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【完結】害獣認定  作者: みっど
番外編
51/52

if-1 網上

 これは、「レセプター」が大型ビジョンをハックしていない、「もしも」の世界線……



 新緑の木々が生い茂げ、心地よい風が吹く初夏。

 自衛隊宿舎の中庭で、律子、北上、ハヤト、大門、ミサオが何かを準備している……


「北上くん、ハヤトくんはコンロに火をつけて、大門くんは肉の下処理、ミサオと私は野菜を切るから手伝って」

「うぃ~っす」

「はい!」


 どうやら五人で「バーベキュー」を始めるようだ。

 律子の号令の下、手際よく作業をこなす四人。


 準備が整い、肉を焼き始める。

 ジュゥゥ……

「う~、うまそう~」

 ハヤトがよだれを垂らして見ている後ろから、大門が大量の肉をもって現れた。


「この近くで、新しく『お肉屋さん』ができるって聞いて、そろそろ『オープニングセール』をやるだろうと思って見張っていたんだ。

 結構いい肉をたくさん買ってきたから、今日はみんなでたらふく食べられるよ」

「さすがは大門、素晴らしい分析力だ」

 トングを持った北上が、うなずきながら感心している。


「さすが大門さん、『上ホルモン』に『上ミノ』、『ジンギスカン』まであるじゃないですか!」

 玉ねぎを切りながら、涙目のミサオが叫ぶ


「野菜もたくさん切ったし、『焼きそば』と『ウインナー』もあるわよ」

 律子が、トレーにいっぱいの野菜と焼きそばの麺とウインナーを持ってきた。


「うお~、スゲェ―!」

「ハヤト、俺たちは『命をいただく』んだ。

 残さず、感謝して食べろよ」

「わかってるよ……北上、お前はオレっちの母ちゃんか!」


 ジュウウゥゥゥ……

 コンロの網の上いっぱいに、野菜とお肉が並ぶ

「もう我慢できねぇ、いっただき……」

 ハヤトがお箸で肉をつまんだ、その時――


 バシッ


 律子が自分のお箸で、ハヤトのお箸を抑える

「えっ」

「ハヤトくん、その『カルビ』はまだ半生よ、あと『13秒』待ちなさい」

「え~~?」


「そして焼肉には食べる順番があるわ……

 まず『野菜』から。野菜に含まれる食物繊維が体内で糖質や脂質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑え、『インスリン』の分泌が少なくて済むわ」

「は、はぁ……」


「次に『タン塩』よ、味の濃い肉を食べた後だと、さっぱりとした淡白なタンの味を感じづらくなる」

「……」


「そして前半おすすめは、赤身系のロースやハラミ、最期に王道の『カルビ』よ。

 最初から『タレ系』や『味噌タレ系』を焼くと、網がすぐに汚れてしまうから、『イチボ』『ミスジ』や『ホルモン』などは後半に取っておくのがいいわね」


 全員、あっけに取られている……北上以外は。


「さすがは律子先輩だ……『網上もうじょう戦術女王タクティクスクイーン』の通り名は、伊達じゃない。

 これもある意味『専守防衛』、みんな、律子先輩の指示通りに」


「北上、こんなとこでそんなうまいこと言わなくていいから!」

「この分だと、ジンギスカンまで辿り着けないかも……」

「自信満々に説明している律子先輩も、素敵です……」


 結局、律子の長い説明により、三人はいつもの半分くらいしか食べられなかったという……

(残りはちゃんと、次の日の晩御飯のオカズにして完食)


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