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【完結】害獣認定  作者: みっど
番外編
52/52

if-2 奉行

 これは、「レセプター」が大型ビジョンをハックしていない、「もしも」の世界線……



『冬』……自衛隊宿舎の外は、幾万もの『白い結晶』が降り注ぎ、辺りは一面『白い絨毯』が敷き詰められている。

 自衛隊宿舎の部屋で、律子、北上、ハヤト、大門、ミサオが何かを準備している……


 グツグツグツ……

 部屋の真ん中には、大きな『鍋』が準備されている。


「北上くん、ハヤトくん、鍋の火力を調整して。

 ミサオ、まず鍋は出汁が出る魚類や鶏を先に入れて」

「はい」

「次は火の通りにくい『根菜系』、そして崩れやすい『豆腐』や『しいたけ』よ」

「はい」

 律子の指示に従い、手際よく鍋を準備する四人。


「大門くんは肉の下ごしらえをお願い。

『しらたき』は、カルシウムが含まれていて肉を固くしちゃうから、離して入れてね」

「わかりました」



 ハヤトが、ビールジョッキを片手に、乾杯の音頭をとる

「ではでは、『防衛大カードゲーム同好会プラスワン』の『大鍋パーティ』を開催しまーす。かんぱーい!」

「かんぱーい!」

 ゴクッゴクッゴクッ……ぷはぁ!


「ようし、ではさっそく……」

 ハヤトが鍋にお箸を入れようとした、その時――


 バシッ


 大門が自分のお箸で、ハヤトのお箸を抑える

「えっ、またこのパターン?」


「ハヤトくん、女性もいるんだ、鍋からとるときは『取り箸』を使うのがマナーだよ」

「お、おう、そうか……」


 ハヤトが自分の小鉢に、オタマでスープを入れようとすると……

「ハヤトくん、まずは野菜をを先に、その後に魚や肉を入れた方がゴージャスに見える。スープは最後で」

「そ、そこまで気にしなくても……」


 そう言いつつ、また自分のお箸で鍋をつつこうとした、その時――


 バシッ


「ハヤト、言ったはずだ、『取り箸』を使えと」

「だ、大門、呼び捨て……」


 そのやり取りをみて、全員呆然とする……北上以外は。


「フッ、さすがは大門だ。

 俺や律子先輩に隠れてはいたが、大門の通り名は『怒れる河馬アングリー・ザ・ヒポポタマス』……

 自分がこだわっているものに対しては、俺ですら止めることはできない」


 ミサオが、タブレットを見ながら話す

「『怒れる河馬アングリー・ザ・ヒポポタマス』……これリアルに一番怖いです。

 カバさんは実はアフリカで最も人を殺める動物の一つ、普段はのんびりしているけど、一たび一線を越えると、地上で最恐の『猛獣』となります」


 律子も冷静に、『取り箸』でみんなの分をよそいながら、説明する

「対戦相手からも密かに、『大門くんは怒らせちゃいけない』と言われていたの、知っているわ」


「大門、『鍋奉行』だったのか……」


 結局、ハヤトは大門に叱られ、泣きながら鍋を食べる羽目に……

(次の日、大門はいつも通りに戻っていた……)


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