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幻獣の絆  作者: 斎佳奈
富士編
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67/73

再編

宗厳はゆっくりと周囲を見渡した。敵も味方も疲労困憊だった。


「皆、今日はもう休め」


その言葉に、誰もが小さく肩の力を抜いた。


「今夜、協会と各里、それに管理局で今後の対応を話し合う」


「明日の朝、集会所へ集まってくれ。その時に、これからの方針を伝える」


宗厳は敵側の者達へも視線を向けた。


「結界の応急修復に協力してくれたことには感謝する。じゃが、責任は果たしてもらう。警察の事情聴取に協力してくれ」


敵側の者達は黙って頷いた。

一成は警察官達へ歩み寄る。


「こちらの方達です」


警察官達は頷くと、それぞれ敵側の者達へ歩み寄った。


「これから事情を伺います。署まで同行をお願いします」


誰一人として抵抗する者はいなかった。静かに立ち上がると、警察官に付き添われて歩き始める。


「楠田」


一成が呼び止めた。

楠田は足を止め、ゆっくりと振り返る。


「生きていて良かった」


一瞬、楠田の表情が揺れた。


「……そうか」


それだけ言い残すと、楠田は再び前を向き、警察官と共に歩き去っていった。


一成はその背中を静かに見送った。



キャンプ場へ戻ると、大人達が出迎えた。


「おかえりなさい」


「ただいま!」


「ねえねえ! 今日、ドカーンって凄い爆発があったんだよ!」


康太の一言に、大人達の表情が変わる。


「爆発?」


一成は苦笑した。


「驚かせてしまいましたね」


一成は今日の出来事をかいつまんで説明した。話を聞き終えた大人達は顔を見合わせた。


「そんなことがあったんですね……」


陽菜が胸をなで下ろす。


「皆さんが無事で、本当に良かったです」


沙耶香もほっとしたように微笑んだ。


「今、お茶を淹れますね。とっておきのお菓子もありますから」


「私も手伝います」


香月も立ち上がるが、陽菜は優しく首を振った。


「今日は座っていてください。疲れたでしょう?」


その言葉に香月は小さく笑った。


「……ありがとうございます」


テーブルには温かいお茶とお菓子が並び始める。子供達もようやく緊張が解けたのか、思い思いに今日の出来事を話し始めた。


「巌先生、すごかったよ!敵を次々と投げ飛ばしてたんだ」


康太が身振り手振りを交えながら話し始めた。


「ズドンって大きい音がして、いきなり洞窟がガラガラって崩れて」


智樹も興奮したように言葉を続けた。


「あれは本当に怖かったね」


千春が小さく頷く。拓也は無言で湯飲みを両手で包み、静かにお茶を口へ運んだ。それぞれが、今日という一日を自分なりに受け止めようとしていた。


温かいお茶を飲み、お菓子をつまみながら過ごす穏やかな時間。張り詰めていた心は、少しずついつもの日常を取り戻していった。



戦いは終わった。しかし、後処理は始まったばかりだった。


洞窟周辺は封鎖され、現場検証が行われた。


警察署では、事件関係者への事情聴取が行われていた。拘束された者達は、一人ずつ知る限りのことを語っていった。


管理局員は各機関への連絡や情報の整理に追われていた。


一方、集会所では宗厳をはじめとする協会幹部、各里や寺の代表、そして管理局の代表も会議の席についていた。議題は、崩壊した富士の結界の修復、各里への応援の要請、そしてこの事件の背後にいる組織の目的についてなど多岐にわたった。


夜が更けても、話し合いは続いていた。

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