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最終章 第63話 最終楽章—二人の指揮者

最終楽章——二人の指揮者


「ラベル!」 ソニック・バスターの声が、音楽として届いた。



「聞こえてる!」「今だ——お前の音楽を。最終楽章を」



「わかった!」ラベルはノエルを構えた。そして——左手に、オーラ・タクトを握った。



タクトが——温かかった。師匠の鼓動が、タクトを通じて届いていた。


(師匠。俺が弾く。師匠と一緒に弾く。タクトを通じて、二人で——)



ルーナが歌った。



カルテットが声を重ねた。



テレーズの緋炎のアルデが炎色の旋律を放った。


ドノヴァンの精霊たちが光を増した——戦いながら。


ヴァッソの旋律が底から支えた。六年間閉じていた音楽が、全力で開かれていた。


カイが剣を振るいながら、その音楽を体で感じた。


ロロが北風刃を下ろした。


空を見上げた。


ラベルが弾いた。



                   全てを込めた。


廃村から始まった旋律。

師匠に出会った朝の音。

ノエルが目覚めた時の光。

カイと並んで歩いた日の風。

母の声と重なった瞬間の温かさ。

フレイムが空に飛んだ夜の咆哮。

老人が「シンフォニックキング」と呼んだ朝の清々しさ。

八峰の守護龍が「共に在ることを選んだ」と言った夜の静けさ。

ヴァッソが六年ぶりに精霊と向き合った瞬間の涙。

テレーズが二日間怒鳴り続けてくれた夜の愛情。


              

              ——全部が、最終楽章だった。




オーラ・タクトとノエルが——共鳴した。



神龍の魂が込められたタクトと、百年間眠っていたノエルが——初めて、一つの音楽として響いた。


               音界に——八本の柱が立った。


セレスティアル・フィルの全ての音が、最大に達した瞬間——音界を支える柱が、全部揃った。


 

  ソニック・バスターの調律波が、ラベルの音楽を乗せて核の心臓部に向かって走った。



           ——神の一撃。インフィニティ・クラング(無限の打音)。



空間が静寂に包まれた。一瞬、全ての音が消えた。


次の瞬間——八艦同時砲撃、音律斉唱が、一点収束した。


ソニック・バスターが天へとオーラ・タクトを振り上げた瞬間、指先から「神律の結晶(ソル・キー)」を虚無核へ投げ入れた。


             音が空間ごと核を「調律」した。



虚無を——音に還した。


虚無の絶叫が宇宙に溶けた。


その音は、かつてのシンフォニア創世の第一音と重なっていた


     ——大陸が生まれた日の音と、世界律が修復された日の音が——


          ―――――――一つになった。――――――――


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