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第46話 戦いの前夜
戦いの前夜。
三角形の内側全体で——音楽が流れていた。
開拓民たちが、それぞれの場所で歌っていた。子供たちが昼間に覚えた旋律を口ずさんでいた。老人が、若い頃に忘れていた歌を思い出していた。
ラベルは一人、アナンダ峰の頂上に立っていた。
ノエルを弾いた。
建国の楽曲「創音」を——静かに、一人で弾いた。
精霊たちが集まってきた。
大陸各地の精霊が——旋律に応えた。
各国の伝承楽器が——その夜は自発的に、創音の旋律を奏で始めた。
セレスティアル・フィルが——前夜に、自然に演奏していた。
ウィークが、峰の麓から上を見ていた。
ラベルの音楽が夜空に広がっていくのを見ながら、書物に一行書いた。
明日——全てが、決まる。
しかし——どの道に転んでも、音楽は続く。
ラベルの音楽は、終わらない。
ルーナが隣に来た。
「明日——どうなりますか?」ルーナはウィークに問うた。
「わかりません」ウィークは珍しく、確信のない言葉を使った。
「しかし——書の最後のページに、一行だけ記されています」
「なんて?」
「全ての音が集まる時、世界は新しくなると」
「新しくなる——か」ルーナは静かに言った。
「いい言葉ですね」
「そうだと思います」
二人は並んで、峰の上のラベルを見ていた。
その音楽が、夜の空気を満たしていた。




