表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可変迷宮  作者:
第四部.DESERT PARADISE

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/116

71.あんな高級なものをどこで食べたのかと思いだしてみると、同級生におごって貰ったかき揚げ丼のかき揚がそれだったようだと思いだした

 モカさんの話によれば高い塀も逃げ出す人を捕まえる見張りもいなかったらしい。近づいても誰かに咎められることも無く、易々と施設へと近づくことが出来たそうだ。


「数人の人影が動いているのが見えた。厳しく監視しているわけではないようなので、出来る限り近づこうと思ったんだ」


 嫌々行ったわりに、頑張って役目を果たそうとしてくれたようだ。一応、姿を隠しながら近づいたようだが運が良いのか向こう側に気付かれることはななく、肉眼で見ることができる物影まで接近して彼らが何をしているのか確認した。


「そこで彼を見つけたんだ。ナツくん似た日焼けした肌をした少年だった」

「そいつ、左の頬に傷が無かったか」

「ああ、確かにあったな。最近の傷が塞がりきっていない感じだったが」


 ナツの知り合いなのだろう。戻ってこなかった知り合いがいたことに安堵する半面、無事なのに戻ってこないことに不安感を覚えているようだ。


「知り合いなのか」

「ああ、同い年の友達だ。居なくなる直前に糸の技に失敗して、顔に傷が出来たんだ。そいつは、何をしてたんだ」

「ずっと砂を詰めていた」


 砂漠の砂を袋に詰めて、ソリに乗せる作業を繰り返していたらしい。何度も何度も、その場の砂が邪魔だったのか他の場所で砂が必要だったのか、それは分からないがソリを動かす人員が来るたびに袋に詰めた砂を乗せていたそうだ。


「何のために、そんな」

「私もそれが気になった。だからソリの後をつけたんだ」


 外から侵入者がくるということを想定していないのか、後をつけることは簡単だった。砂をつめた袋を乗せたソリは風上の方向に移動すると、砂を詰める少年の姿が見えなくなったあたりで袋の中身をあけて袋を空にしていた。

 砂が小さな山になったが、それは放ったまま空になった袋をソリに乗せてきた道を戻って行った。モカさんは運び役が居なくなったを確認してから、捨てられた砂に何か混ざっているのではないかと調べたが、一切混じりけのない本当にただの砂だったそうだ。

 そうなると運んでくる元に何かあるのかと考えて、次に砂を運んで来た時に戻る道の後をつけた。

 巨大な石造りの遺跡へと入って行くのを見届け、中に入るか考えたが一人では危険があるかもしれないと判断して外から様子を伺うに留めた。

 それからすぐにソリを引いた他の人が出てきた。既にソリには砂が入っている袋がいくつか積まれていたが、それを引いたまま最初の砂を詰めている少年のところに寄ると袋を追加で乗せて、再び砂を捨てた所まで運んで袋を空にするとまた戻って行く。


「何の意味があるのか分からなかったからな。同じ光景をずっと見ていた。何か見落としているのではないかと思ったんだ」


 モカさんがそこで一旦言葉を区切った。その後、何かに気付いたのだと言外に伝えている。


「その場所は風が強くてな。砂がすぐに飛んで行ってしまう、そこで気付いたんだよ」


 砂を捨てた場所が風上だから、砂は元の場所へと戻って行ってしまう。

 遺跡の中で何をやっているのかは分からないが、少なくとも外で砂を詰めていた少年のところには砂が戻ってくる。それも短時間で。


「つまりだな。その頬に傷のある彼は、永遠に埋まり続ける穴を掘っていたんだよ!」


 モカさんのテンションが一気に上がった。


「そ、それに気付いた時に、こう、何と言うか。む、胸の中から込み上げる熱い気持ちに気付いたんだ」


 ああ、駄目な予感がする。


「彼は、何て意味の無いことをしているのだ、と! まだ若いのに時間を無駄にしているだけの作業を繰り返して、それなのに顔は笑顔で爽やかなんだよ! 水を飲む時なんか口から零れたのがキラキラ輝いてさ! もうたまらないだろう!? な!?」

「教授、もういいです」


 バッサリとイサナが切り捨てると、モカさんは満足げに気を失った。

 モカさんがフラフラになって戻ってきたのは夢中になって見ていたせいで、自分の水分補給をおろそかにして熱でやられたのが原因のようだ。この上なくどうでもいい理由だった。


「役に立ったような立たないような話でしたが、遺跡の中で何かしているのは間違いないみたいですね」

「チクショウ、好き勝手しやがって。誰も止めなかったのか」


 妹が簡単に話をまとめるとナツが重い声を落とした。ナツは遺跡を守ってきた一族の人間だ。勝手に遺跡に入られては、はらわたが煮えくりかえる思いなのだろう。

 モカさんがニヤけた顔のまま眠ってしまったので今はこれ以上何も話を聞くことが出来ない。目覚めるのを待って遺跡へと侵入するべきだろうか。


「どうしましょう、シンタさん」

「深夜になったら遺跡の中に入るかな」


 ここまできて兄と合流出来ないとなると、後は遺跡の中にいる可能性が高い。

 それに夜までにはモカさんも目覚めるだろう。ナツは今にも飛びだしたそうな顔をしていたが、俺の言ったことに従ってくれるようだ。前のレッドジェムで自分だけ騒いで何もなかったのを気にしているのかもしれない。


 深夜になるまで待つ間に腹ごしらえをしておこう、ということでイサナと一緒にナツの案内で魔獣を探しに行くことになった。妹はモカさんの様子を見る為に留守番だ。


「お前ら、あの学者の生徒か何かだろ。何を調べに来たのか知らないけど、危ないならもう帰った方が良いんじゃないのか」


 砂を踏みしめながらナツがそんなことを言った。

 心配してくれているのだろうが、調査が目的では無いので戻る理由は無い。


「そっちの小さいのが魔法使えるみたいだし、お前が良く分からない魔法で魔獣を食べるのも見たけど、俺よりずっと強い一族の連中が皆そろって帰って来ない。きっとただごとじゃない何かがあるんだ」

「きっと、そのただ事じゃないのが目的だ」


 兄が何をしているのか分からないが、ここまできて無関係ではないだろう。

 意味が分からないのか渋い顔をしていたナツが何かに気付いて急に足を止めた。このパターンは、近くに魔獣がいるのに違いない。


「魔獣か」

「そうだけど、どうするか迷ってる」


 言葉の端からナツの困惑が伝わってきた。


「どういう意味だ」

「普段だったら絶対に逃げてる。でも、お前なら何とかするのかもしれない」

「それは魔獣なんだな」

「そうだ」


 なら何も問題はない。


「どんな魔獣だ」

「白くてデカい蛇だ。餌を食べるときに口の周りが発光する」

光輪蛇(オリオール)ですね。光で獲物が驚いている間に飲みこんでしまうそうです」


 光の輪の白蛇か。最近、甘いものが多いから塩気のあるものも食べたかったところだ。


「大丈夫なんだな!? 来るぞ!」


 サーッと砂が流れる音がする。音の元を探すと流砂のように動く砂の波が目に入った。不規則に波打っているように見せながら、確実にこちらに近づいてくる軌道を描いている。ナツに言われなければ気付けなかったろう。


「シンタさん、火球を撃ちますか?」

「いや、いい」


 蛇なら丸呑みだろうし、遠距離攻撃をしてこないなら大丈夫だろう。離れているように手で合図してから一人で砂の波へと向かって歩いて行く。

 近づくとピタリと波の動きが止まった。そのままピクリとも動かないので警戒しているのかと思っていたら、足元から砂漠の照り返しが比にならない程の激しい光が発せられた。

 砂の波は囮として形だけ残して、本体は砂の中に潜っていたようだ。あまりの強烈な光に全身が竦んでしまう。足場の砂がサラサラと流れ落ちる。底なし沼にハマったように足が動かせないまま飲みこまれて行く。


「両手を上げろ! 動くなよ! 今、糸で助け」


 折角、近くにいるならこのまま頂いてしまおう。直接、目で見ればまた違うイメージが沸いたのかもしれないがチャンスを逃す手はない。いきなり料理だと砂に埋もれそうだから、魔術書にしておいた方がいいだろう。

右腕を振り上げ、勢いをつけて振り下ろす。


魔術書(スクロール)!」


 足元で光っている光輪蛇の口と張りあうように手元から光が生まれる。その本体がいかほどの大きさなのか、人をひとり丸呑みにするのだから2,3メートルでは効かないのだろう。その体長に比例して腕から広がる魔法陣が大きくなる。丸々と光輪蛇の口の直径と同じサイズになったところで腕から地中へと発射されると、光輪蛇よりもなお一層と眩い光が砂の中から生み出された。

 光が収まると辺り一帯の砂が一斉にボフンと一段落ちる。地中にいた光輪蛇が魔術書に変わってしまったせいでその体積分だけ砂が落ちたのだろう。その範囲を見ると、徒歩では逃げられないほどに周囲を光輪蛇の全身が取り囲んでいたようだ。

 スネまで埋もれた足を掘りだして、更に下を手で掘りだすが少し掘っただけでは何も出てこない。


「イサナ、風でこの辺の砂を飛ばせるか」

「やってみます」


 近づいてきたイサナが杖を振り上げると、シュルシュルと風が生み出されて小さな竜巻のように渦を巻いて砂を宙に浮かせて穴を掘る。30秒もしないうちにパサッと音を立てて紙片が上空へと舞い上がった。

 イサナにもう大丈夫だ、と告げて紙が落ちる位置まで走り寄って掴み取る。そこに書かれている内容は想像していたものと同じだ。ランダム要素があるので不安だったが、望み通りになって嬉しい。


「丸呑みになるとか思わなかったのか」


 ニコニコしながら戻ると、ナツが何とも言えない微妙な顔で聞いてきた。さっき呑まれそうな時に助けてくれようとしていたようだ。呑まれる前に魔術書になったので、それには及ばなかったが。


「呑まれそうだったな」

「少しは焦れよ! 俺だけ馬鹿みたいだろ!」

「心配してくれたんだな、ありがとう」


 ニコニコしたままナツにお礼を言うと、何かをゴニョゴニョと言いながら「もう知らねえからな!」と叫んで走り去ってしまった。色々と辛いことがあったから、情緒不安定なのかもしれない。


「私達も戻りましょうか」


 最近は割と見慣れた光景であるからか、対して気にしないでイサナと一緒に元の場所へ戻った。

 その後、着替えたり身体を拭いたりしている間に日が落ちて暗くなる。モカさんも目を覚ましたので焚火(たきび)をおこして夕食の時間となった。


「それで、晩御飯は何ですか」

「大分慣れたが火を焚いても砂漠の夜は冷えるな、出来れば暖かいものが食べたいよ」


 モカさんのリクエストに答えたわけではないが丁度、今日のメニューは温かいものだ。

 取り出したA4サイズの紙に目を通す。ちゃんと材料が5人分になっているのは光輪蛇の大きさに比例しているのだろう。紙片に手を当て、昼間から我慢していた食欲に語りかける。

 大きめのどんぶりに入った白くて太い麺、そっと添えられた刻みネギと光り輝く真円の輪。想像の中でも胃袋がフル稼働しそうな香り高い油が思い出されて涎が分泌される。その名前は。


「かき揚うどん!」


 焚火の火をかき消すような眩い光が紙片から生まれる。次第に質量を増す紙片は当てていた手を押し上げて次第に熱を発する。光が晴れた後に手が触れているのは底の深い器だ。大きめの器が5つ、冷え込む夜の焚火に照らされて白い湯気を立ち昇らせている。


「え、これって……」


 イサナがかき揚げうどんを見て言葉を詰まらせた。


「デュラハンの……ですよね」

「似て非なるものだ」


 即答で否定した。

 俺が女性化したときの食べ物だから気になってしまったようだが、あれは吉田のうどんで今ここにあるのはかき揚げうどんだ。見た目は似ているかもしれないが、それとこれは別の料理だ。

 そもそも吉田のうどんのせいで女性化したわけではないので、仮に同じものだとしても別に食べたところで問題はない。


 添えてある箸を手にとってどんぶりを持ち上げる。

 顔を近づけて息を吸うと、関東うどんの少し甘い醤油の香りが鼻孔から入り込んで肺を満たした。

 ふぅ、と息を吐き出して再び香りを確かめれば醤油の香りの後に新鮮な刻みネギの匂い、そして揚げたてのかき揚の薫りが立て続けに嗅覚を刺激する。


「頂きます」


 かき揚を避けるように箸を突き入れ、白くて太いうどんを数本掴む。柔らかくもしっかりと押し返してくる弾力を感じながら口を近づけ、一気にすすりあげた。

 チュルル、と音を立ててうどんが口へと吸い込まれる。口内へと踊り込んできたきた麺が暴れる、熱が舌を焦がす。歯でしっかりと抑え込み、それを少しずつ咀嚼する。女性化してから口が小さくなって一気に食べられる量が減ってしまったのが残念でならない。

 少し涙目になりながら麺を飲み込み、どんぶりの縁に口をつけて汁をすすった。カツオ出汁が効いたちょっとだけ甘みがある汁だ。

 さて、ここで満を持してメインへと手をつける。黄金色の輝きを放つかき揚は、その身を半分ほども汁に浸しながら上半分は未だにカリッとした身を保っていた。出来の悪いかき揚はすぐにズグズグになっていまうが、このかき揚は違う。そんじょそこらのかき揚とは一線を画していると言っても良い。

 なにせ箸でつまんで持ち上げもても身が崩れない。汁に浸かっているのに、だ。一つの個体としての形を保ったままのかき揚をそっと口元まで運び、出来る限り大きく口をあけて齧りついた。

 カリッ、あるいはザクッとした食感が訪れると思っていた。身がしっかりとしたかき揚なのだろうと思っていた。しかし、訪れた音は「サクッ」だ。軽い、あまりにも軽やかな食感は、揚げるのに使った油からして良い物であるということだろう。

 汁に浸っていながらも身を保っていたかき揚は、しかし口に入れた瞬間にほろりと解け始めた。圧縮された今にも零れ落ちそうな香ばしさを(たた)えた桜エビが、花咲くように軽やかな色で口中を染め上げる。

 強烈な桜エビのジャブを食らった後に強襲するのはシャキシャキとした玉ねぎだ。完全に熱が通りきる直前でまだ生の食感を残したまま、それでもしっかりと辛みが抜けて甘味へと変換されている状態で、さっぱりとした瑞々しさがこれでもかと弾ける。

 一度、かき揚を置いて再びうどんへと戻ってくる。軽いとは言え揚げ物を食べた口の中には、油が少し残っている。それを押し流すように、うどんを箸で掴み取るとまた一気にすすりこむ!

 もちもちとした食感のうどんが暴れまわる。それに噛みついて抑え込む。はふっ、と熱い息が漏れる。

 咀嚼したうどんから、うどん自体の甘味が生み出された。ゆっくりと噛み砕いて名残惜しく呑む込む。

 汗が出てきたことに気付いた。手の甲で軽く拭ってかき揚をつまみあげて、齧りつく。


 二口目もまた軽妙に解けると桜エビと玉ねぎのコンビネーションが炸裂する、サックリとして桜エビが香り立つ。シャッキリとした甘さの玉ねぎが味蕾を喜ばせる。

 理性が言うことを効かない。本能の赴くまま、たまらずにそのまま三口目を齧るという暴挙に出た。ガブリ、とかき揚の中心部へと歯を立てた。

 途端、驚きのあまりに「ひぁ」と声が漏れる。


 口を通り過ぎて鼻へと通り抜ける爽やかな柑橘の香り、これは柚子だ。このかき揚は、中心部に柚子の皮が仕込まれている。

 薬味として柚子の皮を使うことはあるが、それがかき揚に混ぜ込んであるとは思わなかった。俺が喰ったものしか召喚できないはずなのに、こんなに美味いかき揚をどこで食べたと言うんだ。あとでしっかり思い出しておこう。

 舌に残る柚子の強い存在感をリセットしようと汁を舌先へと滑り込ませるが、この時には既に汁に柚子の香りが溶け込んでいる。丁度、うどんを半分ほど食べた時に味が変わるように設計されているのだ。

 このうどんは既に柚子うどんへと変貌を遂げている。となれば覚悟を決めて新たな味となったうどんを頂くしかあるまい。


 かきあげをどんぶりに戻して、うどんを箸で掴む。麺をすすりこんで噛むのもほどほどに呑みこむ、どんぶりを傾けて汁を喉元へと流し込むのを繰り返す。かき揚はここにきてやっと汁に崩れ、その身をうどんと一体化させようとしていた。これでまた味が変わる。どこまでも飽きさせない。

 うどんの麺も汁をたっぷりと吸い込んで、食べ始めた当初よりもふっくらと柔らかくなっている。そこへ汁と一体化したかき揚が絡む。これは麺と具と汁に境の無い、渾然一体としたひとつの食べ物だ。別々に食べることは冒涜とさえ思えた。

 どんぶりを掴むと、口にあてて中身を口の中へと流し込む。汁と一緒に欠片となっているかき揚とバラバラに分かれた桜エビ、玉ねぎが麺を絡み取って口に吸い込まれる。どんぶりの底に沈んでいた柚子の皮は一番最後だ。「これでお終い」と言うように、ふんわりとした柚子の香りを嗅ぐわせてどんぶりが空になった。

 それを置き、口に残ったうどんをゆっくりと咀嚼してから呑みこむ。熱い息と同時に涙が出た。


「ごちそうさまでした」

「ぶっ、何でお前泣いてんだよ!?」


 うどんを食べていたナツが慌てていた。


「泣いてない。うどんが熱かっただけだ」


 そう、ここまで熱いうどんを食べたのは初めてかもしれない。目から汗が出ても仕方ないというものだ。


「ナツさん、気にしないでください。どうせ食べ物がらみです」

「そうですよ、あんまり見ちゃ駄目です」


 妹が冷静に気にするなと言い、イサナがナツの視線を塞ぐように移動しながらもうどんを手放さない。


「お前ら、本当に意味分からないな」

「ははは、興味深いだろう」


 ぽかんと口をあけて感想を述べるナツを見て、モカさんが楽しげにかき揚に齧りついた。丁度、柚子に当たったのか「ひゃん」と声を出す。


「お前らと居ると、緊張感とか忘れちまう。心配事とか無いんだろ」


 ナツが笑う。


「いや、ある」


 勘違いされては困るので否定した。まったく何も心配しないわけじゃない。


「どうせ食べ物でしょう」

「ご飯ですよね」

「魔獣がいるかだろう」

「飯だろ」


 すぐに全員に言い返された。悔しいことにその通りだ。ふてくされた顔をすると、皆が一斉に笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ