16-1 遺伝
「『人身掌握術、ヒトキリ』!」
バババババババババーーーーッ!
見たことがないほど大量の『真空の刃』が、北上に飛んでくる!
「くっ!」
北上は走って避けていくが、後ろの壁や本棚が、まるで『裁断機』で切ったかのようにバラバラに吹き飛ぶ。
「なんて量と正確さだ……あいつの技は底なしか?」
「北上ーーっ!」
「北上くんっ!」
ハヤトと大門が、北上のところに集まってきた。
「二人とも、大丈夫か?」
「ああ、後味は、なんか悪かったけどな……」
「僕もだよ……」
三人揃い、レセプターと対峙する。
「ヒトキリとヒトタチだけじゃ、今のオレっち達には勝てないぜ」
「フッ……」
レセプターは、右手を上にあげる
「『人身掌握術、ヒトタチ』!」
キュウゥゥン……
バシューーン!
とんでもない大きさの『真空の刃』が、三人に向かって放たれる!
「避けろっ!」
ババッ!
三人は咄嗟に散開!
ザンッ!!
ガガガガガガーーッ
バキバキバキバキーーッ!
ガラガラガラ……
とてつもない大きさの『真空の刃』は、後ろの壁をいとも簡単に切り裂き、かなり広かった『展望室』を真っ二つに裂いた。
「ウソだろっ!?」
「す、凄い……」
「どうやら、力をセーブしていたようだな」
真っ二つに裂かれた展望室の先は、すぐ『屋上』になっており、レセプターが手配したヘリコプターも、すでにそこに待機していた。
「まずいな、すでにレセプターのヘリコプターが到着している。
あれに乗り込まれて逃げられたら、俺たちの負けだ」
レセプターは、ヘリコプターとは反対方向へ、ゆっくりと歩いていく。
そこには、先ほどハヤトが倒した『チャイナドレスの女』が……
チャイナドレスの女は、目を開くと、震えながらレセプターに手を伸ばす
「レセプター様……お願いします」
「あの女の人、まだ生きていたのか」
そう、ヒューマンスレイヤーはみな、『高い致死耐性』を持っているのを思い出す。
「私の中で、永遠に生きるがいい」
そう言って、レセプターは女の喉元に噛り付く……血しぶきが飛び、女は絶命。
「あいつ、いったい何を……?」
三人とも、レセプターの行動が読めない……
そのままレセプターは、スキンヘッドの男の元へ
「レセプター様、オレも一緒に……」
ドシュッ
言い終わる前に、男の首をはねる。
その首から出る、『血液』を舐めるレセプター。
「お、おいおい……」
深紅に染まった口元を拭きながら、レセプターは、ゆっくりと三人の前に対峙する。
「そういえば言っていなかったが、私の『人身掌握術』は、『ヒトタチ』ではない」
「なに?」
「ヒトタチじゃない? じゃあ……」
「私の『人身掌握術』の名は、『ヒトゲノム』……
その能力は、私が『食べた』相手の能力を、自分のモノにする力」
「なんだって!?」
その時、北上の額に一粒の汗が……
「そんな、バカな……」
「どうした? 北上?」
「レセプターの今の波動、『善意』しか感じない……
これはまさに、ミサオの『人身掌握術、ヒトマカセ』と同じ……」
「な、なんだって……!?」
レセプターが、不敵な笑みを零す。
「お前、まさか……ミサオっちを、食ったのか!? テメー、この野郎!!」
ハヤトが、怒りのまま飛び掛かる!
「まて、ハヤト!」
北上が止めるが、間に合わない
「フッ、『人身掌握術、ヒトニギリ』!」
ドガァッ!
地面から、巨大な『腕』が飛び出し、ハヤトを捕まえる
「うわぁっ!」
「こ、この技は……!」
「大門!」
「うん、『人身掌握術、ヒトカゲ』!」
ドスンッ!
大門は、『ヒトニギリ』の腕だけに重力をかけ、ハヤトを救出。
「た、助かった……」
「どうやら、『食べた相手の能力を自分のモノにする』というのは、本当のようだな……」
レセプターが、微笑みながら話す
「ミサオは、私が目の前に現れた時すべてを悟り、目を閉じ、私を受け入れた……
彼女もまた、私の中で、永遠に生きるだろう」
「このやろう……」
レセプターは三人に背を向け、右手を上にあげ、指をパチンと鳴らす。
すると周りの建物の影から、数十人のヒューマンスレイヤーが現れる。
「これは、ヒューマンスレイヤー?」
「まだこんなにいたのか!」
「『人身掌握術、ヒトメボレ』!」
レセプターが叫ぶと、周りのヒューマンスレイヤーたちは、能力が二倍になり、一斉に襲い掛かってくる!
「マジか!?」
「この人数……」
「ハヤト、お前は下がれ! 『人身掌握術、ヒトナミ』!」
ブンッ!
「『人身掌握術、ヒトカゲ』!」
ドスンッ!
北上と大門が、ヒューマンスレイヤーを一人ずつ倒していく。
「フフ、いくらでも倒してくれて構わない……
『人身掌握術、ヒトククリ』!」
シュツシュルシュル……
「なっ……」
倒したはずのヒューマンスレイヤーたちが起き上がり、また襲い掛かってくる!
「くっ、これは……」
「やばい、大ピンチじゃんか!?」
レセプターは、微笑みながら、余裕の顔で三人を見おろす
「今お前たちの目の前にいる私は、お前たちが今まで戦ってきたすべてのヒューマンスレイヤーだと知れ」




