巫女さんと神主さん
「……うわぁ」
それから、数日経た放課後のこと。
教室にて、あちらこちらから感嘆の声が。僕ら一年E組の出し物である和風喫茶にて、接客を担当する皆さんが、男子は神主さん、女子は巫女さんの衣装をそれぞれ纏っていまして。皆さんとっても素敵で、ほのぼのと心が温かくなる。そして――
「――ずるい! 可愛すぎるよ唯菜!」
「……あ、ありがと佳子」
キラキラと目を輝かせつつ、白衣と緋袴を纏う巫女さんの一人へぐっと詰め寄る田中さん。前述の通り、皆さんとっても素敵なのだけれど……その中でも、山吹色の髪を纏う可憐な少女、更科さんはひときわ皆さんの視線を集めていまして。……うん、ほんとに――
「…………あ」
ふと、さっと目を逸らす更科さん。そのお顔は、緋袴のごとく赤く染まっていて……しまった、じっと見すぎちゃってたかな。
ところで、とりわけ注目を集めているのは、更科さんの他にもう一人いまして――
「すっごく似合ってるよ、古里くん!」
「うん、めっちゃカッコいい!」
「……あ、ありがとう」
白の狩衣に水色の袴を纏う端整な神主さん、古里くんへぐっと近づき言葉をかける女子生徒達。……うん、古里くんもすっごく素敵で僕も思わず見蕩れてしまう。ちなみに、宮野さんは出遅れてしまったのか、少し離れたところでその光景をじっと見つめていて。……うん、分かるよ。あの状況だと近づけないよね。……ただ、それはそれとして……うん、古里くんに対する女子達の距離が近いからかな、宮野さんのお表情がちょっと怖い。
ちなみに、古里くんはと言うと、そんな状況に戸惑いつつ里中さんの方へ視線を……うん、そうなるよね。僕も、同じ立場だったら更科さんの反応が気になっちゃうだろうし。そして、その里中さんはというと――
「……ねえ、遥くん。どう、かな?」
「……ええ、とても似合っていて素敵だと思います」
「ほんと!? ありがと、遥くん!」
そう、少し上目遣いに僕に尋ねる。少し躊躇いつつ返事をすると、パッとお表情を輝かせ喜んでくださる黒髪の巫女さん。里中さんも、巫女さんとしてホールを担当することになっていまして。
そして、あくまで僕個人の感覚だけど、巫女さんと言えば真っ先に黒髪をイメージしてしまう。そして、黒髪である里中さんはそういう意味でもよく似合っていて素敵だと思う。……ただ、それはそれとして……うん、なかなかに距離が近いと言いますか……。ほら、古里くんも複雑なお表情をなさっていますし……あと、山吹色の髪の巫女さんからの視線がめっちゃ痛い。




