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第十四話

 一ヶ月近くが経ち、ガラクタたちに会えないまま冬休みを迎えてしまった。学徒皆に束の間の自由が与えられたわけだが、仲間を失ったひとりぼっちの変人に、その自由を共に謳歌する遊び相手は無かった。出かける場所など無いけれど、さりとて家にじっとこもっていても、鬱屈とした気分が募るばかり。冬の外気の追い打ちなど微塵も必要無いくらい、シロの心はそもそも内から寂しさで冷え切っていたのだ。ある朝シロは、夜のあいだ月に冷やされた地面を、まだ太陽が温め切らないうちから、行くあても無く、住宅の並ぶ素朴な通りをとぼとぼと歩いていた。

 井戸の前で社長と口論したあの日以来、一度も洋館へは行っていない。行けばばったり社長に出くわしてしまうんじゃないかと、それが心配だったのだ。あの男に対する感情は、いらだちやら怖さやらが混ぜこぜになって、うまく言い表すことができなかったが、会えばひどく気まずく感じるであろうことだけは確かであった。ただ、洋館に行っていないと言っても、ガラクタたちのことを諦めたわけではない。どうにか再び彼らに会う方法は無いか、この一ヶ月、学校に居るときも道を歩いているときも、ベッドで夢を見ているときも、必死に考えて来た。だが、中学生の未熟な頭に浮かぶのは、自分とガラクタたちとを無情に引き裂くあの憎き蓋を、チェーンソーでぶっ壊して無理やり彼らを救い出そうとか、そういう直線的なアイディアばかりだ。シロはチェーンソーなんて持っていなかったし、第一、彼らを地下から救い出したとて、次はどこに連れていけばいいのだろう?社長に言われたことを認めるようで悔しいが、ガラクタたちが堂々と地上を歩けば危険だというのは事実である。彼らを救い出した後には、ずっとかくまっておける場所が必要だった。しかし、地下に大洞窟を作ってしまえるような富豪のじいさんならいざ知らず、いまだにおもちゃ付きのお菓子をちょっとした高級品だと考えているような中学生には、そんな都合のいい場所はさっぱり思い浮かばないのであった。

 たったひとつ、最近あったことの中で、よかったと言えるほどの完全な解決ではないが、少しシロの心を軽くしたのは、冬休みに入って真理恵に会わなくて済むようになったことだった。頭からジュースをひっかけられたあの日以降、いじめっ子はそれほどあからさまな攻撃をシロに加えることはしなかった。彼女とて間抜けではないから、あまり大それたことをやれば自分の身が危うくなるのをちゃんとわかっているのである。その代わり、彼女のやり口は巧妙化した。すなわち、直接悪口をぶつけるのではなくて、第三者との会話の中でわざと仇敵に聞こえるように不愉快なことを言うだとか、あるいは、前後の文脈を知っている人間でなければ理解できないような絶妙な言葉選びでいじめられっ子の神経を逆撫でするのである。それは実に技巧的で、傍から見れば自分が潔白に見えるよう上手く仕組んでいるのである。シロはいっそのこと、真理恵に自分を殴ってほしかった。そうすれば、こっちだって堂々と殴り返してもいい気がしたのだ。中途半端で、それでいて最大限癪に障るじくじくとした攻撃は、長引いて、彼女のかつて朗らかで単純だった神経を、悔しさといらだちとで削り取った。

 あてどもなく歩いていると、かつて弾丸ブリッツの単独ライブのチラシが貼られていた、例の掲示板の前を通りかかった。ライブは一ヶ月前に終わったので、さすがにもうチラシは貼られていない。シロのもとからニコラとテトラが去ってしまったように、ここに居た弾丸ブリッツも遠くへ去ってしまったのだ。隣の公園を覗くと、太陽はもうだいぶ高くまで上がって来ていたものの、身体の内に染み込むような寒さのせいか、人っ子ひとり遊んでいなかった。枯れ葉が寂しくころころ転がっているだけだ。

 シロはなんとなく公園の中に足を踏み入れた。入り口のすぐ傍には砂場があり、風が吹きすさんで砂丘を削り、細かい塵を宙にまき散らしていた。近づくと、昨日そこで遊んでいた誰かが忘れて行ったのだろう、砂場の真ん中で人形らしきものが逆立ちをして埋もれ、下半身だけをこちらに見せている。優しい中学生は、かがんでそいつの足を掴み、蟻地獄から救い出してやった。持ち上げるにつれ、砂が、人形の凹凸に沿ってざらざらと落ちてゆく。全身を露わにしたそいつは、全体的にポップな、あるいはそれゆえに不気味な雰囲気を漂わせている、青いオーバーオールを着た男の子だった。くりくりしたまん丸い瞳で、斜め上を見つめている。

 その人形は、あの双子には似ても似つかなかったが、両手に掴んでじっと眺めているとどうしてか、脳裏にニコラとテトラの顔が浮かんだ。シロは、にらめっこをするみたいに頬を膨らませて、ひょうきんな顔を作って人形を睨んでみた。だが、男の子は斜め上を見るばかりで、相手の渾身の変顔を無視した。もしこれがニコラとテトラであれば、どんなふざけた表情を返してくれたことだろう!男の子を持つ手がぶるぶると震えた。知らず知らずのうちに涙が溢れてきて、人形の顔の上にこぼれ落ちた。しずくが、表面に付いた細かい砂を拭うように滑り、男の子の頬に鮮やかな筋を作り出す。

 そのとき、公園の外から、乾燥した空気を伝って、楽しそうにきゃっきゃと喋り合う高い声が聞こえて来た。シロはしばらく、人形を持ったままぼうっとその場に佇んでいたが、その声がこちらに近づいてくると、ふいにはっとした。どう行動するべきか、虚を突かれてパニックになった頭で三秒間考えた後、公園の奥のほうにある滑り台の裏に隠れようと、だっと駆け出した。

 しかし、遅かった。

「あら、鵜代じゃない」

 宿命の敵の声がシロの背中に呼びかけた。

 無視することはできなかった。シロは立ち止まった。良いとも悪いともつかない顔でゆっくりと振り返る。すると、真理恵とふたりの傀儡が、公園の入り口の車両止めの柵を避けてこちらに歩いて来るところだった。

「こんなところで何してるの?」

 馴れ馴れしく笑いながら、問いかける。

 きまり悪さのせいで、シロは口の中が一気に渇くのを感じた。咄嗟に逃げようとしたところを見られてしまった。どうせ見つかってしまうのなら、こんな情けない姿を晒すより、堂々と待ち構えていたほうがましだった。

「あたしたち、今からみんなで出かけるのよ。みんなでボウリングしに行くの」

 シロが黙り込んでいるのにも構わず、あたかも仲のよい友人と世間話をするかのように、真理恵が続けた。

「帰りに、新しくできたお店でパフェ食べるの」

「すっごい楽しみ」

 子分たちも調子を合わせ、にこにこと笑う。

 シロの耳には、彼女らの発言の前に、"こんな人気の無い公園でひとり寂しく過ごしているおまえとは違って"という枕詞が聞こえたような気がした。

 いじめられっ子は黙って目をそらして、同級生たちが獲物をもてあそぶのに飽きて去ってくれるのを待った。きみたちがどれだけここにとどまって私に係り合おうとも、きみたちが楽しいと思えるようなことは決して起こりえないということを態度で示そうとした。だが、願い虚しく、ずうずうしい真理恵はさらに一歩シロに近づき、ぐいとその顔を覗き込んだ。

「あら、あんた泣いてるじゃない」

 さきほど涙を流したせいで白目がわずかに赤くなっているのを目ざとく見つけて、いじめっ子は言った。

「何か嫌なことがあったの?」

 心配そうな表情を作って尋ねる。しかし、その表情の裏にはもちろん薄ら笑いが浮かんでいる。

 シロは目をそらしたまま首を振った。

「なんでもない」

「なんでもないことないわよ。泣いてるんだから」

 そう言って、相手をこちらに向かせようと腕を掴んだ。

「や、やめて」

 シロは思わず真理恵の手を振り払った。その拍子に、手に握ったままにしていた人形が滑り落ちて、地面に当たってぽこんと跳ねた。皆の視線は一斉にそちらに集まった。

「ひゃっ、何これ」

 子分のひとりが声をあげた。砂にまみれたポップな男の子の人形が、一瞬ひどく気味悪い物体に見えたらしい。

 地面に落ちたその物体が何なのか認識すると、真理恵は唇を細めてくすくすと笑った。

「鵜代ってば、お人形さんになぐさめてもらってたの?やっぱりあんたって変わってるわね、お人形さんの言葉がわかるなんて」

 傀儡たちも口を押さえてにやにやと笑う。

 シロは、真理恵の小馬鹿にした態度に対して募る不愉快さを抑え込むように、伏し目がちになりながら、小声で言った。

「……変わってちゃ、悪いの」

 すると、真理恵は芝居みたいに大袈裟に首を振った。

「いえいえ、私は褒めてるのよ。お人形さんとお話できるなんてすごいねって。でも、そんなものに相談して、いい答えが返ってくるかしら?できれば、人間のお友だちに相談したほうがいいわ」

 そして、優越感を目一杯示すようにあごを上げて、決定的なひとことを放つ。

「……あんたには、人間のお友だちなんて居ないのかもしれないけれど!」

 シロは、頭をぶん殴られたように感じた。我慢の蓋にひびが入って、抑えつけてきた怒りがむくむくと湧いてくる。顔が熱くなり、視界がぐらぐらと揺れる。さきほどまでは憎い相手と目を合わせないようにしていたけれど、とうとう堪え切れなくなって、きっと顔を上げ、まともに相手を睨んだ。

「私は、人間のお友だちなんか要らない!」

 障害物の無い広々とした公園で、シロの叫び声は空高く響いた。

 身を縮こませていた劣等者が急に大声をあげたので、真理恵と傀儡たちは顔をしかめた。

「私は、人間のお友だちなんか要らない!あなたみたいな嫌な奴ばっかりなら、人間の友だちなんて居なくていい!だって、あなたは人間だからって、何が優れてるって言うの?この子たちよりも、おもしろいことを思いつけるって言うの?」

 シロはたがが外れたように、唾を飛ばしながら夢中になってそう叫んだ。

 すると、真理恵もまた、あくまでも被り続けていた友人の仮面を外し、あからさまに蔑むような目つきでいじめられっ子を睨んだ。それはまるで、自分の通り道に這って出て来た毛虫を見るような目つきだ。

「うるさいわね、あまり大声出すのやめなさいよ。近所迷惑よ」

 だが、シロは構わず続ける。

「この子たちには、血も肉も無いけど……あなたなんかより、よっぽど優しくて、温かくて、おもしろいんだから!あなたなんかとは違う!誰かを貶めなくたって、他に楽しいことを、たくさんたくさん知ってる!この子たちは、不器用でも、無知でも、いちばん大事な心を持ってる!誰かを幸せにしたいと思う心、誰かを笑わせたいと思う心を……」

「ねえ、さっきから、この子たち、この子たちって、誰のことを言ってるの?気色悪いわ」

 燃え上がるシロに対して、真理恵は冷めた口調で遮った。

 変人は言葉を止めて、はあはあと荒く息をついた。一気に捲し立て過ぎて疲れ、反論の声は出なかったが、憤怒が収まったわけではなかった。鉄火を頭の上に抱きながら、もう去ろう、どこかへ行ってしまおう、これ以上こうしていると、よくないことを起こしてしまう……激しく憤る九十九パーセントの自分を、陰に隠れた、まだ理性を失っていない一パーセントの自分がなだめた。シロはかがんで、地面に転がっていた男の子の人形を拾おうと手を伸ばした。

 しかし、指先が男の子の顔に触れようとしたとき、真理恵の靴の爪先が横から視界に滑り込んだ。かと思うと、人形は勢いよく吹っ飛び、五メートルほど離れたところにある滑り台の柱に、派手な音を立ててぶつかった。シロはゆっくりと顔を上げた。すると、逆光で灰色に染まった嘲りの表情が、こちらを見下ろしていた。

 次の瞬間にはもう、シロは真理恵に飛びかかっていた。

「ぎゃあっ!」

 変人の怪力に押されて、いじめっ子は背中から地面に倒れた。余裕綽々で笑いを浮かべていた顔が、瞬く間に驚きと恐怖のそれに変わる。彼女は、シロを下等と蔑みながらも、暴力的な手段による反撃は絶対にしない程度には善良であろうという点においては、全幅の信頼を置いていたのである!ところが、利他的な変人も、決して完璧な平和主義者ではなく、ときに激しい攻撃の衝動を抑え切れないことがあり、なおかつ、優しい性格ゆえに目立たないが、それを実行するだけの物理的な力量もちゃんと備えていたのである。

 真理恵の子分たちが呆気に取られておろおろする中、シロは敵の身体の上に馬乗りになった。無我夢中で相手の襟を掴む。愚かないじめっ子は、なんとか逃げようと身をよじりながら、ほとんど泣きそうな顔でこちらを見上げている。だが、一パーセントの理性的な自分の手を逃れた九十九パーセントの鵜代麦子は、怒りに駆られるまま、こぶしを振り上げた。

 そのとき。

「何をしてるの!」

 よく通る女性の声が公園の入り口のほうから響いた。思わず、もう道半ばまで達していたシロのこぶしが止まる。

 皆は一斉に、声のしたほうに顔を振り向けた。

「あなたたち、離れなさい」

 三十代半ばくらいだろうか、背筋の伸びた髪の長い女性がつかつかとこちらへ歩いて来る。いかにも子どもを叱る大人らしい、きりとした真剣な表情を湛えている。

 シロが突如現れた第三者に気を取られている隙に、今がチャンスとばかりに、真理恵は身体をよじって相手の股の下から抜け出した。立ち上がり、必死の足取りで、救世主に駆け寄る。

「助けてください!あの子に襲われたんです!」

 先ほどまでの高圧的な口調からは一転して、さながら可憐でか弱い娘を思わせる女優声で、女性に助けを求める。

 シロは、その場に膝を突いたまま、真理恵の土に汚れた背中と、その向こうに立つ女性とを茫然と眺めた。思考が徐々に冷静に戻って来ると、一気に、人生が終わってしまったような、そんな絶望感が押し寄せてきた。喉元が熱くなる。自分はやってはいけないことをやろうとした、そして、やってはいけないことをやろうとしたところを大人に見られた!帰って来た一パーセントの自分がささやいた、おまえは一分前までかわいそうないじめられっ子だった、だが今は加害者になってしまったんだよと。

 ところが驚くべきことに、凛とした女性は、泣きついて来たか弱い娘の頼みを、ぴしゃりとはねのけた。

「黙りなさい。あなたは本当の被害者ではないでしょう」

「えっ?」

 真理恵は思わず、女優らしくない間の抜けた声を漏らした。

 大人は、口をぽかんと開けている真理恵の脇を通り過ぎて、まっすぐシロの前まで歩いて来た。いじめっ子に見せた厳しい表情からは一転、気遣いを含んだ優しい微笑を浮かべ、尋ねる。

「大丈夫?」

 そして、相手を助け起こそうとするように、両手を差し出した。

 シロは何も答えることができなかった。彼女もまた、女性の予想外の行動にひどく驚いていたのだ。ただまじまじと、相手の顔を見上げる。

 自分に向けて優しい視線を投げかけるその顔は、すべてのパーツがすっきりしていて、大きな特徴は無いけれど、上手に年齢を重ねているのだろうなと思わせるような気持ちのよい作りであった。

 しばらくそうやって黙って見つめ合っていると、後ろで、我に返った真理恵が、子分たちに向かって不満げに漏らすのが聞こえた。

「な、なんなの、あの人?」

 戸惑いと腹立たしさが入り混じったような顔で、女性の背中を睨む。

「意味わかんない……もう、行こ、電車に遅れちゃう」

 そう言って傀儡たちの腕を取ると、気味悪そうにちらちらとこちらを振り返りながら、逃げるように足早に、公園の外へと出て行った。

 シロもまた、やっとのことで状況を受け入れると、遠慮がちに女性の手を借りて立ち上がった。幼い子を相手にしているかのような優しい大人の微笑を浮かべた顔に向かって、困惑ぎみに尋ねる。

「あの、どうして……」

 すると、女性はゆっくりと首を振った。

「私には、わかるわ。あなた、ずっと我慢して来たのね」

 そして、シロの頭の上にそっと自分の手を置く。

「もう我慢しては駄目よ」

 彼女の声は、その薄口な顔と違って少し特徴的で、明快で聞き取りやすい発音でありながらも、その中には耳に心地よいまろやかさが含まれていた。どこかで聞いたことのあるような声だったけれど、どこで聞いたのかは思い出せなかった。

 シロはふいに、胸がじんと熱くなって、精神を優しく抱きしめられたような、そんな気持ちに包まれた。思えば、真理恵に関する問題で第三者に助けられたのは、これが初めてのことであった。ずっと、いじめられていることを人に知られまいとし、ひとりで耐え忍んできた。この不思議な女性が何者かはまったくわからないけれど、彼女が止めてくれなければ、シロは真理恵を殴っていたことだろう。ひとりで耐え忍び続けた挙句、やってはいけない手段で、本当の解決にはならない手段で、問題を解決しようとしていたことだろう。

 シロは女性に向かって頭を下げた。

「助けてくれて……ありがとうございます」

 小さな声に最大限の感謝を込めてつぶやく。

 女性は再び首を横に振った。

「頭を上げて。私は、大人として当たり前のことをしただけだから」

 そして、頭を上げても気恥ずかしさと恐縮でまだ少し伏し目がちになっているシロの顔を覗き込みながら、例のまろやかな声で言った。

「あなた、鵜代麦子さんね」

「えっ?」

 シロは思わず顔を上げた。優しく自分を見つめる相手と、真正面からばっちり目が合った。

 どうして私の名前を知っているのか――そう尋ねようと、口を開きかけたが、咄嗟には言葉が出なかった。

「私、ずっとあなたのこと探していたのよ」

 シロは、口をつぐんで質問を引っ込めた。何やら満足げな女性の表情を、ただ戸惑いぎみに眉を垂らして見つめ返す。

 不思議な女性は、そんな相手の困惑もどこ吹く風で、かがめていた腰を伸ばすと、胸に手を当て、半分独り言のように自分の言葉を続けた。

「ああ、思っていた通りの優しい子で、よかったわ。実を言うと、あなたがあの女の子に叫んだ言葉、公園の外まで聞こえていたの。私、それを聞いて、あなたが悪い子のはずがない、きっと何か事情があるんだって確信したのよ」

 シロは、自分が真理恵に向かって何を叫んだのか、そのときは無我夢中だったので、もう何も覚えていなかった。問いかけるように、黙って瞳を瞬く。

 すると、女性は再びシロのほうを向いて、にこりと笑った。

「あなたが心からあの子たちのことを愛してくれてるんだってわかって、本当に嬉しかった。……私、ニコラとテトラの母親なのよ」

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