新しい仲間
「――おはよう、遥くん。今日もよろしくね」
「はい、よろしくお願いします! 松永さん」
一週間ほど経た、晴れやかな休日の朝のこと。
路地の中に控え目に佇む、和の雰囲気が心地の好い小さなお店にて、鮮やかな銀髪の秀麗な男性へとなるべく元気にご挨拶をする僕。彼は松永芽生さん――僕が高校に入って間もなく、そして今までずっとアルバイトとしてお世話になっている甘味処『琴乃音』の心優しい店主さんで。よし、今日も頑張――
「あっ、そうだ。実は、今日から新しい子が仲間になってくれるから」
「……へっ?」
改めて意気込んでいると、楽しそうな笑顔でそう口になさる松永さん。新しい仲間ができることは珍しいことじゃないし、もちろん歓迎なんだけれど……でも、どうしてこんな直前に? 今までは、そういう時は前もって仰ってくれていたのに。
些か戸惑っていると、視線を移し『どうぞ』と口になさる松永さん。その後、ゆっくりと休憩室の扉が開いていく。……うん、まあいっか。きっと、なにかご事情があるのだろうし。例えば、つい先ほど面接を、といったご事情が。ともあれ、きっと緊張なさっているであろう新人さんが少しでも安心できるよう――
「…………へっ?」
なるべく笑顔で――そんな僕の表情が、ふとピタリと固まる。……と、いうのも――
「――おはようございます! 今日からこちらでお世話になる、更科唯菜と申します。これからよろしくお願いしますね、遥センパイ?」
――そこには、花のような笑顔を見せる、山吹色の髪の可憐な少女のお姿があったからで。
思いも寄らぬ展開に、ただただ呆気に取られる僕。そして、そんな僕に楽しそうに微笑む可憐な少女。……いや、ポカンとしてる場合じゃない。うん、まずは――
「……あ、あの、松永さん。どうして、教えてくださらなかったのでしょう?」
ともあれ、そう尋ねてみる。……いや、なにかご事情があるのだろう。それでも、更科さんとなれば訊かずにはいられなくて。もちろん大歓迎だし、すっごく嬉しいのだけども……でも、事前に分かっていればちゃんと心の準備が――
「……うーん、その方が面白いからかな?」
「……まあ、そんなことかなと思いましたけど」
すると、お言葉の通り悪戯っぽい笑顔でお答えになる松永店長。……うん、ですよね。僕も、自分で訊きながらそうかなと思っちゃいましたよ。
ともあれ、改めて新人さんの方へと視線を。僕と同じ衣装――優しい白と黄緑が織り成す可愛らしい制服がとてもよく似合っていて、キュンとしつつじっと見蕩れてしまう。……うん、めっちゃ可愛い。
さて、僕の心中を見て取ったためか、満足そうに微笑む更科さん。そして、悪戯っぽい笑顔で言葉を紡ぐ。
「さて、これから色々と教えてくださいね? 遥センパイ」




