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【完結】害獣認定  作者: みっど
第13章 終焉の箱庭のアリス
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13-1 贖罪

「ふぅ……」

『ニューハーフ』『翁』『キグルミ』『魔術師』の四人を、特別な拘束具で拘束。

 その間、残りの『終末のアリス』と、『ドブネズミのリンダ』は、それを邪魔することなく、その場を動かない……逆に不気味です。


「仲間が捕まっているのに、何もしなかったな、なぜだ?」

 北上さんが質問。


「別に……仲間でも何でもないし」

『終末のアリス』が答える。

「お前たちは『HSA6(ヒューマンスレイヤーアドバンス・シックス)』の一員ではないのか?」

「そんなの、そいつが勝手に言っていただけのこと。私には関係ないわ」

「……」


『終末のアリス』は、そのまま私たちの方へ歩いてくる。

 その時――

「人身掌握術、ヒトカゲ!」

 ズドンッ!

「ぐっ……」

 大門さんの「ヒトカゲ」が発動、アリスの動きを止める。


「キミの人身掌握術、『ヒトゴロシ』って言ってたね……

 目の前の相手を確実に殺すことができる術って言っていたけど、本当なの?」

 跪き、重力に抗いながら、アリスが答える。

「そうよ……

 使えば私も死ぬから、まだ使用したことはないけど、アナタたちにもわかるはずよ」


「……」

 三人は黙っている。

「『ヒューマンスレイヤーの紋章』を得た時、なんとなく自分の体の変化に気づいたはず。『この術を使えば、こんな効果がある』と……」


 そ、そうなのかな? 私にはよくわからないけど……?


 アリスが続ける。

「私の能力、『人身掌握術、ヒトゴロシ』……

 使用すれば、確実に相手を殺すことができるけど、必ず私も死んでしまう『諸刃の剣』……でもこの術は、まさに今の私に一番必要な術だったかもしれない」

「それはどういう意味だ?」

 北上さんが返す。


「その前に、まずはアナタたち、謝ってくれる?」

「なに?」


「数日前に、レセプター様が渋谷の大型ビジョンで言ったことは、全て事実よ。

 人類は、利己的で、強欲で、傲慢。地球を自分の『モノ』として扱ってきた。

 自分たちの利益や、生活の向上を最優先して、環境を破壊してきた」


 ……『終末のアリス』は、11歳とは思えない程の強い眼差しで、そして流暢な日本語で話す。


「アナタたち大人は、それをわかっていて、見て見ぬフリをずっとしてきた……

『そもそも環境汚染は、自分たちのせいがどうかはわからない』

『自分の国より、もっと他の国の方が汚染している』

『便利になったのだからいいだろう?』

 そんなことばかり言って、誰も何もしてこなかった」


 ……耳が痛い。まさに彼女の言う通り、私たちはわかっていて、目を逸らしていた。


「『未来の事より、今が大事?』

『自分たちは将来生きていないから、関係ない?』

『未来のことは、お前たち若いものでどうにかしろ?』

 ――ふざけるなっ!」


 大門さんの重力波を受け続けながらも、その眼差しは、一切ひるむことなく、私たちを突き刺す。

 そう、この『終末のアリス』こと、『アリス・E・レアフィールド』は、世界中の権力者にもまったく怯むことなく、世界の環境汚染のことを訴え続けてきた。


「アナタたち大人は、大気を蝕み、

 海を汚染し、大地を勝手に作り変えてきた……

 幾万もの生物の種を絶滅に追いやっても、『それは仕方のない事』と言って平気な顔をしてきた」

「くっ……」

 さすがのハヤトさんも、言い返す言葉が見つからない。


「人類は、『罰』を受けねばならないのよ……

 これまで犯した数々の『罪』、それを償う時が来たの。

 レセプター様こそ、この地球の『救世主』。

 そして、その彼の邪魔をする、アナタたちを倒すことこそ、私の使命」



「う、ううぅぅ……」

「ヒトカゲ」をかけ続けている、大門さんが押されている……?

『終末のアリス』から立ちのぼる、あの異様なオーラに気圧されているんだわ……


 大門さんの重力を受けながらも、立ち上がるアリス。

「さあ、残っているアナタたちの中の誰かを殺せば、私は『世界を救った』ことになるわ!

 私と一緒に死んでくれる人は誰?

 アナタ?

 それともアナタ?」


「くっ……」

「こいつ……」


 彼女は本気だ……

 本気で、自分が死んだら『世界が平和になる』と信じているんだ……

 まだ、11歳の子供なのに……

 私たちは、彼女の覚悟に、ただただ圧倒されて、何もできなかった……

 ただ一人、北上さんを除いて。


 北上さんは、「ヒトカゲ」の重力攻撃を受けて動きを制限されているアリスの目の前に歩いていく。

「北上さんっ?」

「北上、危ない!」


 北上さんは、アリスの目の前で跪き、じっと彼女の目を見て話す。


「アナタが、私と一緒に死んでくれるのかしら?」

「ゴメンだな……、死んだら、平和になった世界を見られないじゃないか」

「……」

「お前は、自分が死ぬことで、『英雄』になりたいのか?」

「違う! 私は……」


「これだけは言っておこう……

 自分の命を粗末に扱うものが、世界を平和になんてできるはずもない」

「!」


 アリスは、目を見開き、北上さんを睨む……


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