文化祭
「――さあ、みんな頑張ろう! 全力で楽しんで、みんなで最高の思い出にしようね!」
それから、数週間後。
教室のほぼ真ん中にて、朗らかな声でみんなへ声をかける田中さん。そして、竹内くんを中心に大きな声を出し応えるみんな。体育祭の時と同じようなその温かな雰囲気に、僕も心がほのぼのとなる。……うん、やっぱりいいなあ、こういうの。
さて、今日は文化祭当日――体育祭の時と同じく、みんなで頑張ってきた成果を披露する日がとうとうやってきたわけで……うん、頑張ろう!
「――本日は、ようこそお参りくださいました」
「ようこそお参りくださいました」
「……うわぁ、なんか新鮮」
「巫女さん可愛い〜」
「神主さんもカッコいいね〜」
それから、一時間ほど経過して。
平時とは違う柔らかな和の空間で、ご参拝の方々(お客さま方々)へと満面の笑顔で挨拶をする神主さんと巫女さん達。和風喫茶ではあるけれど、ホールの担当が神主さんと巫女さんということで、さながら神社へ参拝する方々をお迎えするような挨拶を採用させていただくことになりまして。
さて、今の状況についてだけども――神主さんと巫女さんがそれぞれ三人、即ち計六人でホールを、そして同じくキッチンも六人で担当していて。そして一定の時間になったら、ホールとキッチンのそれぞれでそれまで自由時間だった生徒達の何人かと交代、というのを一定の時間おきに繰り返すことになっていて。そして、最終的にはクラスみんなの勤務時間がきちんと同じになるようにシフトが組まれていて……いや、この言い方はおかしいかな? まるでアルバイトみたいだし。
ともあれ、開店ほどなくながら和風喫茶は大盛況。もちろん皆さんとても素敵だけれど、更科さんと古里くんは参拝者の方々からもとりわけ人気で……うん、ちょっと複雑だけどやっぱり嬉しい。そして――
「……うわぁ、美味しい」
「……だよな、正直びっくりした」
キッチンから比較的近いテーブルから、微かながら鼓膜を揺らすお声。見ると、若い男女の方々が嬉しそうにクレープを食べてくださっていて。そして、そのような様子は店内の至るところから見受けられて――
(ふふっ、すごいね遥くん)
ふと、僕に近づきこっそりとそう口にする可憐な巫女さん。だけど、二人っきりでお話ししている状況はマズいからだろう、僕の返事を待つことなく笑顔でホールの方へと……うん、答えそびれちゃったね。僕だけじゃなく、ここにいる皆さんのお陰だって。




