提案が。……うん、そうだよね。この状況で、その二人じゃなかったらびっくりだけども……さて、どうお答えすべきか。なにせ、センスの欠片もないであろう僕なんかが、更科さんにお似合いのプレゼントなど選べるはずも――
「……ふーん、そっか。あたしじゃなくて、里中さんと贈り合いをしたいんだ? 遥くんは。まあ、プライベートな予定までお話しするくらい、すっご〜く仲いいもんね〜二人は」
「……いえ、そういうわけでは……その、是非とも更科さんと贈り合いをしたいです」
躊躇う僕に、何とも怪訝な目でお疑いをかける更科さん。……いや、里中さんは関係ありませんよ? プレゼント選びというものに、僕自身が全く自信がないだけでして……ところで、以前にもあったかな? 似たような疑念。
「それじゃあ、決定だね。制限時間はそれぞれ7分、予算はそれぞれ700円まで。時間はともかく、予算は絶対に超えちゃダメだよ?」
「……? ……はい、かしこまりました」
それでも、僕の返答を信じてくださったのか、花のような笑顔でルールの説明をなさる更科さん。……それにしても、7分と700円……うん、ちょっと半端じゃないかなあと。いや、もちろん何の問題もないんだけども。




