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第47話 ヴァッソとテレーズ
ヴァッソとテレーズの夜
その夜の野営地で——ヴァッソとテレーズが、初めて隣り合って座っていた。
「……帝国の宮廷にいたのだったな」テレーズは言った。
「そうだ。あなたも」ヴァッソは答えた。
「出た理由は同じかもしれない」
「同じだと思う」ヴァッソは静かに言った。
「帝国が音楽を道具として使うことが——許せなかった」
「私は嫌になって出た。あなたは引きずり出された」テレーズは言った。
「形は違うが——向いている方向は同じだ」
「ラベルに会って——それが確認できた」ヴァッソは言った。
「あの音楽は、道具ではない。あの音楽は——在るものだ。在らせているものだ」
「私が教えたことを、ちゃんとやっている」テレーズは言った。
「あなたが教えたのか」
「二日間だけだ」テレーズは言った。
「しかし——核心を持っている者には、二日で十分だ」
「そうだな」ヴァッソは頷いた。「明日——お前の楽器も、楽団で鳴るか?」
「当然だ」テレーズは緋炎のアルデを見た。
「アルデが、もう準備している。五年分の力を——明日に向けて蓄えている」
「では——共に弾こう。帝国の音に、私たちの音で答える」
「共に弾く、か」テレーズは杯を上げた。
「悪くない夜の約束だ」




