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恋の始まりは身体から?  作者: 暦海


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35/61

リレー

「――頑張ってね、翔《しょう》、唯菜《ゆいな》!」

「うん、ありがとう佳子《けいこ》」

「ありがとね、佳子」



 それから、数時間後。

 入場口の近くにて、和やかな雰囲気で会話を交わす数人の男女生徒達。田中《たなか》さんや竹内《たけうち》くん、そして更科《さらしな》さんのいるあのグループで。そして――



「――頑張ってくださいね、優李《ゆうり》くん。次も全力で応援します!」

「……あ、ありがとう宮野《みやの》」

「……あっ、わたくしったらつい。ごめんなさい、優李くん」

「……あっ、ううん、気にしないで」


 前述のグループと反対側の入場口の近くにて、古里《ふるさと》くんの手を取り満面の笑顔でエールを送る宮野さん。だけど、思わず取ってしまった古里くんの手を名残惜しそうに離していて……うん、お気持ちは分かる気がします。


 ちなみに、近くには里中《さとなか》さんと僕もいて、里中さんは微笑ましそうにお二人を見つめていて。そして、里中さんの様子に古里くんは複雑そうな表情を……うん、そうなっちゃうよね。もちろん、誰が悪いわけでもないんだけども。



 ところで、状況だけれど――ほどなく、一年生による男女混合リレーが始まるという状況で。それぞれのクラスから男女三人ずつ出場することになっていて、そして僕らE組の選手の中には古里くんと更科さんもいるわけでして……うん、みんな頑張って!





「……なんか、こっちまでちょっとドキドキしてきちゃうね、遥《よう》くん、舞歌《まいか》」

「……そうですね、里中さん。僕も少し……いえ、結構緊張しちゃっています」

「……はい、わたくしも。ですが、優李くんの勇姿をしかとこの目に焼き付けなければ」



 古里くんを見送った後、E組のエリアにて並んで腰掛ける僕ら。ちなみに、里中さんが真ん中、そして両隣に宮野さんと僕という配置なのだけども……その、僕に対する里中さんの距離が非常に近いと言いますか……。そして、そんな僕らを宮野さんは微笑ましそうに見ていたり……まあ、お気持ちは察せられるけども。



 ともあれ、今はリレーに集中を。白いスタートラインには、それぞれのクラスの第1走者の女子生徒が。ちなみに走順は女子、男子、女子、男子、女子、男子となっていて、古里くんは第4走者、更科さんは第5走者を務めることになっていて。つまりは、僕の友達の二人がバントを繋ぐという、僕にとっては何とも熱い展開でありまして……うわぁ、めっちゃ楽しみ。





 ――パンッ!



 合図と共に、一斉にスタートを切る第1走者。我らがE組の走者、向井《むかい》さんは7人中3位でトラックを走り抜け……おお、すごい。頑張って、向井さん!


 その後、3位をキープしたまま次の走者――第2走者の男子生徒、八島《やしま》くんへとバトンを繋ぐ向井さん。そして、八島くんも3位をキープしたまま第3走者の女子生徒、藤本《ふじもと》さんへとバトンを繋ぐ。そして、藤本さんも3位をキープしたまま第4走者――古里くんへとバトンを繋ぎ……頑張って、古里くん!




「…………おお」


 思わず、声が零れ出る。いや、知ってはいたけどほんと速い。2位の走者とは距離があったんだけど、どんどん詰めていく古里くん。……うん、ほんとすごい。そして、めっちゃカッコいい。


 その後、第5走者の少し前でとうとう追い抜き2位へ浮上。そして、次の走者――更科さんへとスムーズにバトンを繋ぐ。そして、バトンを手に颯爽とトラックを駆けていき――



「…………へっ?」

「……あ、いや……その、何だかぼおっとしてたように見えたから」


 ふと、視界にて手の平が上下に動く。どうやら、里中さんの手だったようで……しまった、ぼおっとしてたように見えたかな? うっかり見蕩《みと》れちゃってただけなんだけども。


 ともあれ、更科さんもとても速く、1位の走者との差をどんどん詰めていく。そして、とうとう追い抜き第6走者――アンカーの竹内くんへとバトンを繋ぐ。そして会場がいっそう盛り上がる中、2位の走者と息を呑むほどのデッドヒートを繰り広げる竹内くん。そして、紙一重の差で最初にゴールテープを――



 直後、E組のエリアから地鳴りのような歓声が。そして、次々と他のクラスのエリアからも大歓声、最後には会場全体から暖かな拍手が響き渡る。勝ち負けなんて関係なく、みんなで健闘を称え合うその光景に暖かな熱が心に沁み入り広がっていく。……なのに――



「……遥くん?」

「……あっ、いえ……何でも、ないです」


 隣から、僕の顔を覗き込むように尋ねる里中さん。そんな彼女に、何ともたどたどしく答える僕。クラスは見事優勝、そして最後には会場全体がこんなにも暖かく包まれて……なのに、どうしてだろう。少しだけ、モヤモヤしている気がするのは。






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